岐阜県・西濃鉄道廃線跡-市橋線】
岐阜県大垣市北西には、広大な石灰鉱山「金生山(きんしょうざん)」があります。
そこから石灰石を輸送するために、昭和3年に敷設されたのが、西濃鉄道です。
「市橋線」は現役の路線ですが、このレポートでは休止線の部分を紹介します。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 順番的には昼飯線の後になってるけど、
 見て来たのは2年も早い、
 2005年1月です。
 だからまったくもって最新情報ではありません。
 まあ、どんな最新情報も
 発表されたとたんに古くなっていくもんだし、
 そんなに気にしなくてイイか?
 今回は廃線全体の地図ですよ。→■周辺図■

 西濃鉄道市橋線を
 廃線に分類するのは間違いなのです。
 ここはまだまだ現役の貨物線です。
 写真の踏切りもちゃんと機能してます。
 1日に3往復ほど石灰石を運んでいるそうです。
 まだ見た事ないけど…
 でも、ここから見る景色は
 まさに工場地帯の真只中って感じです。
 遠くに見えるプラントなんか、
 好きな人にはたまんないでしょう。
 しかし、私の目的は違うので、
 先に進みます。
 
 しばらくすると、
 錆びたレールの上に枕木が乗ってるのを発見。
 その上に立ってるのは、
 「車止標識」ってものだ。
 つまり、ここから先は列車通行止です。
 市橋線で現役なのはここまで。
 ここから先は休止線あつかいだそうです。

 この辺りに「乙女坂駅」って言う駅が
 あるそうです。
 どこにあるのかわかりませんが…
 
 何かの標識?信号?が立ってる。
 左側の建物は石灰石を積み込むための物だろうか?
 こういうのがここの“駅”なんですか?
 そうすると、向こうにあるのも駅っぽい。
 それに奥に見えてる大きなパイプは
 石灰石を送るためのパイプのようです。
 
 ずっと休止中なのか、
 レールはすっかり錆びてます。
 バラストからは雑草が生えて
 廃線の雰囲気がそこはかと…
 ここも石灰岩がバラストに使われてます。
 現地調達ですね。

 線路を辿っていくと、
 線路をまたぐように、何かの施設がある。
 何でしょうか?
 

 これは「ホッパー」と言う
 鉱石を貨車に“落とす”ための物です。
 今でも使っていそうなぐらいきれいですが、
 休止線なのでこれも休止中なのでしょう。
 ちょっと勿体無い。
 でも、休止状態じゃなければ
 こんな真下からは見れないよね?
 でも、いま石がバラバラって
 頭の上に落ちてきたら
 面白いかもって、ちょっと思ったり。
 ギャグみたいで・・・

 
 まだまだ休止線は続いて行きます。
 ここでも線路が分かれていて、
 引き込み線みたいになってるけど、
 これは石灰石を積み込む所に
 列車が入るための引き込み線みたいです。
 前を見てもそれっぽい建物がありますね。
 画面右の電柱に「40」ってあるのは、
 道路の制限速度ですよね?
 何だか鉄道の標識に見えなくもない。
 普段はこの道路を、石灰を積んだダンプが
 たくさん走ってるそうだけど、
 今日は日曜日なので全然いません。
 

 ここはもう工場地帯の北側のはしっこです。
 この青い貯蔵タンク?が最後になります。
 もうその向こうは普通の民家しかありませんね。
 あ。でも、なんか今までと雰囲気が違う物が…
 遠くに見えるあれは、
 ホッパー?

 
 ホッパーだった。
 しかもコンクリート製。
 これは古そうだ。
 それに周りの景色は、どう見ても“廃線”です。
 ここに来てそれらしくなってきた。
 「西濃鉄道“廃線跡”」ってタイトルが
 あながち間違いで無くてひと安心。
 こういうのも街中の廃線って言うのかな?

