【国道153号線旧道-栄太橋】
長野県の南部平谷村を通る三州街道こと国道153号線には、旧道や廃道がたくさんあります。
その中でも治部坂峠の西側には、ある事はわかっているのに、未発見の廃道がありました。
今回、ツーリングで通りかかった時に、見付けた小さな橋。それは・・・
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 治部坂峠には以前探索した廃道があります。
 現場を空中写真で見てみると、
 ちょろっとした道が
 森の中にあるの見えます。
 でも今までどこにあるのかわからなかった。
 それが忘れた頃に・・・

 今年は暖冬なのか、2月なのに暖かです。
 毎年雪で真っ白になってるのに、
 まるで春のような雰囲気。
 小春日和ですよね〜。
 “小春日和”の使い方間違ってますがね。
 さて、何度も通った治部坂峠に来ました。
 本当に雪ないね。
 って、あれ?
 あんなトコロに橋がある?
 これはもしや。
 
 橋だ!
 間違いない。
 これはあの“未発見の廃道”だ。
 まあ、未発見などと騒いでますが、
 廃道自体は短いモノです。
 取り敢えず旧道に上がってみましょう。
 それにしても、
 何で今まで気が付かなかったんだろう?
 こんなに目立ってるのに。
 
 さて、雑草だらけだけど
 どこから上がろう?
 なんて思ったけど、
 送電線の巡視路が通ってて
 そこから行けた。
 う〜ん、写真だと道に見えないほど
 完全に落ち葉に埋もれてるよ。
 
 廃橋梁の親柱がありました。
 ちっちゃなコンクリ製です。
 でも、銘板はちゃんと残ってた。
 磁器製で
 「昭和三十四年十二月竣工」とある。
 微妙な古さですね。
 でも、50年も前の物だ。
 あら? 何かもう一枚
 落ち葉に埋まってる。
 

 葉っぱをどけてみたら
 「えいだばし」
 って、これ橋の名前だ。
 外れてこんな所まで
 転がって来たのかな?

 
 欄干はとても低いです。
 落ち葉で埋もれてる分を差し引いても、
 30cmぐらしかないよね?
 橋の向こうには、
 小さな沢があります。
 それなりに水量があります。
 渓流釣りは出来そうにありませんが…
 

 こっちは橋の名前が漢字で書かれてる。
 でも割れてる。
 割れてるので中が見えるけど、
 銘板は箱状になってて、
 その中にコンクリをつめて
 親柱のくぼみに
 ベチャっとくっつけてあるんだ。

 あ。下にかけらが・・・

 
 戻してみた。
 いわゆる復元ですね。
 「栄太橋」
 これで“えいばし”なんだ。

 ちなみに、このままにしてきた。
 
 反対側はどうだろう♪
 見事に真ん中がナイ。
 一番下の文字は「澤」です。
 残った部分から推理すると、
 どうやら「栄太澤」らしいです。
 横に生えてる木を見ると、
 枝が切られてます。
 おかげで見晴らしが良い。
 だから見付けられた?
 
 ここから見ると、
 現道をはさんだ所にある
 旧道が見えます。
 でも、右にずれてる。
 旧道化した時に、現道につながる部分が
 付け替えられたのでしょう。
 

 橋を渡ってから
 今来た方を見てみると、
 道幅がわかります。
 これがけっこう広い。
 2車線はじゅうぶんあります。

 それにしても、欄干が低いねぇ。

 
 今度は横からも見てみよう。
 単純なコンクリートの橋です。
 昭和30年代じゃこんなモンですね。
 そういえば、他の昭和30年代の橋も
 銘板が磁器製だったなぁ。
 流行ってたんだろうか?
 
 橋を過ぎると、
 路面がドロドロになってきた。
 前日に雨が降ってたので
 そのためかも。
 地面に丸太が何本も放置されてたので、
 昔から、木を切るなどして
 管理されてたのでしょう。
 
 少し行くと現道にぶつかってお終い。
 (見えないけど)
 やっぱり短い廃道でしたね。
 でも、栄太橋がいい味出してた。
 なので廃道じゃなくて
 橋のレポートにしてみました。
 4本目の親柱を紹介してないけど、
 そこに付いていたのは
 あの転がっていた「えいだばし」です。

[2009年2月現在]

森の中に埋もれて、見付けられないかと思ってた治部坂の廃道。
短くて、廃道としては小ネタレベルの物件ですが、
奇跡的に?銘板が残っていた橋のおかげで、それなりのレポートになりました。
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