【静岡県・川根本町-両国吊橋】
かつて、遠州の国と駿河の国を隔てた大井川と、大井川鉄道を跨ぐ吊り橋。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント

 

 大井川に架かる多くの吊り橋の一つ。
 遠州の国と駿河の国に渡り架かってるので
 両国吊橋だそうです。
 駿河の国と言えば茶の香り。
 帰りに買うお土産は
 川根本町名産、川根茶に決まりだ。
 ではレポートをどうぞ。


 場所は大井川をさかのぼり、
 大井川鉄道川根両国駅の北側です。
 県道77号線の両国橋を渡り、
 細い道に入ると、
 グリーン広場と言うキャンプ場があり
 そこに今回の橋が架かってます。
 観光目的の吊り橋ですね。
 長さが145mもあるそうなので
 主塔も高くて立派です。
 
 あ。紅葉してる?
 って、今日はまだ9月ですよ。
 気の早いもみじですね。
 秋にはさぞ綺麗な紅葉が見れるでしょう。
 主塔は周りの緑に溶け込むミドリ色です。
 
 昭和63年7月竣工です。
 銘板に書いてありました。
 これから対岸の川根両国駅に向かって
 橋を渡りましょう。
 あ。普通だ。
 さっき行って来た「塩郷の吊り橋」と違い
 敷き線とそろばん板じゃありません。
 他のに比べて新しいからでしょうか?
 
 さっき渡って来た
 そろばん板の吊り橋は
 盛大に揺れましたが、
 ここはあんまり揺れません。
 これはグリーン広場を見た写真。
 広い河原は川遊びによさそう。
 

 橋の半分を過ぎて
 対岸が近付いて来ました。
 画面真ん中には耐風索の
 アンカレージがありますが、
 やけに大きいですね。
 しかも上にはモニュメントが載ってる。
 あら?文字が書いてある。
 「ようこ 奥大井へ」 …ようこ?
 ああ、“ようこそ”ね。
 コンクリの表面が剥がれて
 文字まで落ちちゃったんだ。

 
 反対側には何も載ってないです。
 さっきのあれって、
 鉄道からは見えないし、
 県道からも遠いので、
 両国橋を渡る人限定の
 モニュメントみたいだ。
 今じゃ洋子さん限定の
 モニュメントになってる( ̄▽ ̄)
 

 実はこの橋も
 塩郷の吊り橋と同じく
 鉄道の線路の上に架かってます!
 まあ、さっきから見えてるんですが…
 大井川鉄道の井川線、
 別名南アルプスあぷとラインとも言います。
 「あぷと」とは、普通の車輪と歯車を使って

 急勾配を登る「アプト式鉄道」の事ですね。

 
 それにしても、やけに線路があぷと…
 じゃなくて、あると思ったら
 車両基地じゃないですか。
 JRに比べたらこじんまりとしてます。
 真ん中の機関車も
 小さくてかわいいです。
 1台お土産に持って帰りたいです。
 ああっとそれはダメだったよ。
 今日のお土産はお茶だから。
 
 なんて考えつつ撮影してたら、
 どこからか警笛が…
 これはもしや、列車が来るの?
 で、ちょっと待ってたら、
 キターーーー!
 待望の鉄道車両だ。
 これこれ。これが撮りたかったのよ。
 吊り橋の下をくぐる列車。
 SLじゃないけど、よしとしましょう。
 
 ゴトンゴトンと通過して行きます。
 機関車は最後尾に付いてました。
 奥の方に見える川岸と斜面の間に、
 線路と隧道が
 交互に連なってるのが見えますが、
 あれは隧道じゃなくて
 ロックシェードですかね?
 ものすんごい急斜面で岩盤剥き出しです。
 崩れた土砂が河原に溜ってるし、
 ちょっと怖くなってきます。
 
 さて、対岸に着きました。
 こちらは遊歩道みたいになってる。
 
 あ。こんな所に銘板が…
 立派な金属板に「両国吊橋」とあるけど
 なんか急ごしらえの
 やっつけ仕事に見えますよね。
 主塔に付いてる銘板には
 竣功年や事業主体などが書いてあります。
 事業主体が本川根町ってある。
 誤字かと思ったら、昔は本川根町で
 中川根町と合併して
 川根本町になったそうな。
 ややこしいですね。
 
 川根両国駅側の主塔の景色です。
 こちらは“ひっそり”としてます。
 
 吊り橋は普通でしたが、
 あぷとラインの列車が下を通って
 それを吊り橋の上から眺めるという
 体験が出来たのはラッキーでした。
 では、下から。
 ゴツイ!!
 揺れないはずです。
 短いのにこの太い鉄骨はどうよ?
 それを大きいガセットで繋いでます。
 さすがに80年代製だ。
 
 風情も何も無い橋桁でしたが、
 耐風索が面白い事になってた。
 この角度から見ると、
 ダイナミックなカーブを描いてます。
 では撤収するとしましょう。
 帰る途中に道の駅に立ち寄って
 お土産の川根茶を買わなくちゃね。

[2012年9月現在]


銘板によるスペックは、橋長145m、幅員1m、活荷重100kg/平方メートル
1988年7月竣功。単径間無補剛吊橋。事業主体/本川根町
下部工/(株)柳沢組。上部工/東京製綱(株)
大井川鉄道HPによると、かつての大井川は遠州の国、駿河の国を隔てる川でした。
その二つの国を結ぶ吊り橋として両国吊橋と名付けられたそうです。

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