【静岡県・旧飯田線-大嵐廃トンネル】
JR飯田線の大嵐〜佐久間の間は、佐久間ダム建設のため水没しました。
付け替えられた区間は、東側を大きく迂回していますが、今でも古いトンネルが残っています。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 佐久間湖に沈んだ飯田線のトンネルが
 水が少ない時期には見える事を知って、
 さっそく現地に行って来ました。
 それに廃トンネルにも
 行けるらしい?です。
 そのトンネルはここ→■周辺図■

 佐久間ダムの水が減って、
 沈んでいたトンネルが姿を見せました。
 まずは旧飯田線の対岸を通ってる、
 愛知県・県道1号線から探してみます。
 ありましたねぇ。
 トンネルが口を開けています。
 場所は大嵐駅の南側で、
 旧トンネルでもある「夏焼トンネル」の先
 400〜500mぐらいの所にあります。
 夏焼トンネルと言えば、
 県道288号線の廃道の探索の時に
 通ったトンネルです。
 
 さて、対岸からトンネルの位置を
 確認出来たので、
 次は県道288号線上から探してみます。
 県道288号線は以前来た時より
 随分見晴しがよくなってました。
 まあ、冬になって草が枯れたからね。
 今回は県道じゃなくてトンネルなので
 崖の下を見ながら歩きます。
 さっそく怪しい場所が・・・
 あれは… トンネルだ!
 画面中央少し左に見える黒いモノ。
 でも、どうやって下りよう?
 坂は急だし、ずっと下の方にあるよ。
 

 なんとか坂を下りて来ました。
 斜面は乾いた落ち葉で埋められていて、
 これで雨でも降ったら
 滑って危なそうね。
 それでトンネルはと言えば、
 斜面になかば埋もれるようにあります。
 場所も崖っぷち。
 こんな所に鉄道が通ってたなんて、
 信じられませんね。

 
 トンネルのポータルは
 緑がかった色をしてます。
 表面に付いた苔の色かもです。
 アーチの周りには鉄パイプがくっついてる。
 何だろう?
 それに、トンネルを塞ぐように
 鉄パイプがバッテンにくっつけてあるけど、
 これは通行止のため?
 
 中はやっぱり泥で埋まってました。
 水の中で堆積した泥なので、
 やわらかくて上を歩けないかと思ったけど、
 思ったより硬くて大丈夫だった。
 これが水没トンネルの内部か〜
 って、別に普通か。
 
 反対側の出口はほとんど泥に埋まっていて、
 人ひとりが通れるぐらいの
 スペースしか開いてません。
 この向こうはいったいどんな景色があるのか。
 泥の斜面をよじ登って
 隙間から顔を出してみました。
 
 外の景色を見る前に、
 トンネルの上の方を見てみましょう。
 これは壊れてるようです。
 こちらも向こう側と同じポータルが
 あるはずですが、
 無くなってますね。
 少し離れた所からも撮影しようと思ったけど
 それは絶対無理。
 なぜかって?
 その理由は
 トンネルの外を見ればわかります。
 
 これがトンネルから見える景色です。
 うわぁ… 高ぁ…
 トンネルの向こうは急斜面。
 覗いて見ると、はるか下に水面が…
 どうやらポータルは、
 崩れ落ちてしまったようです。
 目の前にはかつて飯田線の橋が乗っていた
 橋脚が立ってます。
 こんな景色は今まで見た事ない。
 すごいねここ。
 いつもは水没してるため、
 植物などは無くて地肌剥き出しです。
 
 さて、トンネルから見える景色を
 堪能したところで引き返します。

 こうやって見ると、
 線路があった場所が土砂で埋まってますね。
 それに、斜面に草が生えてるって事は、
 ここは水没しないの?
 どうやらこのトンネル
 水没したりしなかったりするみたい。
 
 線路はこの斜面をさらに進んで行き、
 すぐに次のトンネルに入って行きます。
 実は私の入ったトンネルは
 最初の写真に写ってた物ではなくて、
 夏焼トンネルから2つめのトンネルです。
 思わぬ収穫でした。
 それで最初の写真に写ってた所はと言うと
 さらに厳しい場所にあって、
 とてもじゃないが接近不可能でした。
 …でも、そんな所にも行った人がいるそうな。
 信じられません。
 県道から見下ろすと・・・
 素人の出る幕じゃないですね( ̄□ ̄;)
 
■今回の水没トンネル探索はひとまず終了。
 そのトンネルの位置と鉄橋や線路の
 推定復元図を作ってみました。
 右側が今回のトンネルで、
 中央にも短いトンネルがあります。
 その間の橋脚には長さの違う橋桁が
 架かっていたので、「架違い橋脚」と言う
 形式の橋脚が使われています。
 北側の橋台は確認出来ません。
 それと夏焼トンネルの坑口は
 改修によって西側に移動しており、

 図で描かれた場所が改修前の坑口の位置です。
 (画像をクリックすると別窓で開きます)

[2006年3月現在]
 
 1年後の2007年4月に、
 再びやって来ました。
 今度は前回行けなかった、
 対岸の県道1号線から見える
 2つのトンネルの探索です。
 しかし、時すでに遅し。
 ダム湖の水量が増して水没してました。
 でも、代わりにこんな物を発見!
 これは、夏焼トンネルと、
 前回のトンネルとの間にあるトンネルです。
 県道の廃道上から確認出来ました。
 しかし、あまりに険しい所にあるので、
 接近は不可能です。
 
 でも、夏焼トンネル側の
 ポータルからなら入れるかも?
 と、言う訳で探してみました。
 しかし発見できず…
 おかしいな。このあたりにあるはずなのに。
 ・・・ひょっとして、ここ?
 夏焼トンネルの正面には、
 県道のずれた擁壁があるけど、
 この中に…つまり県道の下に
 ポータルが埋まってるのかも?
 壁がずれた原因も、
 トンネル内部の崩落かもしれません。
[2007年4月現在]

古い地形図を見ると、まだまだトンネルが連続する区間があります。
県道288号線全線踏破すれば、もっと沢山の廃トンネルが見られるかもしれません。
ただし、南側の終点の佐久間ダムまで、片道約5時間半かかるそうなので、時間的余裕が必要ですが。
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