【静岡県・県道288号線-大嵐廃道】前編
佐久間ダムのダム湖の横を、延々と続いていく廃道があります。
全長はゆうに15km以上。今回はその廃道の北側から攻めてみました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 この地方じゃけっこう有名な物件です。
 秘境を走る飯田線。
 そこの傍らに残る廃線跡のトンネル。
 さらに、その廃線跡を利用した県道。
 さらにさらに、廃道化したその県道。
 見に行かない手はありませんね。

 萌える廃道の地図はこちら→■周辺図■

 国道418号線の酷な道を
 延々と下って行き、さらに、
 県道1号線を南下する事10kmあまり、
 ようやく飯田線の大嵐(おおぞれ)駅に
 到着しました。
 無人駅ながら新しく可愛い駅です。
 駅があるのは静岡県ですが、
 愛知県の富山村の表玄関となっております。
 駐輪場には地元の人達の、
 自転車やバイクが置いてあります。
 廃道にチャレンジする人は、
 ここでトイレを済ませた方がいいでしょう。
 
 秘境を走る鉄道らしく、
 ここもトンネルとトンネルの間にある、
 不思議な駅です。
 そんな訳ないって?
 トンネルを出たらすぐホーム、
 ホームが終わったらすぐトンネル。
 ほら不思議。

 さて、廃線跡を写してみました。
 これが飯田線がかつて通っていた場所です。
 駅前を通る、ただの細い県道みたい。
 しかしこれが、あの凄まじい廃道へ
 繋がっているのです。
 
 さっそく1番目の隧道に来ました。
 鉄道の物だけあって、縦長な格好です。
 隧道の中に置いてあるのは、
 高齢者がよく乗っている電動カーです。
 駐車場かここは?
 いや、それよりもっととんでもない物が
 隧道の横に置いてあった。
 それはモーターボートですよ。
 こんな山奥に。

 あ、でも、ダム湖で使ってたのかしら?
 
 隧道の中は掃除機のホースの様な
 でこぼこの壁になってます。
 これはもしかして、
 レールをU字型に曲げた物で
 隧道の内壁を支えてるのでしょうか?
 それをさらにコンクリートで固めてあるみたい。
 この景色はまるで、ギーガーの絵のようです。
 ギーガーって、映画「エイリアン」で、
 エイリアンや宇宙船をデザインした人です。
 そのくらい奇妙で気持ち悪い感じ。
 いや、本当にギーガーの絵のような隧道だったら、
 泣いちゃいます。

 最初の隧道はすぐに抜けてました。
 目の前には2番目の隧道、「夏焼隧道」が
 すでに見えてます。
 こちらは長くて1km近くあります。
 そんなに長いので、
 向こう側の出口が見えません。
 
 あっ。こんな所にヘキサシールが。
 標識が無いと思ったらシールですか?
 予算節約のためなんだろうか。
 まあ珍しいからいいか。

 夏焼隧道から、さっきの隧道を見てみた。
 すぐ向こうに1番目の隧道が。
 なんか人の気配がしない場所です。
 道端を通る配水管から聞こえる
 水の流れる音だけが、
 生活感を感じさせてくれます。
 
 話に聞いていた通り、狭い幅です。
 狭いと言っても、小型のトラックぐらいなら
 楽に通れる幅はあります。
 照明も付いていて、
 真っ暗と言う訳じゃありません。
 だいたい写真ぐらいでしょうか?
 その点は安心だけど、
 中は坂になってるので、見通し悪しです。
 それに写真を見るとわかるけど、
 隧道内部は霧が発生してます。
 こんなのは初めてです。
 どうやら、低い温度と隧道内を流れる
 地下水が原因みたいです。
 
 長いようで短い隧道を抜けて
 (1kmの隧道はけっして短くはないか)
 反対側に出ました。
 内部は素堀りでしたが、坑門付近は
 コンクリート造りです。
 ここから見ても、霧でもやってる。
 隧道内は、夏だというのに寒い程です。
 
 隧道を抜けると、道は丁字路になってます。
 T (テイー) 字路じゃなく、
 丁 (てい) 字路が本来の書き方。
 交差点を+ (プラス) 字路とは言いませんよね。
 まあ、それはおいといて…

 左が県道288号線。
 右が夏焼集落への道になります。
 鉄道が通っていた時代は、
 橋を架けて、真直ぐに線路が延びていたって事?

 隧道の傍らにはこんな看板が…
 ここを紹介してるサイトでは、
 おなじみの看板です。
 え〜 なになに
 要するに「大雨の時は、トンネルが冠水するので
 注意して下さい」って事です。
 ダム湖の最高水面より低い訳ですか?
 この隧道が水没するって事は、
 県道の廃道も水没するの?
 でも、最高水面より高さの余裕が少ないって
 書いてあるので、
 水没まではしないのでしょう。
 
 今でさえ水がいっぱいなのに、
 この路面近くまで水位が上昇するの?
 そ…それは恐いぞ。
 湖面にはごみが浮いてるけど、
 9月の台風の影響でしょうか。
 
 上の場所からも見える、
 廃道の入り口です。
 ここもお馴染みのポイント。
 道路下の擁壁がずれてます。
 このままコンクリートの壁がずれていったら、
 中の土が流れ出てしまうかも。
 それって道が無くなるって事ですよ。
 ひょっとしてこれって、
 大変な事になりかけてる?
 でも、まだ大丈夫でしょう。
 

 廃道入り口に来ました。
 夏焼隧道からすぐの所です。

 なんかすでに、
 廃道のオーラ出まくりなんですけど。

 
 通行止が、くどい程連呼されてます。
 そんなに言われなくても、
 こんな道通ろうなんて思いませんよ。
 普通は。
 でも、上の看板は
 「崖崩れのため」とか書いて無いので、
 この廃道がまだきれいだった時、
 つまり、閉鎖された時に掲げられた物でしょう。

 ガードレールの前から見ても
 県道はすでにご覧の状態。
 うわ〜〜…
 道あるの? これ?
 アスファルトのおかげで、
 なんとか県道の面目は保ってます。
 でもここから見える範囲は、
 木々と薮しかないんですけど?
 とりあえず、
 行ける所まで行ってみましょう。

[2005年9月現在]

廃道入り口までは案外、紹介しているサイトはありますが、ここから先は流石に少ないです。
数々の難関が待ち受ける、最凶の廃道の始まりです。
取り敢えず行ける所まで行ってみます。
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