【岐阜県・県道317号線旧道 一谷坂隧道】後編
岐阜県郡上市白鳥町の東側にある「一谷坂(いったんざか)トンネル」。
その横にはかつての峠越えの旧道があります。しかし、その傍らには放棄された廃隧道が口を開けています。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 暗くて、冷たくて
 本当の洞窟かと思わせる、
 とんでも無い隧道がありました。
 外から見るとわりあい普通なのに、
 中は超狭いです。
 さらに、闇の中にうごめく影が…
 

 一谷坂隧道の中で接近遭遇したそれは
 コウモリです。
 闇の中をわさわさ飛んでる気配がします。
 写真にも写ってるし〜。
 何か映画の1シーンみたいですね。
 コウモリってキーキー鳴きながら飛ぶんだ、
 なんて初めて体験した。
 床をよく見てみれば、コウモリの糞だらけ。
 隧道内が湿っているお陰か、臭いはしません。
 ちょっとビックリな出会いだけど、
 いきなりの侵入者に驚いたのは、
 むしろコウモリ達の方ですね。
 悪い事をしてしまいました(″ω″)
 

 パニクったコウモリ達が逃げていったので、
 再び前進する事にします。
 2ケ所程、天井が崩落してますが、
 そんなに酷い落盤じゃありません。
 さくっと乗り越えます。
 でも気になるのはこの緑色のかご。
 何なんでしょう?
 崩れた土砂の上に置いてあるって事は、
 隧道が落盤で放棄された後に、
 利用されてたって事ですね。
 よくあるキノコの栽培か?
 それとも何かを貯蔵してたのか?
 まさか、ただのゴミ?

 
 上を見れば落盤の跡が…
 岩がごそっと抜けてます。
 どすんと崩れたと言うより、
 がらがらと崩れたようです。
 頼むから今崩れてこないでね。
 しかし、こんなのはまだ序の口。
 この先には…
 
 大崩落が!
 狭い通路を抜けてようやく広い所に出ました。
 反対側の坑門が隠れていた原因はこれ、
 でっかい岩が崩れ落ちてます。
 見上げる程の大きさで、5m以上あるかも。
 どうやらこれで一つの固まりみたいです。
 どか〜んって一気に崩れた?
 上には大岩があった大空間があります。
 で、その隙間からキーキー聞こえるんだけど。
 さっきのコウモリがまだ居ました。
 それと、床に溜まった泥の上には、
 肉球の跡が点々と付いてました。
 狸や狐なんかが出入りしてるのかも。
 
 ようやく反対側の坑門に着きました。
 右端に崩落した岩が見えてます。
 随分暗く写ってますが、
 実際の隧道内の明るさはこんなもんです。
 ライトが無ければとても入れませんね。
 そう言えば、ここの広い所の壁を見たら、
 白い固まりが垂れ下がっていた。
 たぶん鍾乳石なんだと思います。
 鍾乳石は100年に1cmぐらいしか
 成長しないそうですが、
 これは2cm程の長さがありました。
 さすがに200年前の隧道な訳は無いので、
 昭和初期にでも造られた隧道だろうか?
 
 こちらの入り口は全然ほったらかし状態です。
 床は泥だらけで、水たまりが出来てます。
 ここも広くて、並の隧道のサイズがあるけど、
 でもあの大崩落。
 大岩の右側には、
 向こうの坑門からの光がもれてます。
 これって工事の途中で放棄されたの?
 狭い隧道を拡張している時に落盤が起って
 そのままになっているって感じです。
 写真の両はじに見えている
 コンクリートの部分はすでに崩れ始めてます。
 
 外の様子です。
 杉林のようです。
 こちらも土砂で半ば埋もれてます。
 それに草や木も沢山積もってます。
 一体、どんな酷い状態なのか?
 ここからでも予想できますね。

 しかし、あらためて見てみると
 こんなとんでも無い隧道が
 岐阜の山の中にあったとは…
 
 外に出てみると、やっぱり埋まってます。
 こちらはこちらで、また雰囲気が違います。
 廃っぽさがさらにアップ。
 この土砂、人が埋めたと言うより、
 崖崩れで埋まってしまった様です。
 入って来た方と違い、
 こちらは左右に高い山があります。
 今すぐ崩落する危険性は低そうですが、
 隧道内に残った足跡の主が居るかもです。
 
 少し離れた所から見ると、
 谷になっている場所に
 隧道を通したのがわかります。
 地形図にはこの隧道は描いてありませんが、
 ここは山が狭くなっている場所で、
 トンネルを造る時のセオリー通り?
 でも、ここは峠ではないようです。
 旧道が通っている所が峠らしいです。

 ひょっとしてこの隧道って、
 完成しないまま廃棄された?
 旧々道の存在を考えると、そう思えて来ます。
 
 旧々道が分岐する所まで来ました。
 ここからじゃ、隧道の存在はわかりません。
 でも、あやしい雰囲気ですね。
 廃道好きなら思わず行ってみたくなるかも?

 ◆旧々道のレポートはこちらから◆

[2005年4月現在]

車も通れない、しかも徒歩での通行も困難な物凄い隧道でした。
なぜこんな隧道が存在しているのか?調べてみると色々興味深い事が出て来そうですが、
とりあえず、今まで写したの写真だけの暫定レポートとして、公開しておきます。
詳しい事がわかり次第、追加報告します。
一谷坂隧道/旧道TOPへ… 前編へ戻る…