【静岡県・県道1号線-隧道群】前編
静岡県と愛知県とに股がり、電力を供給している佐久間ダム。
その佐久間ダムを通る県道には、素堀の隧道群があります。途中から展望台へ行ける穴も…
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 その昔は観光地として賑わった佐久間ダム。
 今は、日曜日に行っても
 訪れる人はまばらです。
 そんな所ですが、まるでダム建設当時の
 様子を彷佛とさせる様な
 荒々しい姿の隧道があります。

 佐久間ダムと隧道と例の廃道の
 地図はこちら→■周辺図■


 これが佐久間ダムです。
 中々大きくて立派なダムですね。
 こういうダムは「重力式ダム」と言って
 下流にある発電所に水を送っています。
 ちなみに、着工が昭和28年4月16日。
 完成が昭和31年10月15日です。
 総工費約387億円。
 当時日本一の規模を誇りました。
 こんな大きな物が3年余りで造れるなんて
 人間の技術もあなどりがたし、です。
 さて、今回紹介する隧道は
 右側の山の中にあります。
 さすがにダムを建設する場所だけあって、
 硬そうな岩山です。
 
 まずはダムに一番近いトコから
 行ってみましょう。
 名前がわからないので便宜上
 「佐久間1号トンネル」と呼びます。
 以降は隧道じゃなくてトンネルと呼びます。
 ああ、ややこしい…

 坑口はさっぱりしていて、
 内側もきれいに補強されています。
 
 歩いてトンネルに入ってみました。
 え?危ないって。
 大丈夫。ここは2車線以上の幅があるのと、
 展望台への入り口があるので
 歩いてもオッケー。かな?
 でも、通行の際は車に注意して下さいね。
 入ってしばらくはコンクリートで
 きれいに造ってありますが、
 すぐに素堀の
 ごつごつした壁になってしまいます。
 しかもトンネル内部は水が
 染み出ているのか、全体的に濡れています。
 

 このトンネルには、横に5つの穴があります。
 1つは途中から分岐する車用トンネル。
 1つは公衆便所と展望台のためのトンネル。
 2つは展望台のためのトンネル。
 残りの1つは用途不明ですが…
 展望台と公衆便所へのトンネルは、
 ブロックでもって完全封鎖され、
 あとの1つは現在も使用されています。
 それで、もう1つのトンネルが
 この写真の所です。
 ここは、簡単な通行止がされています。
 それにしても何て荒々しい掘り跡。
 写真で見るより現場は暗いです。  

 

 ここが展望台です。
 閉鎖されていて人が来ないせいか、
 すっかり寂びれています
 床には岩盤の一部が露出しています。
 向こうに佐久間ダムが見えてますが、
 夜ここに来たら、さぞや無気味かも?

 しかし、何で立ち入り禁止にしたのか
 よくわかりません。
 積極的に封鎖している訳でもなさそうなので
 立ち入り禁止措置は、一時的なものかも?

 
 こちらは現役の展望台への通 路です。
 入り口に「展望台」の看板あり。
 やっぱり岩むき出しのトンネルです。
 さっきの所もそうだけど、
 ダムのある一帯は花崗岩で出来ていて、
 外より、トンネル内の方がよくわかります。
 さらに、このトンネルの壁には
 削岩機の跡があります。
 ここがダム建設当時に掘られた物かは
 わかりませんが、
 当時の様子が想像出来ますね。
 で、ここも写真で見るより薄暗くて
 しかもさっきより長いので、
 歩いて行くのには、勇気がいるかも?
 

 さっきの封鎖展望台より広いです。
 左側にさらに高くなっている所があって、
 急な階段を上がると、
 もっと眺めがよくなります。
 1枚目の写真は、
 この展望台から撮影した物です。

 う〜ん眺めがいい〜
 はるか下に川が見えます。
 でも高所恐怖症の人にはきついかも?

 
 展望台からは、さっきの封鎖展望台と
 完全に封鎖された展望台と公衆便所の
 外側の部分が見えます。
 佐久間ダムの建設当時の写真には、
 ちょうどこの辺りに
 何かのプラントが設置されていて、
 (コンクリートを作っていた?)
 その横の斜面にはトンネルがあり、
 資材の搬入とかしていたみたいです。
 これがその時の物かわかりませんが、
 プラントの台座が今でも残っているので
 このトンネルも、
 もしかしたら建設に使われたトンネルの
 名残りかもしれません。

佐久間ダムのトンネルは、トンネル内に展望台があるという、とんでもない所です。
例のプラントには鉄道らしき物もあり、ここで作った何かを運び出していたみたいです。
次は分岐トンネルと残りの素堀トンネルへ行きます。
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