【静岡県・佐久間ダム観光道路廃道(仮】前編
愛知県と静岡県に股がって建設された佐久間ダム。
県道1号線や県道288号線ばかり有名ですが、ダム南側にも忘れられた廃道と廃隧道があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 以前見て来た県道288号線とは違い、
 ここはマイナーな所です。
 地図には国道横から出ている細い道があります。
 しかもその道には隧道のマークが…
 これはひょっとしてお宝隧道か?
 おおっっと大発見…
 だから、地図に描いてあるって( ̄▽ ̄)

 地図はこちら→■周辺図■

 国道473号線を西から佐久間ダムに向って来ると
 天竜川を渡る「原田橋」に着きます。
 その橋を渡ると、佐久間ダムはあと少しです。
 で、その原田橋のすぐ横から、
 未舗装の道が延びていて、
 ちょっと行った所に
 車が置けるスペースがあります。
 でも、入ってこれるのもここまで。
 ここから先はゲートで封鎖されてます。
 
 残念! 車やバイクは入れません。
 じゃあ撤収。
 じゃなくて、横からさくっと侵入します。
 (良い子は真似しちゃダメよ♪)
 さて、このレポートのタイトルが
 「観光道路廃道」ってなってるけど、
 かつてこの道が、
 ダム観光のために使われていた事に由来します。
 昭和32年に撮影された写真には、
 この道の終点と思われる場所に
 沢山の観光バスが停まっているのが写ってます。
 しかし、もっとよく調べてみたら、
 間違っている可能性もあります。
 なのでこのレポートは暫定版って事でOK?
 
 ゲートを越えて中に入ると、
 林道のような景色が続きます。
 でも途中にはこんなお堂があった。
 「大山祗大神」って扁額が掛かってます。
 オオヤマツミノオオカミと読みます。
 木乃花咲耶媛(コノハナノサクヤヒメ)の
 父親神だそうな。
 さくやちゃんのパパってか?
 山の神の総元締め的な存在だそうです。
 こういう所が、いかにも観光の道らしいですね。
 最初はダム工事のために造られたんだろうけど、
 ダム完成後は、観光客に開放していたのでしょう。
 
 この景色を見て、
 かつてここが観光客で賑わっていたなんて
 想像が出来ませんね。
 閉鎖されてしまった原因は
 やっぱり「落石」ですか?
 そんなにひどい落石はありませんが…
 いやいや、油断はなりません。
 何と言ってもこの山は花崗岩で出来てます。
 硬いけど風化しやすいため、
 簡単に崩れて来ます。

 1kmぐらい歩いて来ると、
 赤い吊り橋「飛龍橋」に到着します。
 それにしても、ここから河原までは
 けっこうな高さがあります。
 ガードレールが無い所もあるので、
 路肩には要注意です。
 さて、地図に描かれた隧道は、
 飛龍橋の手前にあるはずです。
 道がカーブしていて先が見えないのが、
 なんか、じらされているみたいです。
 もう少しで見えそうです。
 さあ。一体どんな姿なのか?
 
 あった! あれだ!
 なんか思った以上の光景です。
 道が分岐している先にあるものだと思ったけど、
 曲り角の崖に、いきなり口を開けてます。
 坑門の左右には、コンクリートで出来た
 構造物があります。
 それに、坑門のすぐ上には、
 玉石を積んだ壁があります。
 硬い岩盤には必要無いだろうって思ったけど、
 よく見ると岩のくぼみを塞いでいるみたいです。
 でも何でコンクリートを使わないの?
 景観に配慮してって事?

