【国道153号線-治部坂峠廃道】後編
長野県の南部、愛知県に近い平谷村と浪合村の間に治部坂峠(じぶさかとうげ)はあります。
現在は切り通しで一気に通過してしまいますが、かつては峠越えの細い国道でした。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 国道153号線は名古屋市と塩尻市を結ぶ
 比較的長い国道ですが、
 ここ治部坂峠付近は快適路線です。
 それだけに、道筋が変わったために出来た
 廃道の存在が予想されます。
 ここは地形図にも載っている見つけやすい所です。


 途中に小さな橋があります。
 名は「治部坂橋」
 この下には川があるようです。
 
 正体不明の廃虚が、薮の中にありました。
 小さな小屋のようです。
 廃道に廃虚。
 似合いすぎです。
 
 ここからはアスファルトが見えます。
 少し廃道指数が下がってきました。
 むしろ旧道の雰囲気のようです。
 
 この辺りには白い綿のような物がくっついた木が
 沢山生えています。綿花と言うものみたいです。
 風が吹くとこの綿が飛び散ります。
■愛知県の三河地方や矢作川流域一帯は「ガラ紡」の産地でした。「ガラ紡」とは紡績機の事で、綿花の綿から糸を作り出す機械です。ガラガラと音をたてるためこう呼ばれる様になりました。治部坂峠は三河や矢作川流域とは少し離れていますが、ここより北東側にある飯田市でも綿花が栽培されていました。もしかしたら、飯田市で生産された綿花を愛知県に運ぶ際に種が落ちて、この峠の国道沿いに根付いたものかもしれません。
 

 現道にぶつかる所で右側に急カーブ。
 まだまだ現道とは高低差がありまが、
 峠を越えたので、道は下って行きます。

 それにしても、
 愛知県の産業史にかかわる(かもしれない)
 廃道って
 なんだか歴史のロマンを感じますね。

 

 こんな細い道に
 こんな標識が…
 待避所ありです。
 こんな細道なのに豪華設備。
 ってゆうか、むしろ必要ですね。
 しかし、いいぐあいに木が生えてます。
 まるで隠されている様です。

 
 さらに現道に向かって高度を下げて行きます。
 途中に電柱が立ってます。
 何となく興醒め。
 
 もう一度カーブで周り込んで行くと、
 廃道も間もなく終わりです。
 
 現道と合流する所には、
 小さな駐車スペースと電光掲示板があります。
 一気に現代的な景色になってしまいます。
 
 過去と現在が同居している風景。
 この時の気温は22度
 あたたかな春の日ですが、
 間もなく梅雨に入る5月終盤の探索でした。
 それにしても、こんな細い国道、
 さぞかし通るのが困難だった事でしょう。
 まさに酷道。
 そんな歴史も今は森の中…

[2004年5月現在]

この廃道は、電線などの施設のために生き残っているようです。
廃道としては平凡な感じでしたが、スノーシェルターは一見の価値ありです。
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