 ホッパーの横にも雑草にまみれた
 レールがあります。

 おっと、今得た情報によりますと、
 この市橋線にはかつて、
 旅客列車が走っていたそうです。
 このレールの上を走ってたのでしょうか?
 でも、すぐやめちゃったそうですが…
 
 ホッパーの中も見てみましょう。
 さっきと違って、
 廃墟といった雰囲気です。
 ここにも石灰の工場があったのでしょう。

 天井に開いた穴から見える空は
 やけに青く見える。
 
 下を見れば、
 落ち葉と雑草に隠された線路が…
 普通の鉄道と違って、
 そこら中にポイントがあります。
 石灰石を積み込む貨車のための
 引き込み線でしょうか?
 
 ポイントを変えると
 くるっと回る器械。
 錆びて汚れて、もう動きません。
 その向こうに見えるのは「勾配標」ですね。
 どうやらこの辺りは下り坂のようです。
 雑草の間に見える白い物は
 半分凍った雪です。
 1月ですから。
 
 これは踏切りの跡です。
 ここを列車が通らなくなってからも
 車の通行があったのか、
 レールは結構きれいです。
 しかし、それ以外の場所はプチ薮状態。
 
 金生山の方には、
 何かの鉱山施設の廃墟があります。
 この場所での採掘は終わっているみたいです。
 ここも現役の採石場と同じく
 ベンチカットと言う方法で
 採掘されていました。
 東側を通っている国道からここを見ると、
 なかなか凄い景色になってます。
 山がガタガタに削られていて、
 鉱山だって知らなきゃ、
 いったい何事?っていう景色です。
 
 もう少し進むと、
 「市橋駅」があった跡です。
 昔はここに鉱山施設がありました。
 今はきれいさっぱり無くなってます。
 でも鉄道の施設は残ってる。
 とは言え、目的地を失った鉄路は
 果たすべき役目も無くなり、
 もう錆びるにまかせてます。
 ここには雑草が無いので、
 ポイントを動かす転てつ機がよく見えます。
 ・・・ちょっと動かしてみようかな?
 ハンドルを持って、ぐいっと…
 
 残念。動きません。
 まあ、それは置いといて…
 バラストが金生山の石灰岩なので、
 “あれ”がないかと探してみたら、
 ありました。化石の入った石灰岩が。
 灰色の石灰岩にいっぱい入った丸いもの。
 「フズリナ」ですよ。
 それにピンクの結晶が付いた物とか
 いろいろありました。
 ちょっとした鉱石採集体験ですね。
 
 再び線路は雑草に覆われてしまいます。
 駅の跡なのに、
 ホームも駅舎も無いので、
 実感が湧きません。
 
 上にはコンクリートの台座のような物が。
 いえ、壁ですか?
 でも鉱山施設の一部だったのは確かでしょう。
 金生山の真ん中では現在も
 石灰石の採掘がされてますが、
 こちらの東側での採掘は終わっていて、
 閉鎖・取り壊しをされたのでしょうか?
 
 市橋線の終点まで来ました。
 金生山のはしっこなので、
 駅は斜面を削って造られてます。
 その斜面の上には
 何か建物がいくつかあります。
 これは鉱山施設だった物でしょうか?
 詳しくは見て来なかったけど、
 廃墟っぽい雰囲気が・・・
 それに白いバラストに錆びたレールが
 不思議なコントラストを作ってる。
 ちょっと夢の中の景色のようです。
[2005年1月現在]

金生山から石灰石を運ぶために開通した西濃鉄道・市橋線と昼飯線。
昼飯線はすでに廃線になってしまいましたが、ここ市橋線は現役で運行されています。
市橋線は昭和3年12月に開通しました。
現在は貨物列車しか走っていませんが、かつて市橋線には旅客列車も走っていました。
1930年から1945年の間、美濃赤坂駅から国鉄のガソリンカーが直通運転していました。
しかし、トラックによる輸送が増えた事により、規模が縮小され、
乙女坂駅より以北は休止状態になっています。
道ネタ「鉄道」TOPへ…