【岐阜県・西濃鉄道廃線跡-昼飯線】前編
岐阜県大垣市北西には、広大な石灰鉱山「金生山(きんしょうざん)」があります。
そこから石灰石を輸送するために、昭和3年に敷設されたのが、西濃鉄道です。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 金生山と言えば、
 化石が採れる事で有名です。
 ここでは石灰石と大理石が産出されます。
 化石マニアや鉱物マニアには
 まさに聖地ですね。
 むろん廃線もあります。

 今回は廃線全体の地図ですよ。→■周辺図■

 ここは大垣市街から北に来た所にある、
 美濃赤坂駅です。
 東海道本線がちょろっと出てる所の終着駅です。
 実際の駅はもう少し先にあるけど、
 西濃鉄道の廃線跡はこの場所から始まります。
 たくさん並んだ線路の
 一番手前の線路が、
 目的の「西濃鉄道昼飯線」の線路です。
 “昼飯”と書いて“ひるい”と読みます。
 “ひるめし”じゃないですね。
 ではさっそく廃線にGOです。
美濃赤坂駅

 普通に駅の構内の一部みたいです。
 あんまり廃線の雰囲気はありません。
 東海道本線には電車が走ってるしね。
 でも、左側の奥に見えてる
 ディーゼル機関車が、
 なにか変です。
 臭います。
 “廃”の臭いがします。
 
 近くで見てみたら、エンジンが無い?
 塗装も禿げていて、
 間違い無く廃車体です。
 これは西濃鉄道の物ですか?
 廃線探索にふさわしい?物件ですね。
 ちなみに西濃鉄道には、
 まだ現役で機関車が走ってる路線があります。
 
 でもここは廃線なので、
 安心して歩いて行けます・・・
 しかし、この昼飯線が廃線になったのは
 まだ最近の事です。
 それまでは「休止線」扱いでした。
 それも十年以上も。
 休止と言っても限りなく廃線に近かったけど。
 ここらはまだ、列車が走れそうだけど、
 もう少し先は酷い状態になってました。
 この時はまだ、そんな事知らなかったので、
 目の当たりにしてビックリ。
 
 

 いや、まだこれはビックリって程じゃないけど…
 休止の時から枕木が線路にのっかっていて、
 車止めになってます。
 虎縞の柵で線路が塞がってるけど、
 1年ぐらい前には無かった物です。
 廃線になったので、踏切りを塞いだわけですね。
 今までは普通の踏み切りのフリをしてたので、
 知らない人は一時停止をしてたのだろうか?
 反対に地元の人はそのまま通過してたの?

 あ。もちろん
 踏み切りの一時停止はしましょうね。

 
 県道の踏切りを過ぎるとすぐに、
 短い鉄橋があります。
 4mぐらいだろうか?
 さすがにこんな短い橋は上を渡ります。
 保存状態はいいですね。
 でも、鉄橋の先はすでに薮になってる。
 まあ、十年以上ほったらかしなので
 しょうがないか。
 

 線路の隣を通ってた道は上り坂になっていて、
 廃線跡との高度差が大きくなっていきます。
 それにつれて左側の法面が
 高くなっていきます。
 しかも雑草が線路を覆ってしまって…
 枯れているので、
 大したことないように見えるよね。
 でも、種がいっぱい付いた植物が
 そこらじゅうにあって歩きにくいです。

 今回の探索は2007年1月ですが、

 
 上と同じ場所から2005年の5月に
 撮影した写真を見ると、
 廃線跡一面に「たんぽぽ」が咲いてます。
 花は終わって、白い綿毛になってます。
 ちょっといい景色ですね。

 こんな、女の子が好きそうな景色だったのに
 今では・・・
 
 雑多な雑草まみれ。
 Σ( ̄□ ̄)
  枯れた雑草が足に絡み付いて
 歩きづらいです。
 しかも、くっつく種が
 とがっていて痛いのです。
 足だの靴だのに一杯くっついて
 ウザイったらありゃしない。
 しかも住宅地から丸見えだし。
 不審者と思われたらどうしよう?
 
 初めて来た時は、
 そんなに雑草が酷くなかったのに、
 廃線化したとたんこれなの?
 いやまあ、前からこうだったのだろうけど。

 線路を跨ぐ橋があらわれました。
 跨線橋ですね。
 やっと雑草地帯を抜けました。
 やれやれです。
 
 ここらでちょっと
 跨線橋の上からの景色も見てみましょう。
 「美濃赤坂」方面はこんな感じ。
 右側は山になってて
 線路が直線的に山を削ってます。
 斜面の上に見えてる白っぽい物は、
 墓地に並んでるお墓です。
 地図を見ると「勝山」ってなってます。
 
