【愛知県・鳳来町-与良木隧道】
愛知県の設楽町と鳳来町の境の与良木峠に、この隧道はあります。
このレポートでは鳳来町となってますが、2005年10月1日に作手村と一緒に新城市と合併しています。
今では「鳳来町」の名前はありません。せめてこのレポートの中だけでも、名を残したいと思います。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 地図で見ると、
 まるで林道か何かに思える細い道に
 与良木隧道はあります。
 なんか、ダート林道みたいなんだけど。
 大丈夫かなァ?
 ま、取り敢えず行ってみる?

 別窓で開く地図も見てね→■周辺図■


 っていうか大丈夫だった。
 地元の人も普通に通る、
 なんて事のない舗装道路でした。
 それでも結構急な山道を上がって来ると、
 隧道に到着。
 その手前の道は、こんな所の山道とは思えぬ
 広さがあります。
 地元の人には悪いけど、
 「らしくない」景色ですね。
 もっと寂れているかと思った。
 

 ここには標識が沢山立ってます。
 と言っても4本だけど。
 「町道51号 清崎稲目線」
 設楽町には他に、鉄道跡を利用した
 道とかもあります。
 案外町道もあなどれませんね。

 でも、この標識達、
 すっごい汚れてる。
 こういうのって、誰も掃除しないの?

 
 では隧道の方を見てみましょう。
 設楽町側です。

 …?
 なによこれ?
 アーチと下半分は石積みだけど、
 上がコンクリートなんですか?
 なんとも変な… いえ、個性的な姿。
 な訳ないか。

 見れば見るほど違和感が…
 

 ポータルの上の斜面が削られて
 コンクリート吹き付けになってますね。
 まるで、補修された法面のようです。
 アーチの上半分は、
 現代風なデザインに造り直してあるけど、
 それが違和感の原因ですね。
 なんか、補修計画そのものが、
 考え無しにやったって思えて、がっかりです。
 しかも何これ?
 ちょこんと扁額だけ立ってるよ。
 古い物を残そうというのはイイけど、
 もうちょっと、何とかならなかったの?

 

 石積みの部分は、何となく伊勢神隧道みたい。
 建設時期も近いのでしょうか?
 総石造りでは無いけど、
 愛知県で2つ目の石造り隧道ですね。
 しかし、ポータルがあんな状態では、
 文化財には選ばれないでしょうね。
 なんてもったいない。

 おや?
 下に新しそうな石が埋まってる。
 これは何?

 

 正体はこれ。
 昭和48年の改良工事の時の石碑?です。
 「特殊改良」ってあるけど、これって何?
 で、調べてみた。
 >局部的な改良により交通の安全に著しく
   寄与する個所または特に維持困難なカ所のうち
   緊急を要するものを整備する。

 ってありました。
 緊急を要する程の危険な状態だったって事?
 もしかして、ポータルのコンクリートの所が、
 崩れたんでしょうか。

 
 境い目の様子です。
 石積みは坑門まわりだけのようです。
 元は素堀りだったのかな?
 それも見たかった気がします。
 でも、昭和47年に戻らないといけませんね。
 いくら私でも、それは無理。
 
 反対側はオリジナルのままです。
 おお〜。すごい。
 何と、ピラスターまであります。
 右側に縦線が見えるでしょう?
 この柱状の部分がピラスターです。
 笠石もあってフル装備。
 素晴らしいです。
 伊勢神隧道と並び称されるべき物です。
 それだけに、でたらめな改修が
 残念無念ですね(´Д`)≡3
 
 こちら側の扁額は
 「南設楽 輿良木隧道」となってます。
 “与”じゃなくて“輿”です。
 むこう側は“ひらがな”で、
 「よらき」 なのに
 こっちはムヅカシイ漢字です。
 まあ、雰囲気にはあってますね。
 
 道はさらに続いて行きます。
 ここからは鳳来町になります。
 元・鳳来町ですね。
 現在は新城市となっていて、
 もう鳳来町の名は無いそうです。
 旧町名を残すと、住所が長くなるのと、
 市としての一体感が欠ける、
 と言うのが理由だそうな。
 時代の流れってヤツ?
 
[2005年7月現在]

予想以上に素晴らしい物になる…はずだった隧道です。
工事を請け負う側の、土木遺産に対する意志の低さが災いした物件です。
我々には、オリジナルの姿に復元されるのを、期待して待つ事しか出来ません。
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