【岐阜県美濃市-美濃橋】
大正時代から長良川に架かる、国指定重要文化財の吊り橋。現存する最古の近代吊り橋です。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 おおっと、
 ここにもあった、現存最古物件。
 大正ですよ、たいしょう。
 大正5年竣功です。
 ではさっそくまいりましょう。

 まずは地図で位置を確認→■周辺図■

 美濃市の北西にある小倉山のふもとに、
 美濃橋があります。
 さすが大正時代の吊り橋です。
 なんとも個性的なデザイン。
 塔というより、“門”ですねこれは。
 主塔の前に立ってる街灯も、いい雰囲気ですよ。

 ちなみにこの橋、車じゃ渡れません。
 歩行者と自転車のみですね。
 
 橋を渡る前に、
 ケーブルを支えるアンカーも
 見ておきましょう。
 橋の横を通る道の上をまたいで
 ケーブルが田んぼの中に刺さってます。
 コンクリートブロックの表面には
 丸い石がくっついていて、
 石垣みたいになってる。
 
 さて、橋を渡ります。
 と、その前に「美濃橋」の諸元を…
 橋長113m、支間116m。幅3.1m
 見てもわかる通り長い橋です。
 完成当時は日本最長でした。
 さすが重要文化財、立派なもんです。

 さてさて、橋を渡りましょう。
 写真じゃわからないけど、
 今日は風が強いです。
 下の河原では砂塵が舞ってます。
 川の上なので台風のような風です。
 歩いていても飛ばされそう。
 
 そんな強風の中でもこの吊り橋は
 びくともしません。
 やはりこの「トラス補鋼」のおかげでしょう。
 これは「ダブルワーレントラス」だ。
 これのおかげで全然揺れません。
 すごいですね。
 

 下を見ると清流・長良川に、
 美濃橋の影が落ちてます。
 川の中程には釣り人が何人かいて、
 鮎を釣ってるようです。
 ここは有名な友釣りの場所らしく、
 シーズンを通じて釣り師が絶えないそうです。

 
 反対側までやって来ました。
 主塔には堂々とした扁額があって、
 「美濃橋」とあります。
 古い割にはきれいな表面だけど、
 これって塗り直されてる?
 よく考えたら、扁額が白いのは変だね。
 やっぱり白く塗り直したんだ。

 橋が出来た当時もこんな景色だったのかな?
 右側の街灯も、昔ならガス灯でしょう。
 

 こちらは小倉山のふもとになります。
 目の前には旅館「緑風荘」と
 「河鹿荘」があります。
 手前の道を南に下れば、
 素堀り隧道「小倉隧道」に行けます。
 途中、道路がクランクになってるので、
 注意して下さい。
 あ。それと、車が美濃橋を
 渡ろうとしてるように見えるけど、
 車は通れませんよ。
 念のため。

 
 こちらのケーブルは、
 岩盤に直接打ち込んであります。
 バスと比較してみると、
 高い位置にあるのがわかります。
 
 そう言えば、まだ橋全体の写 真が無かったね。
 これです。
 出来たのが大正5年なので、1916年ですね。
 実に90年前です。
 90年もの長きに渡り、
 壊れもしないで存在していたなんて…
 現存最古って事は、同時代の物は
 ほとんど残って無いって事でしょう?
 
 なんて関心してたら、こんな看板が・・・
 え〜、何々…
 大変老巧化して危険…ニ十人以下に制限?
 この橋って、20人以上で渡ったら
 落ちるの?
 っていうか、誰が人数を数えるのだろう。
 何か知らない内に21人越えそう。
 トラス補鋼があるので、
 ケーブルが切れても
 いきなり落ちたりしないでしょうけど。
 いや、保証は出来ませんよ。
 
 足元にも小さなプレートがありました。
 何だろう?
 昔の物か、って思ったけど
 平成11年の物だった。
 なんだ、新しいんだ。
 その割には色はげてるよ。
 「水力発電周辺地域交付金事業
 美濃橋橋梁修繕工事」だそうです。
 修繕したのですね。
 でも、21人は無理。
 
 今度は河原から見上げてみます。
 青空をバックに白い主塔が映えます。
 下の石垣は「玉石練積み」で、
 石とコンクリートで造られてます。
 大正から昭和初期に発達した技法だそうです。
 ここにあるのはまさに、
 最新技術のすいを集めて造られた橋です。
 90年前の“最新技術”ですが。
 
 橋桁を裏から見ると、
 木の板が丸太に乗ってるのがわかります。
 こんな風になってたの?
 けっこうローテクだ。
 いえいえ、当時はこれでも最新技術。
 
 大正時代から90年の時を経て、
 21世紀まで残った美濃橋。
 実用されている文化財。
 老巧化が進むとその内に
 誰も渡れなくなるんだろうか?
 でも、まだまだ大丈夫そうですが。

 ああ。でも気になる…( ̄ω ̄)
 20人以上渡ったらどうなるんだろう?

[2006年2月現在]

岐阜県の美濃市は「うだつの上がる町並」として有名です。
平成11年に重要伝統的建築物群保存地区に指定され、往時の町並を、今でも見る事が出来ます。
古い物を大事にしようという精神のおかげで、
「美濃橋」も、今でも歩いて渡る事が出来る程に、整備されています。
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