 そして、これから行く「昼飯駅」方面は
 こんなんですね。
 グランドの横を切り通しで
 直進して行きます。

 これと上の写真は、
 廃線跡から橋に上がって撮った物じゃなくて、
 帰りに橋の上から撮った物です。
 でも美濃赤坂側からならば、
 下から上がって来れそうです。
 
 さて、再び廃線探索に戻りましょう。
 跨線橋を越えてしばらくは
 雑草も少なく、歩き易いです。
 しかし、それもつかの間…
 あっと言う間に薮復活です。
 さっきよりさらにパワーアップしてます!
 こんなパワーアップは迷惑です( ̄Д ̄)
 もうまともに線路の上を歩けません。
 なのではじっこを歩きます。
 でも、種がくっついて痛いです。
 しかもずっと先までこんな調子だ…
 ・・・たまんないですね。
 この標識は「乙号距離標」って物ですね。
 美濃赤坂駅から500mを表してます。
 
 や…やっと激薮地帯を抜けました。
 前を横切る道を境に、
 線路が見えるようになりました。
 もうないよね? 激薮地帯。
 
 上の踏切りを道路側からも
 見てみました。
 幅が1.8mしかないですって?
 車が通れる様には見えないけど。
 歩行者・自転車専用だろうか?
 こういう警報機が無い踏切りって、
 「第4種踏切り」って言う物です。
 左右確認は大事ですね。
 左右を見ても列車なんて
 二度と来ませんが・・・
 
 ああ…また激薮地帯が・・・
 でも逆に、何で薮の無い場所があるんだろ?
 どうやら右にある畑に行き来する人がいるため
 人が歩く部分は雑草が無いようです。
 実際、私の前を畑帰りの人が歩いてます。
 写真には写ってませんよ。
 線路の横の、さらに外側を歩いて
 さっさと行ってしまいました。
 その人の後をついて行けば
 楽に歩いて行けそうだけど、
 私はあえて薮を突破します。
 その方が廃線探索らしいからね。
 
 枯れ草をばりばり踏んづけて来ました。
 冬なら雑草が枯れていて、
 楽に歩けるかもって考えたけど、
 逆に種が大量にくっつて鬱陶しいよぉ…
 特に服にくっつくやつが。

 さて、さっきの物より立派な踏切りです。
 ここも柵で塞がれてます。
 それどころか、踏切りの施設が
 いくつか撤去されてます。
 今残ってるのは右の小屋ぐらいですか。
 
 これは2005年5月の時の様子です。
 まだ廃止になる前の踏切りです。
 遮断機が変わってます。
 手動でハンドルを回して
 上げ下げするタイプです。
 右側の小屋にはその昔、
 踏切り保安員が居ました。
 今となっては貴重な物ですね。
 そう言えば、この時は雑草が少ないね。
 最低限の整備はされてたのだろうか?
 
 交差する道路側からも見てみる?
 遮断機も無くなって、
 遠くからじゃ踏切りだとわかりません。
 もう、止まって左右を確認する
 必要は無いですね。
 では、廃線探索に戻ります。
 
 美濃赤坂駅を出発して、
 もうそろそろ1kmぐらい来ました。
 次の停車駅は「大久保駅」。
 お降りの方はブザーでお知らせ下さい。
 と言っても客車は走ってなかったけど。
 どちらにしても、今となっては
 貨車も走れません。
 ここまで来ると、金生山の姿が見えます。
 線路の奥の方にある低い山です。
 石灰石が採れる鉱山が近くにあるので、
 レールの下のバラストが石灰岩です。
 よ〜く探すと、化石入りの物が見付かるよ。
大久保駅

 現役当時はディーゼル機関車が
 沢山の貨車を率いてガタゴトと
 入ってきた事でしょう。
 今は沢山の雑草に覆われてます。
 右側の柵の外には道路があるけど、
 私は馬鹿正直に線路の上を歩きます。
 それってとっても変な人?
 
 大久保駅の奥の方まで来ました。
 これってホームの跡かな?
 線路があった所は、
 激薮になっていて、
 入る事が出来ません。
 っていうか、入りたくありません。
 
 昼飯線はここでスイッチバックをして
 終着「昼飯駅」に向います。
 柱と屋根しか残った物は、
 駅舎の残骸でしょうか?
 ここには休止中に貨車が置いてあったそうです。
 
 2本の線路がひとつになった所で、
 昼飯線は左右に分かれて行きます。
 左が美濃赤坂から来た線路で、
 昼飯駅方面は、
 右にカーブして行きます。

 この先、すんなり行けるのだろうか?
 まだまだ激薮地帯がありそうな予感。
 後編は工場地帯を通り
 終着・昼飯駅まで行きます。

[2007年1月現在]

かつて鉄道は物流の中核を担っていました。
しかし、輸送の主役が鉄道からトラックに移るにつれて、鉄道の貨物列車は減っていきました。
この西濃鉄道も、モータリゼーションのあおりを喰らい、石灰石輸送がトラックに代わり、
一部を残して休止または廃止されました。
「昼飯線」も休止扱いの時は、ある程度の整備がされていたみたいですが、
廃線後は荒れるにまかせられています。
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