【長野県・平谷村-平谷川の吊り橋】
信州の架け橋」のふみゅう様より、吊り橋情報を頂きました。さっそく見て来たその橋は…
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 吊り橋は国道418号線沿いを流れる
 平谷川に架かってます。
 以前この近くで、壊れた吊り橋を見たけど、
 それとは別の物だろうか?

 道の駅・信州平谷の西側に
 国道153号線と酷道418号線が
 交差する所から418号線に入って
 岐阜県側に向かって走ります。
 1車線の道が続きますが
 まあ、酷道って程じゃないですね。
 で、教えてもらった橋がコレ。
 なるほど、吊り橋だ。
 しかも!これは初めて見る吊り橋です。
 ここ… 何回も通ったのに…
 見落としてましたね…

 
 では、気を取り直して
 さっそく吊り橋を見てみましょう。
 金属主塔で木造の橋桁です。
 この橋は、中部電力の
 送電線の巡視路の為の橋です。
 例によって名前は分かりません。
 名前があるのかも怪しいものですが…
 いや、怪しいのはそんなトコじゃないよ。
 
 ほら怪しい。
 ロープで通行止めされてるし。
 手前の踏み板も、
 なんか外れてるし…

 いやいや、本当に怪しいのは
 そんな所じゃないですよ。
 

 床板が盛り上がってる…!
 なぜ上がってるの?
 っていうか、これって渡れるの?
 横の角材も折れてるし、
 床板も割れていて大変な事になってる。
 その割れた板の隙き間から
 鉄骨が見えて、
 橋桁が金属なのが分かりました。
 これなら渡れそうだ。

 
 ハンガーケーブルに吊られた
 吊桁の上を歩いて行きます。
 大股で歩くので
 ちょっと不格好だけど
 しょうがないですね。
 床板もボロボロになっていて
 踏み抜くかもしれないし。
 それに板が抜けてる所もあって、
 気が抜けません。
 

 ここらで川の様子を見てみましょう。
 これが下を流れる「平谷川」です。
 このあたりは「平谷渓谷」だそうです。
 確かに良さげな渓流の景色が続きます。
 そう言えば、この先には
 道路そのものが崩壊した
 廃道がありましたね。

 
 橋の上から国道を見てみた。
 こんな場所なのに
 けっこう車が通ります。
 車は通りますが、
 この橋を渡る人はいないでしょう。
 でも、動物は通ってるみたいだ。
 点々と糞がおちてた。
 猿かもです。
 

 半分ぐらい来たところですね。
 板を踏み抜くことなく
 なんとか渡れました。
 いやいや、まだこれだけ残ってます。
 油断しないで行こう。

 
 対岸の主塔の手前の床板には、
 きれいな緑色の苔がはえてます。
 こんなのが廃物件らしくていいですね。
 
 ローアングルで撮影。
 橋桁の真ん中あたりが
 不自然に下がってるのが分かります。
 ちなみに画面が傾いてるのは
 カメラが傾いてるせいです。
 
 さて、対岸に降り立ちました。
 こちらのスロープは木の板じゃなくて
 エキスパンドメタルです。
 手すり付きです。
 いかにも電力会社の橋って感じです。
 
 橋の先には巡視路が続いてた。
 遊歩道みたいですが、
 けっこうな坂道です。
 ここを上がれば鉄塔があるはず。
 最初の写真に写ってますね。
 
 上からだと木が邪魔で
 橋を横から見えません。
 なので河原まで下りて来ました。
 なかなか綺麗な渓流の景色です。
 ・・・あれ?
 主塔が傾いてるように見える…
 いや、傾いてるよ!
 しかも歪んでるし!
 
 いったいこの橋に
 何があったというんだろうか?
 耐風索も垂れ下がってて
 まったく役に立ってない。
 どうやら根元から引きちぎられたようです。
 これは川の流れのせい?
 増水した時に水圧で切れたんでしょうか。
 

 細いとはいえ、ケーブルが切れるなんて
 どれ程のチカラが掛かったんだろう。
 主塔が曲がったのもこれが原因か?
 それにしても
 メインケーブルって頑丈なんですね。
 まあ、静岡県では老朽化で
 ケーブルが切れちゃった吊り橋が
 あるみたいですが・・・

[2013年3月現在]


2000年9月の東海豪雨によって、国道418号線が崩壊するという被害が出ました。
平谷川(岐阜県側は上村川)に架かる多くの橋も流失したと言います。
今回の吊り橋の破損も、その時の洪水のためだと思われます。
耐風索が切れる程の圧力を受け、橋桁が下に引っぱられた為、主塔が前屈したのでしょう。
床板の盛り上がった部分は、橋桁が変形した時に応力の集中した所だったのです。

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