【国道301号線-線形改良廃道】
愛知県豊田市の山間部を通る国道の脇にある、ささやかな廃道です。
廃道だけじゃなく、ちょとした歴史ロマンも楽しめます。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 地形図ですら小さすぎて
 フォロー出来ない廃道です。
 ロードマップではどうでしょう?
 ちょうど廃道のある所に
 国道マークの「おにぎり」がのっかってます。
 現地に行くしか発見の術のない、
 そんな物件です。
 ちゃんと描かれた地図はこちら →■周辺図■


 現道は山を切り開いて、
 まっすぐに通ってます。
 大きな切り通しの影に廃道あり。の法則通り
 ここにも山を回り込む、廃道があります。
 柵で封鎖してあるけど、
 真ん中の3本のポールは抜く事が出来そう。
 完全に封鎖してないのは、
 やはり廃道を通る電線のためですね。
 たいした事なさそうだけど、
 せっかく立ち寄ったんだから、
 ひと通り見てみましょう。
 それと、写真には後ろ向きの「おにぎり」が…

 

 廃道ではお馴染みの、
 崖から流れ出して来た土砂です。
 草だの苔だのが生えていて、
 廃道になってから、
 けっこう時間が経っているみたいです。
 しかも土砂は、花崗岩が風化して出来る、
 「まさ」といわれる物です。

 ここが唯一の廃道らしい景色です。

 
 アスファルトが廃道特有の流水模様が
 うっすらと付いてます。
 道幅は現道と比べても、
 そんなに変わらない幅があります。
 カーブもきつくないし、
 わざわざ山を切り崩してまで、
 まっすぐな道にする事ないのに。
 なんて思ってしまいます。
 

 今来た方を振り返ってみた。
 なんか道の横に岩がたくさん置いてあるのが
 ちょっと気になります。
 なんでしょうね?
 庭石のようでもあります。
 造園業者が置いていった物でしょうか。

 

 いや、門柱があるって事は、
 民家でも建っていた?
 しかし、転がっているのは花崗岩で、
 形やサイズが中途半端です。
 もしかして捨ててあるの?
 まあ、どうでもいい事だけど。
 短い廃道では、
 こんな事ぐらいしか話題が無いんですよ。
 さっさと通っちゃって、
 さっさと帰りましょうか。
 もう陽も傾いて来たしね。
 あ、でも前方に何か看板が…

 

 え〜、なになに。
 「伝親氏石橋」ですって。
 確かに廃道の横を流れる小川には、
 小さな石橋があります。
 徳川家の始祖の松平親氏が架けたと
 伝えられる石橋だそうです。
 徳川家!!
 それは古い!!
 看板によれば、14〜15世紀頃とあります。
 明治時代とかそんなレベルじゃないです。
 室町時代です。
 それはすごい。

 
 自然石をそのまま橋にしたっていう雰囲気です。
 川の中に置かれた石を橋脚にして、
 二枚の石が載ってます。
 今風に言えば、二径間の橋ってとこかしら。
 実に味のある橋です。
 なんかそう思うと下を流れる川も
 素敵に見えて来ます。

 じゃあさっそく渡ってみよう♪
 
 そう言えば昔は、こんな風に板を渡しただけの
 簡単な橋をよく見掛けたね…
 さて、石橋を渡って対岸に来ました。
 横から見ると平べったい格好をしてます。
 のみを打ち込んで割った跡が残ってる。
 この地域の岩を使ったそうで、
 花崗岩で出来てます。
 川の中の砂も、風化した花崗岩でしょうか?
 でも、コンクリートブロックの法面が残念。
 雰囲気に合いません。せめて丸石を使ってよ。
 橋を渡った先にも道が続いていたんだろうけど
 今ではよくわかりません。
 
 古い石橋を堪能したところで、
 廃道の方に戻りましょう。
 路面はひびだらけで、
 「40」の文字が残ってます。
 目の前には3本ポールが塞いでます。
 こうやって見ると、
 ちょうど1車線分空けられるようになってる。
 電力会社の車が通るから?
 まあ、どうでもいい事ですが。
 
 現道に出て来て、廃道はお終い。
 本来は小ネタにすらならないセコネタですが、
 例の古い石橋のおかげで、
 レポートとして成立できました。
 そんな物件なので、
 レポート作成が訪問日から、
 半年も後になってしまいました。

 [2005年1月現在]

結局、廃道よりも室町時代の石橋の方が、ネタとしては上物物件でした。
このレポートはむしろ、石橋を中心とした「橋梁レポート」にした方がよかったのかもしれません。
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