【中央本線-古虎渓旧線跡…7・8号トンネル】後編
愛知県と岐阜県の県境を通る、中央本線の高蔵寺駅から多治見駅の間には、
中央本線開通時の旧線跡が、13ものトンネルと共に薮に埋もれています。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 中央本線の「7号トンネル」は、
 思った以上の物件でした。
 あんなの初めて。
 次は古虎渓(ここけい)駅の手前にある
  「8号トンネル」です。
 煤だらけの手は気にしないで、
 はりきってまいりましょう。

 1月に来たのは正解でしたね。
 夏には激薮地帯ですが、
 今は雑草が枯れていて楽に歩けます。
 楽と言っても、並の廃道レベルの薮ですが…
 枯れた“いばら”があちこちにあって、
 油断すると服を破られかねません。
 あと、触ると大量の種を飛ばすのとか、
 足元に絡み付くのとかが、いっぱいあります。
 …楽じゃないか。
 そんな所を300mばかり歩くと、
 間もなく「8号トンネル」に到着します。
 
 薮の向こうに見えるのは、
 まごう事無き「8号トンネル」の姿。
 植物に埋もれるようにあります。
 これじゃ対岸を走る県道からは
 見えないはずだ。
 以前はこんな所までこれるとは思わなかった。
 中央本線旧線跡には、
 近付けないものと思ってましたからね。

 では、薮をかきわけ入ってみましょう。
 
 けっして写真が
 モノクロになった訳じゃありません。
 トンネル内部全体がすすけて
 黒っぽい世界になってます。
 ここにはまだバラストが残っていて、
 歩きやすいです。
 さっきの「7号」に比べて格段に。
 カーブしているのか、
 出口が見えません。
 
 待避坑もきれいに残ってます。
 この出来ばえはまさに職人技ですね。
 

 それにこんな物があった。
 これは杭ですか?
 あ。でも何か数字が書いてある。
 “378”というのが
 かろうじて読めます。
 これは距離数なんだろうか?

 
 「8号トンネル」は200m程でお終いです。
 トンネル歩きにはこれぐらいが
 ちょうどいいかな?
 もうすぐ出口です。
 でも、こんな所にも待避坑があった。
 すぐ外に出られるような場所に造って
 意味があるのだろうか?
 

 坑口の内側の煉瓦が崩れています。
 補強のためのコンクリートが
 剥がれたようです。
 アーチの所にもコンクリートで
 補強されてるけど、
 もしやこれは…

 
 ポータルがすっかりコンクリです。
 補強どころか、造り直されてます。
 これはちょっと残念。
 アーチの外側に線を入れて
 迫石をイメージさせてます。
 こういうのって昭和30年代の隧道に
 よくあるデザインなのでは? 
 ポータルの左側には、何かの土台が残ってる。
 信号とかがあったのだろうか?
 それに写真左端のコンクリの壁の方が
 ポータルより前にあるけど、
 ひょっとして煉瓦のポータルを削り取って
 コンクリ製に改造したのかも。
 
 「8号トンネル」を後にして
 古虎渓駅の方に向います。
 枯葉が大量に落ちているし、
 木がななめってます。

 ここから古虎渓駅までは
 こんな景色が続いてます。
 
 路盤の川岸の方に、
 こんな物がありました。
 穴の開いたコンクリートに
 金属の枠がくっついてます。
 何かの機械でも乗っていたのかしら?
 鉄の柵もあったので
 ここに鉄道の施設があったみたいです。
 
 そう、こんな柵です。
 ここを人が歩く事があったので、
 こんな柵が必要だったのでしょう。

 県道から古虎渓駅に行ける古虎渓橋が
 見えて来ました。
 そろそろ古虎渓駅に到着です。

 そういえば、道…じゃなくて路盤が
 広くなってる。
 
 おおっと、ここに来て線路発見。
 といっても旧線現役当時の物じゃなくて、
 古虎渓駅の引き込み線です。
 線路のはじっこがぐるっと曲げてあって、
 車止めになってます。
 
 今来た方を見てみると
 廃線跡の雰囲気満点です。
 40年以上経ってるので、
 荒れ放題ですね。
 レールの上に枕木が乗せてあって、
 使われてない様子。

 目の前の山の下に「8号トンネル」があります。
 
 あらためて古虎渓駅の方に行ってみましょう。
 ここはすでに駅の構内だろうか?
 この先は現役の鉄道施設なので、
 探索はここまで。

 旧線跡はいったんここで現役線に遮られて
 途切れてしまいます。
 古い地形図によると、
 この古虎渓駅がある所が
 「9号トンネル」のあった場所です。
 14のトンネルの内、唯一消滅した物です。
 
 ここから土岐川を眺めてみると、
 緑色の古虎渓橋と、
 愛岐道路こと県道15号線が対岸に見えます。
 その県道を多治見側、ここから見ると左側ですね、
 そちらに進むと古虎渓トンネルがあります。
 その古虎渓トンネルのある辺りから
 「10号トンネル」へ至る旧線跡が
 再び現れます。
 さぁて、これから引き返さなきゃね。
 またあの「7号トンネル」を通るのは
 ちょっと大変だ。
[2007年1月現在]

中央本線の名古屋〜多治見間は明治33年に開通しましたが、古虎渓駅はずっと新しく、
1952年(昭和27年)4月1日に開業しました。
ここより東側にある市之倉町からの通勤通学は、さぞ便利になった事でしょう。
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