【愛知県・犬山市-愛知用水 入鹿水路橋】
愛知用水は、愛知県の尾張地方の丘陵部から知多半島まで、農業・工業・上水道に水を供給する用水です。
用水は山間部を、トンネルやサイフォン橋で越えていきますが、途中には大きな橋もあります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 橋と言えば普通は、
 道路や線路が川を跨いで行くものだけど、
 ここは水の流れが
 道路を跨いで行きます。
 つまり、川と道の立場が逆転してるんだ。
 その光景は…
 なかなかに凄いです。


 「入鹿水路橋」の名前の通 り、
 ここは入鹿池の南西側になります。
 “入鹿”と書いて“いるか”です。
  入鹿池の西岸には明治村があり、
 その明治村の南を東西に横断するように走る、
 県道16号線にこの橋はあります。
 なんともまぁ、大きな橋です。
 しかもアーチ橋。
 これは「開腹アーチ橋」と言われるタイプですね。
 
 水路橋は岩山に突っ込んでます。
 白くなめらかな橋と、
 荒々しい岩盤の対比が
 なんとも言えない景色を作り出している。
 この橋、新しいように見えるけど、
 出来たのは1961年です。
 実に40年以上前です。
 どうやら補強工事された時に
 塗り直されたようです。
 
 ちょうど県道の真上がここです。
 この太い橋桁?の中を用水が通ってます。
 よく見ると複雑な形をしてる。
 橋桁の途中に継ぎ目があるけど、
 こういうのって「ゲルバー式」とか言うもの?
 支柱がやけにのっぺりしてるのは、
 鋼板が巻いてあるからです。
 何でも、大きな地震で壊れる可能性があるとかで、
 色々補強したそうです。
 それで、以前はこんな“板”のようではなく、
 四角い“穴”が開いてました。
 
 こんなのが、山と山の間に架かってるのは、
 ちょっとした驚きです。
 ここの周辺は、採石場が沢山あって、
 こんな橋は場違いな感じ。
 でも、そんな奇妙さが魅力かも?
 愛知県の農業と工業を支える用水に対して
 奇妙なんて言うのは失礼かもしれないけど・・・
 
 橋の真ん中に、四角が並んでるけど、
 よく見たら名前が書いてあった。
 これは…扁額? 銘板?
 う〜ん… やっぱり奇妙だ。

 [2006年5月現在]

愛知用水は愛知用水公団により1957年着工、1961年にわずか4年あまりで完成しました。
用水建設には莫大な建設費が必要なため、建設費の一部を世界銀行に借款しました。
その時の条件が、海外からの技術援助受け入れだと言います。
アメリカの進んだ技術や、大型機械のおかげで、短期間での建設が可能となったのです。
この水路橋も、アメリカ人技師の設計かもしれませんね。
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