愛知県・豊橋鉄道田口線跡-宮裏・双瀬トンネル
愛知県鳳来町から設楽町田口まで繋いだ、豊橋鉄道田口線。
ほとんどの部分が使われなくなった田口線跡ですが、線路からアスファルトに変わった所があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 終点・三河田口駅の方にも
 町道に生まれ変わった所があるけど、
 滝上駅から玖老勢駅の間も
 車道に転用されてます。
 そこには、味のあるトンネルが2つ。
 その内の「双瀬(ならぜ)トンネル」は
 田口線の象徴とも言えるトンネルです。
 まずは地図で位置を確認→■周辺図■

 薮に埋もれた「滝上駅」から南に
 軌道跡を利用した、車道が伸びてます。
 そこを走ってくると
 これはい〜い景色だ。
 目の前には桜の木があります。
 3月なので全然咲いてません。
 下で咲いてるのは梅だろうか?
 これで桜満開だったらスゴイきれいだったのに。
 画面右側に見える道は県道32号線です。
 
 すっかり「道路」が板に付いてます。
 言われなけりゃ鉄道が通ってたなんて
 わからないですね。
 ちょっとした桜並木になってるけど、
 廃線後に植えられたんでしょうか。

 ここは地元の人の
 散歩コースになってるみたいです。
 
 田口線の軌道跡の道は、
 途中で右にそれて行きます。
 バス会社の車庫をさけるためですが、
 この車庫がある広場には、
 かつての「三河海老駅」がありました。
 ・・・後から知ったので、
 残念ながらそこの写真はないです。
 あらためて軌道跡に戻ります。
 相変わらず細い道が続きます。
 細くて大型車は通行禁止。
 道の向こうの森までの間は築堤になっていて、
 途中に鉄橋が架かってます。
 「巣山川鉄橋」だそうです。
 
 あら、こんな看板がある。
 「四季彩の道」ですか。
 看板の隅に「田口鉄道敷きを並木道に」
 とあります。
 いろんな花で色とりどりに飾ろうって訳ね。
 ここにも黄色い花があります。
 “色彩”にかけて“四季彩”なんだ。
 それとも“四季いろどりの道”なのかな?
宮裏トンネル

 少し行くと見えて来ました。
 これが「宮裏トンネル」です。
 山の出っ張りにぽこっと開いてます。
 ポータルが無くて、
 中はすべてコンクリート巻き。
 右側には林道が分岐してます。

 
 このトンネルは短いので、
 あっと言う間に通過しちゃいます。

 それと、この道はこんなに細くて、
 車なんか出会いそうもないように見えるけど、
 トンネルを撮影中も2台の車が通った。
 地元の生活道路でもあるので、
 訪問する人は、迷惑にならないよう
 気を付けましょう。
 

 振り返って今来た方を見てみた。
 さっきまで気付かなかったんだけど、
 道の上に木が倒れ掛かってるよ。
 反対側の切り通しで止まってるので、
 なんとか車は通れます。
 でも、放っておくとその内折れて、
 道に落ちてくるかも?

 
 南側は立派なポータルがあります。
 こちらの斜面の方が、
 地質的にもろいからでしょうか。

 今となっては、
 普通に道路の隧道のようです。
 
 ちょっと森の中のような所を通って行きます。
 あんまり…っていうか、
 まったく鉄道跡らしさの無い道が続き、
 コメントに困ってしまいます。
 次の「双瀬トンネル」に期待しましょう。
双瀬トンネル

 来たっ♪
 これが「双瀬トンネル」です。
 読みは「ならぜトンネル」。
 崖にうがたれたトンネルで、
 昔の写真を見ると、このトンネルに
 入って行く電車の姿が写ってます。
 田口線に数多くのトンネルあれど、
 こんな絶好なロケーションにある物は
 ここだけです。
 
 もう少し近付いてみよう。
 近くで見ると坑口が変型してる。
 岩が斜めになってる場所に
 トンネルを掘ったからですね。

 坑口の上を見上げれば、
 金属製のネットが掛かってます。
 岩肌を押さえてるみたい。
 
 よく見ると長細い岩が固まった物が沢山ある。
 これは“柱状摂理”と言われる
 溶岩が冷えて固まったときに
 柱みたいに割れた物です。
 そう、“割れて”いるんですよね。
 だからネットで押さえてるって訳なんだ。
 これが無いと岩が落ちてきて危険です。
 このネットは道路になった時に
 掛けられた物のようです。
 
 中は半分ぐらいがコンクリート巻きです。
 残りは岩盤剥き出しの状態になってます。
 この辺りは“玄武岩”で出来てるのでしょうか?
 いやもしかして“安山岩”かも。
 この付近の地質は複雑で、
 素人目にはなんだかよくわかりません( ̄▽ ̄)
 
 変型した坑口を中から見ると
 これまた複雑な形をしてる。
 トンネルを斜めに輪切りにしたみたいです。
 ここがもし煉瓦のトンネルなら
 “ねじりまんぽ” になったはず。
 “ねじりまんぽ”とは煉瓦を傾けて積んで、
 斜めの坑口を造ったものです。
 しかしこれって、
 アーチ構造になってない部分があるけど、
 大丈夫なんだろうか?
 コンクリートがベロッて剥がれて来ないのかな。
 
 反対側は割と普通です。
 硬い岩盤なのでポータルは無いようですが、
 向こう側と違って、
 摂理構造じゃなくて、不規則な形です。
 柱状摂理なのはあの一部分だけみたい。
 ちなみにこの場所で猿を見た。
 道を横切って行った。
 猿が去るだ。(洒落だ)
 
 さて、素晴らしいトンネルを堪能した所で
 先を急ぎましょう。
 この道を進めば再び県道に出ます。

[2006年3月現在]

きれいに整備され、見晴しのいい場所を通っているので、散策には最適です。
狭い道なので車での訪問は気を付けた方がいいでしょう。
三河田口駅付近の町道利用されている所は、釣り人の車で溢れかえっていて、
風情もへったくれもありませんでしたが、ここは落ち着いて観て回れそうです。
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