【旧飯田線-焼山隧道】
飯田線は豊橋駅から辰野駅まで、都市部と山間部を縫うように走る長大ローカル線です。
そんな飯田線には、軌道の付け替えによって出来た、廃線があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 飯田線の鶯巣駅と平岡駅の間にある
 旧線のトンネル群。
 「焼山隧道」はその中でも
 どうやって行ったらいいのか
 わからない隧道です。

 まずは地図で位置を確認→■周辺図■

 2006年に初めて来た時は、
 下から見上げるだけだった音無沢橋梁。
 左側に第1藤沢隧道、
 右側に今回の焼山隧道があります。
 でも・・・高いなぁ・・・
 どこからあそこまで上がろう?
音無沢橋梁

 林業関係者が歩いた跡があったけど、
 急斜面沿いで、かな〜り危険なため挫折。
 しょうがないので、
 橋の下から一気に上がります。
 いやぁ… 一気にって言っても
  けっこう高いよ。
   滑りそう。
    も…もうあと少しですね。
  ゼェゼェ (´△`)≡3
 ここまで来ると焼山隧道が見えます。
 こんなに橋の近くにあったんだ。

 こんな短いプレートガーダ橋の横を通ります。
 枕木はすっかりボロボロになってます。
 橋の側面には「音無沢」の文字が。

 なんて、お気楽にコメントしてますが、
 油断すると滑落してしまいます。
 足元に注意しましょう。
 落ちるよ。

 鉄橋を上から見ると・・・
 渡れないってコレ。
 下から伸びて来た木が貫通してるし。
 だいいち通路に床がナイよ。
 奥の方に第1藤沢隧道があるはずだけど
 ちょっと見えませんね。

 さぁて、さんざんじらしましたが
 焼山隧道の登場ですよ。
焼山隧道

 どうだ〜〜 …って普通 か。
 真ん前に木が生えてます。
 ここにもレールが放置してある。
 でも、そんなに荒れてるようには見えない。
 かと言って、使われてる訳でもなさそう。
 
 ここにもペラペラの銘板が付いてます。
 「焼山ずい道 延長42」
 上に「92」って数字が見えます。
 起点から92番目なのかな?
 92って…
 さすが飯田線、トンネルだらけって訳ね。
 少なくとも92以上のトンネルがあります。
 
 いや、なんていうか・・・
 壁壊れてるし…!
 壁のコンクリートの境い目が
 ボッコリと割れてます。
 これはヒドイ。
 
 上を見ても割れ目がぐるりと入ってます。
 強度不足なの?
 ひび割れから水が洩れてきて
 かびてるのだろうか?
 天井が汚れてます。

 しかも、横の壁もご覧の有り様。
 表面が剥がれてる。
 どうしたらこんな風になるの?
 壁が変型したとかじゃなくて、
 ボロボロと剥がれたようだ。
 コンクリートの質が悪かったんだろうか?
 表面はなめらかなのに、
 中は小石だらけです。
 こういうのを「骨材」って言うのですかね。
 
 ここもちゃんとレールが残ってます。

 写真を見てから気が付いたんだけど、
 路盤の両脇に落ちている白っぽいものって、
 コンクリートのかけらですよ。
 ず〜〜っと向こうまであります。
 なんでこのトンネルに限って
 こんなに剥がれてるんだろう?

 地味な壊れ方してるけど、
 もしかしてここが一番やばいトンネルかも?
 
 あら。短いトンネルなのに
 待避坑がある。
 なんか黒いものがぶら下がってるなって思ったら
 コウモリでした。
 いたんだ、コウモリ。

 相変わらず壁のコンクリが剥がれてる。
 剥がれてるというより、
 溶けて流れたようだ。
 
 おや。なんか立ってる。
 キロポストってやつですか?
 でもこの“C”だの“S”だのはなんだろう?

■これは「曲線標」という物です。
 線路がカーブしている場所に設置されています。
 “C”はカント“S”はスラックを表しています。
 「カント」はカーブの外側のレールが
 脱線防止のために高くなっている部分の事で、
 「スラック」はカーブでスムーズに走れるように
 軌道の幅を広げた量の事です。
 S.10で10mmですね。
 
 なるほど、曲線標なんだ。
 でも、ここにカーブなんて無いけど?
 どこか別の所から持ってきたの?

 さて、焼山隧道もここで終わり。
 路盤のど真ん中に木が生えてます。
 んん〜、いい雰囲気。

 ちなみに、こちらは「鶯巣駅」方向です。
 
 外に出て振り返ってみました。
 両側にコンクリの擁壁があって、
 ちょっと狭く感じる。
 左側にはラダーが付いていて
 トンネルの上に上がれるようになってます。

 焼山隧道を出ると数メートル先には
 すぐに鉄橋が架かってます。
 名前はちょっとわかりません。
 ここの橋の通路には
 メッシュの床板が残ってますが、
 見ての通り植物が絡み付いてます。
 これじゃあ渡れませんね。
 っていうか、
 こんなの歩いたら、壊れそうだ。

[2008年4月現在]

鶯巣駅側に架かるプレートガーダ橋は、下の国道からでも見る事が出来ます。
音無沢は、“沢”と言うよりは単なる谷ですが、
大雨の時は土石流が発生するような場所かもしれませんので、注意が必要かも?
参考文献/JTB「廃線跡懐想」
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