【静岡県・県道288号線-大嵐廃道】後編
佐久間ダムのダム湖の横を、延々と続いていく廃道があります。
全長はゆうに15km以上。今回はその廃道の北側から攻めてみました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 ついに魔界の入り口にやって来ました。
 そんな大袈裟なって?
 でも、ついそう言いたくなる程、
 激しい廃道です。
 言葉では伝え切れない、
 まさに見ればわかる、なんて道です。

 侵入してすぐに建物が…
 工事現場で使われてるプレハブ小屋です。
 一瞬、今でも使われてる物かと思ったけど、
 むろん廃墟です。
 林業関係の飯場か物置き小屋かな?
 
 ここらで夏焼隧道の方を見てみた。
 山の中腹に家が数軒建ってるのが見えます。
 あれが夏焼集落ですか?
 すごい所に建ってるんだなぁ。
 あまりの急坂なので、
 道がスイッチバックで登ってます。
 でもよく考えたら、夏焼隧道が不通になれば
 ここは陸の孤島ですよ!
 脱出には裏山を越えるしかないよね。
 地形図には山頂付近まで道が描いてあるけど、
 その先は…
 もし山道が使えなかったら、県道の廃道を
 佐久間側に歩くしかない訳ですね。
 
 う〜ん… さすが秘境と言われるだけある。
 まだまだすごい物が隠れていそうです。

 さて、廃道の方に戻りましょう。

 もう一軒プレハブ小屋がありました。
 やっぱり廃墟です。
 さっきの小屋といい、
 一体何に使われていたのでしょう?
 微妙に道の脇に建ててあるので、
 県道の現役時代から
 建っていた物かもしれません。
 
 大量の落ち葉で、路面 はすっかり
 埋め尽くされてます。
 廃道指数さらにアップです。
 落石が少しあるね なんて考えてると、
 目の前に大きな岩が…
 いきなり第一関門の登場です。

 え?
 これを越えろと?
 完全に道が塞がれてますが?
 避けるスペースなんてありません。
 ここで廃道レポートは終了なのか?
 でも、頑張ります。
 なんとか岩に上って、少しづつ進みます。
 落石はこの状態で安定しているのか、
 崩れる事はなかったです。
 
 落石の上からさっきのプレハブ小屋を撮影。
 小屋が道端の、崖のぎりぎりの所に
 建っているのがわかります。
 左側の大きな岩もぎりぎりです。
 あまり湖側の岩に近付かない方がいいかも?

 大きな崖崩れを過ぎても、
 まだまだ油断なりません。
 でっかい岩がころがってます。
 よく見ると赤いペイントがしてある。
 これって危険なモノに描いて
 注意をうながすためですよね?
 ってことは、本当に危険だったんだ、
 この岩。
 先程の落石にもあったし。
 これからは赤いペイントを見たら、
 気を付けなければならないです。
 
 時にはきれいな場所も。

 ガードレールもあって、
 県道らしい景色です。
 ここからなら、佐久間湖が
 ばっちり眺められます。
 ちょっと一息いれましょう。
 
 対岸には県道1号線が通 ってます。
 バイクが走っているのか、
 高回転のエンジン音が響いて来ます。
 あんな険道なのに、大丈夫なのでしょうか?
 でも、自分でも通ってみたいかも。
 そのうち行ってみましょう。

 ダム湖の湖面は、
 エメラルドグリーンって言うより
 若草色?
 いや、そんなきれいじゃないか…
 
 さて廃道の探索を続けましょう。
 また落石です。
 まあ、たいした事ないかなって思ったけど、
 落石の上に草が生えていて薮になってます。
 ちょっと通りづらいので、
 ダム湖側の空いたスペースを通ります。
 …でもちょっと狭い。
 す・すごいぎりぎりなんですけど。
 さっきの大きな落石より、
 なにげに危険度増してます。
 あ。薮の所を突破しちゃえばいいかな。
 でも、見えない草の下に
 何があるのかわからないけど…

 なんとか無事通過。
 この辺は、ちょっとした森の様な感じです。
 でも、相変わらずの落石。
 本当に掛け値無しの落石注意地帯です。
 しかも、湖側にガードレールなんて
 気の利いた物なんぞありません。
 気を抜くと、バッサリ落ちちゃいそう。
 まあ、木が沢山生えてるので、
 湖面まで落ちる事はないだろうけど、
 それでも、けっこうなプレッシャーです。
 
 こんどは倒木です。
 今までありそうで無かった倒木。
 ばったりといっちゃってます。
 こんなの跨いで行けないので、
 くぐります。
 これで「落石」「倒木」「薮」と、
 廃道3点セットが揃いました。
 さらに「崩落」が加われば完璧でしょう。
 
 ここに来て、古い遺構が現れました。
 コンクリート製のガードです。
 これはまず間違い無く、
 佐久間ダム建設当時の物でしょう。
 よく考えたら、ここって凄い険道なんだ。
 この写真の場所の現役時代を想像しても、
 こんな峻険な所に、1車線分の幅しか無いって
 今の県道の常識じゃ考えられない。
 当時最先端の技術を投入して造られた
 佐久間ダムからの道なら尚更です。
 しかし、佐久間ダムに関係する道のほとんどが、
 険道か廃道になっている今となっては
 諸行無常を感じます。
 

 ついに、行く手を薮に塞がれてしまいました。
 もはやここまでか?
 でもさっきから水が激しく流れる音がします。
 川があるのでしょうか?
 意を決して薮に入ってみます。

 
 木々の間から、水の流れが見えます。
 渓流の様です。
 草むらの中に大きな落石があります。
 それを乗り越え、避けつつ進みます。
 これは「橋」があるパターンですね?
 もうすぐ橋が現れるはず。
 あれ? でも見当たらないよ?
 何だか道の様子が変です。
 これは…
 行きすぎです。
 いつの間にか道を外れて、
 山に入って行ってしまいました。

 ちょっと戻って来て、
 橋が… 無い。 !?
 渓流の音かと思ったのは、橋台を流れ落ちる
 水の音でした。
 土石流で橋が壊された様です。
 土砂と岩で渓流が埋まって、流れが変わって
 橋台に滝を作ったらしいですね。
 向こう側の道にも、沢山の岩が溜まってます。
 山側を迂回すれば行けそうだけど、
 今回はこれにて撤収。

[2005年9月現在]

さて、大嵐廃道のレポートは取り敢えず終了です。
このレポートを見ると2〜3kmぐらい行った様に見えるけど、実はたった600m程の距離しか歩いてません。
短い距離に見えないぐらい、変化にとんだ廃道でした。
でも、これを見て「な〜んだ。これなら簡単に佐久間ダムまで行けるじゃん。」って考えたあなた。
甘いです。今までのはほんの前座。
この先はこれを上回る、危険地帯のオンパレードです。通常の3倍です。
それでも行こうという人は、ちゃんと山歩きの装備を整えて来て下さいね。

たった600mの距離でしたが、見所の多い廃道でした。
9月の探索なので、薮が酷かったのですが、ここのサイトで2004年3月の様子が見られます。
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