【岐阜県・飛騨市-滝見橋とニコイトンネル】前編
岐阜県下最大級のニコイ大滝。そこには30年以上放置された、観光地の廃墟があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 ついに行って来ましたニコイ大滝!
 そしてそこに架かる朽ちたアーチ橋。
 岩盤剥き出しの素堀りトンネル。
 すべて廃物件。
 幻の観光地・ニコイ大滝は
 どんな姿を見せてくれるのか?
 【周辺図】

 飛騨市の国道360号線を
 巣之内で東側に入ります。
 途中、種蔵集落と言う、
 棚田で知られる集落の横を通り、
 青少年旅行村を過ぎて林道を行くと、
 こ〜〜んな眺めのイイ所に来ます。
 新緑がまぶしい景色ですね。
 さて、ニコイ大滝への道ですが、
 かなり分かり辛くなってます。
 …なので、1度間違えました…
 
 正しくはココ!
 目印は「立入禁止」看板。
 画面中央少し左の赤いのがそれですね。
 ちょうど車1台停めれる広場があります。
 ここからなら上の写真のような
 気持ちいい眺望もあります。
 さて、セロー君はここでお留守番。
 滝までの遊歩道はバイクの向こう側です。
 しっかりとした道が通ってます。
 
 写真だと分かり辛いけど、
 真ん中に歩道があります。
 いや〜 森林浴って感じで気持ちいい。
 とは言え、熊が心配なので
 熊よけベルを鳴らして行きます。
 まあ、鳥の鳴き声しかしないのだけど…
 遊歩道は途中九十九折れで
 高度を下げて行きます。
 実はここまで滝の音が聞こえてきます。
 
 しばらく歩くと、大規模な?人工物が…
 これは桟橋ですね。
 薄いコンクリの板が
 細いパイプで支えられてるけど、
 大勢の人が乗ったら壊れそう。
 30年ぐらい前に
 リゾート開発が中断されたそうだけど、
 こんなんで観光地としてはアリなの?
 
 遊歩道は桟橋でぐるりと廻って
 左に曲がって行きます。
 あの向こうに例の橋があるはず。
 で。手すりが大変な事になってます。
 全部ずり落ちてますよ。
 雪の重みで潰れたんだろうか?
 なにげに、危険度がアップしてますよ。
 危険ではあるけど、
 それほどヤバイ感じじゃナイです。
 …もうそろそろ橋かな?
 
 キターーーー!!
 これが例の「滝見橋」です。
 木々に埋もれて全容が見えない。
 まともな橋にはありえない景色だよ。
 もうちょっと早く来るべきだったかな?
 こんなに“見えない”なんて
 思わなかった。
 雪が降る直前ぐらいの時期なら
 木が枯れて、全体が見れそうです。
 
 さ…さぁて、渡りましょうか。
 ここも大変な事になってる。
 欄干がベシャリと潰れてるし、
 苔が生えてるし、
 落ち葉も積もってる。
 老巧化してて、危ないらしいけど、
 取り敢えず渡ろう。
 
 赤い橋。
 だと思ったら、
 本来は白い橋だったようです。
 長い間放ったらかしになってたので、
 塗装のはげた所がさびたのですね。
 ちゃんと管理されたアーチ橋なら
 どんなに古くても安心して渡れますが、
 ここは…
 コワイよ…
 なんか、揺れてるような気がするし…
 
 いや、もちろん気のせいですよ。
 今日は風もないし、
 揺れるはずもありません。
 まあ、気にしない気にしない。
 で、これが幻のニコイ大滝です。
 落差約130mで、岐阜県下最大級だそうな。
 立派なもんですが、
 これだけしか見えない。
 あとは木々に埋もれてます。
 ほら、やっぱりもっと早く来るべきだった。
 
 振り返って林道側の方を撮影。

 そう言えば、さっきから変な音がしてる。
 最初、何かの動物の声かと思ったけど、
 どうも違うみたい。
 現地じゃ正体が分からなかったのですが、
 まさか… あれって、橋が軋む音?
 いやいや、気のせい。
 うん。気のせいですよ。
 
 やっと対岸に到着しました。
 この橋の変わった所のひとつで
 途中で橋桁が曲がってます。
 アーチ橋なのに珍しい。
 じゃあ、この下って
 どうやって橋桁を支えてるの?
  下をよく見たら橋脚が立ってた。
 それに、欄干がぶっ壊れてるよ。
 落石が直撃したみたい。
 
 欄干の壊れた所からだと、
 さっきより橋の姿がよく見えます。
 なんとも華奢なアーチです。
 上路逆ランガーってところでしょうか?
 大小のパイプを組み合わせて
 橋が造られてます。
 橋が造られた当時は、橋の全体が
 遠くからでも見えたようですが、
 30数年の内に木が成長して
 今じゃご覧のありさまですね。
 その内、周りの木によって破壊されそう。
 
 今回のもうひとつの目的地、
 「ニコイトンネル」。
 橋を渡った先に口を開けてます。
 トンネル前には
 落石や倒木も転がってて、
 廃物件として、すっかり熟成されてます。
 やっと地面のある所に来たけど、
 まだ揺れてるような・・・
 やっぱり気のせいでしたね。
 …気のせいならよかったのにね…
[2011年6月現在]

およそ30年前、ある会社がニコイ高原をリゾート地として開発しました。
しかし開発は中断し、後には大きな橋とトンネルしか残りませんでした。
中止の理由は何なのか?無許可で開発をしたからという情報もありましたが、詳細は不明です。
「滝見橋」は元々真っ白に塗られていました。
建設された当時の写真を見付けましたが、遠くからでも見える程目立ってました。
現在ではすっかり錆びてしまい、放置された年数相応のダメージが蓄積されてることでしょう。
橋の構造自体に、どこまで老巧化が進行しているのか、見ただけじゃ分かりませんが、
欄干を貫く程の落石がアーチ部分を直撃すれば、間違いなく倒壊してしまうでしょう。
滝見橋も日々寿命をすり減らしながら、来るはずの無い観光客を、今でも待ってるのです。
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