【岐阜県・県道58号線-袋坂峠旧道&分岐廃道】後編
岐阜県金山町と七宗町にある袋坂峠。江戸時代までは飛騨街道と呼ばれていた道ですが、
明治10年9月に県道2等として新たに等級づけがなされました。
その後の大正9年には県道認定第1号となり、袋坂峠はその県道1号線の南の要衝として栄えました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 前編は、さすがに歴史のある街道の風情を残す
 味わいのある道でした。
 後半は一旦、現道に合流します。
 それからまた分かれて下って行くのですが、
 途中から謎の廃道が…
 と言うわけで、レポート後半をどうぞ。

 峠を過ぎてすぐに、
 地層がむき出しになっている所がありました。
 何だか曲がりくねっています。
 そりゃあもう、ぐにゃぐにゃです。
 褶曲(しゅうきょく)と言うものですが、
 地層が圧力を受けて曲がってしまった物です。
 一体どれ程の力だったのでしょうか?
 この辺一帯の岩石はチャートで出来ています。
 チャートとは放散虫と言う微少な生物の化石が
 海底に堆積して出来た岩です。
 千年間で数ミリしか堆積しないそうです。
 石英と同じ成分で硬い岩ですが、
 そんな硬い岩が曲がるなんて、
 大地のパワーはすごいです。

 
 道の歴史だけでなく、
 大地の歴史さえ見る事の出来る旧道です。
 ここからは平坦な道が続きます。
 こんな道でも、昔はトラックが通ったそうです。
 
 しばらく走ると、さっきよりはっきりわかる
 チャートの地層の褶曲がありました。
 古色蒼然としています。
 一体いつからこんな状態なんでしょうか。
 さすが硬い岩だけあって、崩れてません。
 しかし、風化すると簡単に崩れる
 ある意味、やっかいな岩です。
 

 旧道は崖っぷちを通ります。
 下には、これから通る道が見えます。
 高低差は10mぐらい?
 でも、思った程の急坂はなく、
 いたって平穏な旧道です。
 あっ、そう言えば最初に
 「後悔するかも?」って書いたけど、
 後悔どころか、旧道らしい良い景色です。
 段々道の状態は良くなって来ました。

 

 ヘアピンカーブで180度ターンします。
 大型車では一苦労しそうです。
 ローダウンした車じゃ
 フロントフェンダーをこすりそう。

 現代の車のレベルからすると
 このくらいの坂は、何て事ありませんが、
 昔はさぞ大変だった事でしょう。

 
 ここで現道に合流します。
 合流と言うより、接近ですね。
 峠付近の荒れた道がうそのように
 きれいです。
 ここより先は、今でも利用されている感じです。

 でも、ここから旧道に入って
 峠のあの状態を見たら、きっと
 騙されたって思うでしょう。
 それだけギャップがありますね。

 一旦、もと来た方向に曲がって行きます。
 
 合流地点からさらに下って来ると、
 カーブの途中に、
 細い道が分岐しているのを発見。
 森の中に続いているので、
 林道かと思いましたが、
 細いながら、しっかりと舗装してあります。
 ちょっと寄り道しましょう。

【分岐廃道に入ったレポートはこちら】
 

 さて、あらためて出発します。
 旧道は現道をアンダーパスして行きます。
 ここからは、
 現道の姿を垣間見ながらの、道行きになります。

 
 現道と平行して行くと、
 杉トンネルが、木立の向こうに見えます。
 こういうのを見ると、
 バイパス開通前はどんな景色だったのか、
 色々想像してしまいます。

 旧道はトンネルの横を廻り込んで行き、
 もう一度、現道の下をくぐると
 間もなく、袋坂峠旧道の旅は終わります。
 

 旧道は渓流の横を通ると、
 すぐに現道に合流します。
 ここから、途中現道に合流する所までは、
 利用者は多そうです。

 この旧道はこんな状態のまま、
 次の世紀を迎えそうな予感がします。
 100年たったら、また見に来ようかしら?

[2004年7月現在]


旧道の色んな景色が楽しめる、なかなか味わい深い道でした。なかったのは橋ぐらいでしょうか。
(ひょっとしたら見落としたかも)
北側の金山町からスタートすると、まるで明治・大正・昭和と、時代を遡って来るみたいです。
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