【旧飯田線-精進隧道】
飯田線は豊橋駅から辰野駅まで、都市部と山間部を縫うように走る長大ローカル線です。
そんな飯田線には、軌道の付け替えによって出来た、廃線があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 佐久間ダム建設による廃線以外にも、
 廃トンネルや廃鉄橋が多数存在します。
 ここにも新しく出来たトンネルのために
 捨てられた線路がありました。
 ネット上では見た事ある場所ですが、
 実際はどんな所なんでしょう?
 まずは地図で位置を確認→■周辺図■

 飯田線の鶯巣駅〜平岡駅の間は、
 現在「藤沢トンネル」でもって
 一気に通り過ぎてしまいます。
 でも、そんな所に残る廃線の跡。
 かつては鉄橋と7つのトンネルで
 国道沿いを走ってました。
 その国道とは、あの国道418号線。
 さすが秘境。
 油断なりません。
 まずは最初の鉄橋です。
 高っっ。
第1北沢橋梁

 ちなみに鶯巣駅側から進みます。
 それにしても高い。
 あんな所まで登らなければならなかった
 保線作業員の苦労が偲ばれます。
 15mぐらいだろうか?
 プレートガーター橋ですね。
 ここは藤沢トンネル手前なので、
 現飯田線の鉄橋が隣に見えます。
 新旧共演ってわけですね。
 
 2番目の鉄橋です。
 ちょっとした谷に架かってます。
 やっぱり高い。
 見上げるような位置にあります。
 森の緑に溶け込む緑の橋桁。
 絵になります。

 ここは橋脚を使わないで
 一気に谷を跨いで行きます。
音無沢橋梁↓

 3番目の鉄橋。
 ここは少し開けた場所にあります。
 相変わらず高いです。
 それと“3番目”と言ってますが、
 途中に小さな橋があるかもしれません。
 さすがにそれを調べるのは無理。

■のちに詳しい情報の載った
 JTB「廃線跡懐想」という本を手に入れたので、
 レポートを修正しました。(2008年3月)
精進沢橋梁↓

 旧線はトンネルを潜って行きますが、
 国道は回り込んで行きます。
 カーブを曲がった先には、
 5番目の鉄橋が・・・
 え? 低いですよ? 5mぐらい?
 そう言えば、ネット上でよく見る所だ。
 左の建物は「天龍農林業公社」という
 地域の農林業の振興のための会社で、
 有限会社だそうです。
 ガーター橋が敷地を横切ってます。
 取り敢えず右側から行ってみましょう。

 
 橋の下を古そうな道が通 ってますが、
 これは国道の旧道です。
 よくある“線形改良”された道です。
 谷を渡る橋まであります。
 何でもない小さな橋に見えますが、
 実はこれ、アーチ橋なんです。
 写真には写ってませんけど、
 川の上流には滝があって、
 そこに行くための道として
 現在でも使われてるみたいです。
 「精心滝」と言って、地図にも載ってます。
 有名なんだろうか?
 鉄橋の山側には最初のトンネルがあります。
 

 橋を渡った先には、
 先ほどの会社の駐車場になります。
 それにしても変な事になってる。
 橋桁の下に建物が建ってる。
 やはり廃線後に建てられたのだろうか?

 さて、5番目のトンネルには どうやって行こう。
 この橋脚のはしごを登ろうか?
 でも、狭い橋桁の上を 歩かなくてはならないので、
 これはボツですね。

 
 で、トンネルの前から
 鉄橋を撮影してます。
 一見、行けないように見えたけど、
 簡単にここまで上がって来れました。
 橋の上は木が生い茂ってます。
 さっきの橋脚から上がって来たら
 木に邪魔されて大変な事になってたかも。
 この先には4番目のトンネルがありますが
 写真では確認出来ませんね。
 あ。右端に見えてるのが
 国道418号線ね。
精進隧道

 これが5番目のトンネルです。
 扁額は無いけど、銘板があった。
 「精進隧道」
 鉄道トンネルなのに隧道とは珍しい。
 デザイン自体はあっさりした
 コンクリート造りです。
 フェンスがあるけど開いてます。
 では、ライトを準備して
 侵入開始です。
 
 すごい!
 レールが残ってる。
 以前見て来た田口線跡には、
 まったくレールとか残ってなくて、
 がっかりさせられました。
 これは期待出来ます。

 隧道はカーブしてるのか、先が見えません。
 ひょっとして、すごく長いのここ?
 
 全面コンクリートかと思ったら、
 岩盤むき出しの所もあった。
 コンクリ節約か?
 側面を岩盤に肩代わりさせてるって訳ね。
 レールまだまだ残ってます。

 まだ出口が見えません。
 
 なにげに岩の表面を
 ライトで照らしていたら、
 斜めに白い線があります。
 画面左上から右斜め下に走ってる溝ですよ。
 これは岩盤の隙間に
 “石英”が入り込んでるんだ。
 よく見ると壁をぐるり一周してる。
 もしかしてこの隙間って断層ですか?
 なんにせよ凄い圧力で岩が割れて、
 その隙間に溶岩が入り込んで
 固まった物なんでしょう。
 
 出口の光が見え始めて来ました。
 と、同時に何やら外の方から
 人の居る気配がします。
 工事でもやってるの?
 それとも林業関係者ですか?
 ・・・
 ちょっと静かに歩きましょう。
 隧道抜けたら、
 いきなり工事現場!ってのは
 しゃれにならないですからね。
 とかなんとか言ってる内に到着。
 隧道真ん前に木が育ってます。
 
 こんな所にレールが放り出してある。
 どこから持って来た?

 さて、外に出てきたけど、
 別に工事とかやってないみたいです。
 あたりを見回してみたら
 鉄橋の下に何かの作業場があって
 そこで作業をしてる音だった。
戸面沢橋梁

 目の前には鉄橋が。
 レールは無いけど枕木が残ってる。
 さっきのレールって、ここの物でしょうか。
 木が育って来ていて、森に埋もれかけてる。
 ように見える。
 鉄橋の先には次の隧道が見えます。
 よ〜〜し。橋渡って行くぞ〜。
 ―ってムリ。
 枕木も乗ると折れそうだし、
 保線用の通路の床も外されていて、歩けません。
 取り敢えず引き返して、
 国道を通り、あらためてここまで戻ります。
 
 戻る前に、こちら側の隧道のポータルを
 見ていきましょう。
 こんな感じですね。
 まったくもって普通です。
 細長い形をしてるけど、
 「1号型断面」とか言うものみたい。
 などと、もっともらしい事を言ってみたり。

[2006年5月現在]

鶯巣駅と広岡駅の7箇所のトンネルの内、南から4番目のトンネルは
接近出来そうもなかったので、この時は探索はしていません。
プレートガーター橋を渡れば行けそうですが、危険なのでやめた方がいいでしょう。
道ネタ「鉄道」TOPへ…