 遠くからでも見えていたんだけど、
 柵、っていうか扉でガッチリ塞がれてます。
 しかも有刺鉄線でぐるぐる巻きにされて。
 まあ、こんな事は予想していたけどね…
 もしかしてこの扉って、
 この道が現役の時からあったのでしょうか?
 観光客がうかつに入らないために
 扉を設置したという事も考えられます。
 もうね、どんな理由で付けられたなんて
 どうでもいいです。
 入れない事には変わりがないし…
 
 なかなか頑丈な造りです。
 あら?
 …かんぬきが抜けてる?
 開くの?
 ちょっと押してみましょう。
 ぐいっ
 あ。動いた。
 ちからいっぱい押せば開くかもしれません。
 ぐぐぐ…
 無理でした。
 結局10cmぐらいしか開きません。
 ちょうつがいが錆びてて動かないみたい。
 
 しかたがないので、扉の隙間から
 カメラを突っ込んで内部を撮影します。
 ここの上を通っている
 県道1号線のトンネルと同じく、
 内部は素堀りです。
 崩落してる所も無く、きれいなものです。
 でも、向こうの出口がなんか変です。
 下半分が埋まっているのか、
 影になってます。
 さらにその先には、2番目の隧道が見えます。
 これは200m以上の長さがあるので、
 通るのは大変そうです。真っ暗だし。
 まあ、どうでもいい事ですが。
 
 さて、入れない隧道を後にして
 「飛龍橋」の方に行きます。
 この橋を紹介しているサイトは
 幾つかあったけど、
 どれも遠くから撮影した写真しかなかった。
 こんなに近くから写したのは、
 よそには無いかも?
 …まあ、たいして自慢にもならんか。

 あんな所に銘版があります。
 銘版と言うより、扁額のような雰囲気。
 すごい達筆で「飛龍橋」と書いてありますね。
 この大袈裟な演出?も、人に見られる事を
 意識しての物でしょうか?
 この橋、古そうに見えるけど、
 昭和28年竣功です。
 
 トラスの橋桁を吊っている構造です。
 吊橋トラス補剛ってやつです。
 これはあの国道418号線の深沢峡に架かる
 五月橋と同じ構造ですね。
 形もそっくり。
 これでも8tまで耐えられるそうな。
 車のタイヤが通る所は補強されてますが、
 木造だというのがすごい所です。

 路上物件にも大きな写真があります。
 
 昭和28年制作にしては、すごいきれい。
 山の中でこの赤さは実に映えます。
 どうやら最近塗り直された様です。
 こんな林道状態の道なのに、
 今でもきっちり管理されているみたい。

 右上には県道1号線が、
 左奥には佐久間ダムが見えてます。

 ダムまではまだ1km以上あります。
 

 道は狭かったり広かったりしてます。
 今は真夏なのでセミの声がうるさい程。
 岩にしみいるセミの声ってか。
 それ以外にも、ハチだのハエだの
 何だかわからない羽虫だのが
 まとわり付いて来てうざいです。
 そう言えばまだ動物を見てないけど、
 どうしたんでしょう?
 県道288号線ではサルにあいました。
 この辺りはクマも居るそうですが?
 さすがにクマ君にはあいたくないよね。
 今日はクマ避けのベルを着けて来たので、
 そのせいで誰も近寄ってこないのかも?

 
 ここに来て落石がひどくなってきました。
 場所によっては、道が埋もれる程の落石です。
 さすがにここまでは車は入って来れないよね。
 歩きづらいったらありゃしない。
 でも、これぞ廃道って景色だね。
 さ。はりきってまいりましょう♪

 対岸の山の中には
 県道1号線の橋の部分が見えてます。
 2番目と3番目のトンネルの間の所です。
 でも、たかぁ〜〜い。
 100mぐらいありそうです。
 あんな所を通ってるんだ。
 走ってる車が小さく見えます。
 …あら? 橋の下の方に何か穴が…
 って、さっきの隧道(長い方)の出口だ!

 つづく。
[2005年9月現在]

上の写真ではわかりづらいですが、確かに隧道の坑門が確認出来ます。
※このレポートは暫定公開です。今後の取材によって、内容の変更がある事をあらかじめご了承下さい。
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