【長野県・上松町-諸原橋】
岐阜県と長野県を流れる木曽川には、大正時代に架けられた発電所関連の橋があります。
しかし、今回の吊り橋は、時代が若く昭和時代の建設です。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 国道19号線からちらっと見えてたけど、
 なかなか見に行く機会がありませんでした。
 で、先日ようやく行ってきました。

 国道19号線沿いの旧道?にある、
 小さな集落の橋が、
 今回の「諸原橋」です。
 生活道路のための橋みたいです。
 実に素朴な風情です。
 昭和31年7月竣工。
 昭和の懐かしい風景ですね。
 
 主塔のアーチが大正時代の物と違って、
 実にシンプルです。
 そう言えば、岐阜の丸山ダムにある
 小和澤橋に似てますね?
 …そんなに似てないか…
 
 集落内にあるからなのか、
 アンカレージが民家の隣にあります。
 生活密着型吊り橋です。
 下に置かれたビールケースが
 いい味出してます。

 では、渡ってみましょう。
 
 主塔を詳しく観察しよう。
 扁額が小さいです。
 すんごい控えめ。
 銅製なのか緑色になってる。
 でも、ちゃんと「諸原橋」と書いてある。
 それに街灯まで可愛いのが付いてます。
 
 主塔をくぐって、何気に上を見たら
 でっかいスピーカーが…!!
 何?
 ダムの放流を知らせるモノ?
 それとも、村内の有線放送かな?
 
 竣工年を書いた銘板を見るまでは、
 大正時代の橋だと思ってました。
 どう見ても大正時代の雰囲気ですね。
 よ〜く見ると床が傾いてる。
 風のせいみたいです。
 強い風で持ち上がってる?
 耐風索のおかげで、
 橋桁が風で持ち上がったり
 揺れたりするのが抑えられてます。
 
 途中で振り返ってみた。
 集落の様子がわかりますね。
 集落は国道より一段低い場所にあり、
 ここを通るのが中山道だそうです。
 民家の玄関を見ると、表札とは別の
 “◯◯屋”と書かれた札も掛かってた。
 屋号ってやつですか?
 何か歴史を感じるねぇ。
 それ…何の屋号だろう?
 
 床板はこんな感じ。
 この古い感じは、オリジナルの部品なの?
 あと10年もすれば、
 老巧化のため通行禁止になりそう・・・
 まあ、その前に
 張り替えになるんでしょうけどね。
 
 欄干はこんな感じ。
 こ…こわれそう…
 トラスの木材の、そこら中がヒビだらけ。
 金属の棒で、木材が抜けないように
 押さえてあります。
 
 メインケーブルとハンガーケーブルは
 こんな感じ。
 昭和30年代製の割に
 クラシカルなデザインですねぇ。
 もしかして、他の大正時代の橋に合わせて
 こんな吊り橋にしたのかも?
 って言うか、統一感?
 
 対岸のアンカレージはこんな感じ。
 民家の庭先を占拠してるみたいだ。
 しかも、メインケーブルの真ん中に
 電柱が立ってる。
 これ、工事するのが大変だったろうね。
 
 今度は橋の全体像をどうぞ。
 この写真は他のより大きなサイズで
 見れます。
 長野県だからなのか、
 5月でも山の中に桜が咲いてます。
 
 最後は橋の下写真です。
 ハンガーケーブルで吊っている所以外、
 全部木製なんですね。
 床板が古くて、割れそうに見えたけど、
 裏側は新品同様?で安心ですね。
 まだまだ現役で頑張れそう。

[2010年5月現在]

「諸原橋」は、長野県上松町萩原の国道19号線脇の、立町集落と諸原集落を結ぶ橋です。
集落の何軒かの家の玄関には、「坂口屋」などと書かれた札が下がっています。
これはかつて、立場茶屋があった名残だそうです。
「立場茶屋」とは、街道沿いに設けられた、休憩施設や売店のことです。
今で言えば、国道沿いのドライブインとか、道の駅でしょうか?
昔はさぞかし賑やかな場所だったのでしょう。
現在は軒先に掲げられた屋号が、歴史の1ページとして残っているのみです。
道ネタ「橋梁」TOPへ…