【中央本線-古虎渓旧線跡…7・8号トンネル】前編
愛知県と岐阜県の県境を通る、中央本線の高蔵寺駅から多治見駅の間には、
中央本線開通時の旧線跡が、13ものトンネルと共に薮に埋もれています。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 今日は1月1日の元旦です。
 2007年一発目の道活動は、
 前から行きたかった
 中央本線の廃トンネル群です。
 その中でも一番大変な「7号トンネル」。
 さあ、無事に通り抜けられましょうか?

 まずは地図で位置を確認→■周辺図■

 目的のトンネルは、
 諏訪大橋を渡った先にあります。
 愛岐道路の途中にある赤い橋だから
 すぐにわかります。
 でも立入禁止。
 なぜなら愛岐処分場の入口だからです。
 実際の処分場はまだ先なのですが、
 県道の所にゲートがあります。
 ・・・今日はお正月だし、こっそりと…
 さて、ここが旧線の路盤跡です。
 正面に向って延びて行きます。
 ちなみにここで後ろを向くと、
 「6号トンネル」のポータルが見えます。
 近付けませんが…
 
 道路から路盤跡を40mぐらい来ると、
 「7号トンネル」の煉瓦のポータルがあります。
 埋まってますねぇ。
 しかし、これは事前に調べた情報通り。
 けっこう前に埋められたのか、
 土砂の上も沢山の雑草が生えてます。
 夏には激薮になって、
 トンネルを隠してしまいそう。
 まさに緑のバリヤーですね。
 
 アーチの要石の下には、
 人1人がやっと入れる隙間があります。
 覗き込んでみると、
 中にも土砂が詰まってる。
 ではさっそく侵入のための準備をします。
 ライトを出して、
 カメラもスイッチオン。
 そしてマスクを装着。
 そうです、このトンネルは“ほこり”が
 大量に舞っているそうです。
 ここにいてもトンネルの中から
 ほこりがフワ〜っと流れてくる。
 
 隙間からズルズルっと侵入。
 かなり埋められてるけど、
 何とか立って歩けます。
 でも、天井が頭のすぐ上に・・・
 こすらないようにしなくちゃね。
 煤で真っ黒だし。
 煤とは無論、蒸気機関車の煤煙の事です。
 歴史の古いトンネルですからね。
 

 トンネルの中を撮った写真の中に
 こんなピンボケな物があった。
 失敗なの?
 って思ったけど、よく見たら
 なんと! ほこりが写ってました Σ( ̄□ ̄)
 ただでさえほこりっぽい所に人が歩いたので、
 よけいに舞い上がって“粉塵”と化してます。
 それぐらい酷いほこりなので、
 カメラのフォーカスが合ってしまいました。
 拡大してみたら、
 ほこりの粒が大量に写っていた…
 よかった、マスクしていて。
 こんな状態なので「防塵マスク」が必要なのです。

 
 では、ちゃんと写ってる写 真もどうぞ。
 埋まってます。
 しかも平らじゃなくて、
 でこぼこになっていて、
 歩きづらいです。
 土砂の山を上がったり下がったり。
 よろけて壁に手をつこうものなら
 手が煤で真っ黒になりますよ。
 背の高い人なら頭も天井に擦りそう。
 帽子も必要ですね。

 あ。右の壁にこうもりが4匹ぶら下がってる。
 

 場所によっては、
 大きな石が大量にあります。
 しかも山から掘り出した物なのか、
 すごい角ばっていて
 ますます歩きづらいです。
 こんな所を延々と20分ぐらい歩いて来ました。
 まだ出口は見えないのでしょうか?
 このトンネルは500mぐらいだそうだから、
 もう出口が見えてもいいはずなのに…
 でも、小さな光が見えています。
 も・もう少しだぁ〜

 
 やっと反対側に辿り着きました。
 トンネルに入ってから
 だいたい25分ぐらい掛かりました。
 まあ、夢中になって歩いて来たので
 そんなに長くは感じませんでしたが。

 このトンネルは煉瓦で造ってあるけど、
 所々コンクリで補強されてました。
 
 こちらも埋められていて、
 小さな隙間しかありません。
 土砂ばかりでなく、
 土嚢まで使って塞いであります。
 それに何か金属製の筒のような物がある。

 そんな事より、外に出なくちゃ。
 ここは入って来た所より広いみたい。
 あ!こすっちゃった。
 汚れたかな?
 
 外に出て来ました。
 ようやくマスクが外せます。
 今出て来た所を見れば、
 相変わらず真っ黒な天井です。
 いったい何年分の煤がたまってるのやら。
 金属の円筒もすごく古そう。
 錆びて壊れてます。
 下になってる所に、
 プロペラのような物があったので、
 送風機なのかも?
 
 トンネルを抜けた多治見側には、
 短いロックシェードがありました。
 これは昭和時代に造られた物でしょうか?
 ちょっと華奢なロックシェードです。
 近代的な景色です。
 山の斜面もしっかりコンクリートで
 固めてあります。
 規則的に開いた窓から、
 固いチャートの岩が顔を覗かせていた。
 そう言えば「城嶺橋」の下の河原にも
 チャートの岩盤があったっけ。
 

 振り返ってポータルを見てみましょう。
 デザイン的には他の中央本線の物と同じです。
 左側に三角の壁が付いてるのが
 他と違うポイントみたい。
 ロックシェードのおかげで、
 コンクリートで塗り固められてると思ったけど
 そんな事はなかったです。

 
 とは言え、少し離れて見ると
 印象が変わってる。
 まあ、安全のためにはしょうがないか。
 この辺りは地下水でもしみ出てるのか、
 ロックシェードの天板や側壁は
 すごい湿ってます。
 細長い物が垂れ下がってるけど、
 これは植物の根っこのようです。
 
 ロックシェードから出て来て、
 「7号トンネル」の方を撮影。
 路盤の真ん中に木が何本も生えてます。
 いったい何年放置されてるのだろう?
 ここにSLが走っていたなんて
 信じられます?
 
 さあ、これから「8号トンネル」に行きます。
 と、その前に、薮漕ぎに備えて用意しておいた
 秘密兵器「スパッツ」を装着します。
 これさえあれば激薮もへっちゃら。
 背中のディパックを下ろして、
 取り出そうと思ったら…
 ディパックが煤だらけ!!
 さっきトンネルから出る時にこすったからだ。
 しかたなくティッシュで拭こうとしたら、
 手が煤だらけに…
 勘弁してよ…(´Д`)
 でも、気を取り直して出発しましょう。
[2007年1月現在]

建設中に湧水に悩まされた「7号トンネル」は、今では粉塵に悩まされる場所になっています。
あれ程の大量の土砂を、一体どこから運んで来たのかはわかりません。
トンネル付近の、チャート層の岩盤を削った際に出た物だと思われます。
粉塵の元になっているのは、岩の上に薄く積もった土の微粒子です。
トンネルを塞ぐために運び込んだみたいですが、こんな状態なのは「7号トンネル」だけであり、
なぜあんな中途半端な埋め方をしているのか?
興味は尽きないところですが、真相は闇の中です。トンネルだけに。
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