【国道361号線-近城トンネル廃道】
岐阜県は高山市から国道361号線を東に進むと、高根村があります。
現在は高山市と合併していますが、国道沿いには数多くの廃道が残っています。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 国道361号線の旧高根村の
 飛騨川沿いの道筋は、昔から酷な道でした。
 今はどんどん改良が進んで、
 走りやすい道に生まれ変わってる最中です。
 でも、そんな道にも、
 捨てられた廃道や廃隧道が残ってます。

 近くの廃道や廃隧道の地図はこちら→■全体図■
 近城トンネル廃道の地図はこちら→■周辺図■

 国道361号線のこの辺りは、
 長いトンネルや大きな橋で
 快適なドライブコースになってます。
 さわやか〜にツーリングしていると、
 トンネル脇に細い道が…
 ありがちな廃道風景。
 快適な道の影には廃道あり。ですね。
 でも、しょぼ〜い。
 いえいえ、こんなに狭いんじゃ
 現道時代はさぞ大変だった事でしょう。
 このちょろっとした脇道が国道だったなんて、
 冗談のような景色です。
 
 さっそく廃道に行ってみよう。
 狭いなりにきれいな道です。
 きれい過ぎて、廃テイストは少なめ。
 ネタなさすぎて、コメントも少なめ。
 
 で、廃道はここでプッツリ途切れてます。
 ガードレールの向こうはダム湖。
 その向こうには、いい感じの山が連なってます。
 しかし、残念ながら天気がいまいちの様子。
 ずーっと遠くに灰色の雲が垂れ込めていて、
 雨が降りそうです。
 あ。降って来た。
 やばいです。いそいで探索しないと。
 さっきまで晴れてたのに…
 山の天気は変わりやすいとは、まさにこの事ね。
 
 この道の先は、かつて橋が架かってました。
 少なくとも2001年までは
 ここに青いローゼ橋がありました。
 ローゼ橋とは、金属製のアーチを渡し、
 そのアーチから支柱を下ろして
 橋桁を支える構造の橋です。
 この場所では橋脚が立てられないので、
 反対側まで一つのアーチで一気に
 橋を掛けてありました。
 橋の名前は「高嶺大橋」ですが、
 現・高嶺大橋と区別のために、
 ここでは「旧・高嶺大橋」としておきます。
 対岸の道の左が国道の旧道、右が県道39号線です。
 県道の先には、あの野麦峠があります。

 対岸から廃道を見てみました。
 この写真は、別の日に写した物なので晴れてます。
 右奥には現道に架かる「高嶺大橋」が見えます。
 こちらは青い「ニールセンローゼ橋」です。
 「ローゼ橋」に似ていますが、
 金属の支柱じゃなくて、
 ワイヤーで橋桁を支えてます。
 遠くから見ると、橋桁が支え無しで
 浮いている様に見えますね。
 それでこちら側は、封鎖作業中って所?
 旧橋って案外最近まであったの?

 さて、廃道はここでお終い。
 じゃなくて。
 
 ここからが本番。
 今までのは前座ですよ。

 現・高嶺大橋の南側、
 最初の写真の場所から振り返ってみると
 細い道が延びて行きます。
 タイガース模様、じゃなくて虎縞の棒が
 通行止してますが、
 これ簡単に抜けそうです。
 っていうか、車を通す事前提?

 これはあれですね。
 電線の保守点検のために管理されている道です。
 なんかそれって、廃テイスト低そう。
 でもこの先には「あれ」があるので、
 そちらに期待しましょう。
 
 間もなく「あれ」に到着。
 「日和田1号トンネル」です。
 昭和30年代ぐらいの物でしょうか?
 ピラスターも要石も無い、
 ただのコンクリートのトンネルです。
 機能を優先した、とも言えます。
 まだきれいな状態なので、
 廃隧道って雰囲気じゃないね。旧隧道って感じ?
 隧道じゃなくて、トンネルでしたね。
 でも、見た目はきれいでも
 型枠の板の繋ぎ目がくっきり出てる。
 案外雑な造りみたい。
 こんなん、今じゃ作り直しだ。
 
 照明の無い真っ暗なトンネルを通 って抜けて来た。
 短いので、たいした事ありませんけど。
 よく見るとトンネルの中を、
 太いケーブルが通ってますね。
 これらは電話回線のケーブルでしょうか。
 車は通らなくても、情報が通ってる。
 こんな山の奥にも神経の様に張り巡らされていて、
 日本中に情報を運んでいる。
 百年前までは考えられない事です。
 
 こんなのがあると
 いかにも廃道って感じ。
 たしかこの廃道って、廃道歴は短いんだった。
 4年ぐらい前まで使われていたそうです。
 やっぱり廃道なんて言うのは
 ちょっと気が引けるかも?

 じゃあ次の廃隧道行ってみよう。
 え? 気が引ける? 誰が?
 ( ̄▽ ̄)

 おお!
 路面に土がてんこ盛り。
 (てんこ盛りの“てんこ”って何?)
 目一杯車の轍が付いてます。
 こんなに深く掘れてるって事は、
 何度も車が通ってるんでしょうか?
 どうやら山の方から流れて来た土みたい。
 倒木もいいアクセントになってる。
 
 
 そこから先を見ると、
 地肌むき出しの崖が立ち塞がってます。
 これは!
 トンネルの予感。
 
 ありました。
 「日和田2号トンネル」。
 ロックシェード付き。
 でも、規模は少し小さめです。

 ここがこの廃道のハイライトですね。
 
 捨てるのがもったいないぐらいの状態のよさ。
 カーブミラーが役に立つのかいささか疑問だけど。
 ここから見ると、
 ロックシェードの構造がよくわかります。
 別の場所で造って、ここに運んできて
 ポンって乗っけたみたい。
 なかなかスマートなデザインです。
 でもこんな華奢な造りで大丈夫なのでしょうか?
 崖が崩れて来たら簡単に壊れそう。
 廃道化した今となっては関係ないか。
 
 こちらも「日和田1号トンネル」と
 代わり映えしない景色ですね。
 路面のひび割れに生えた雑草が
 この道が廃道なのだと主張してます。
 
 近城トンネルの坑門に着いて
 廃道はお終いです。
 あれ? 薮になってる?
 あと少しという所で、道が途切れているのですか。
 いえ、そんな事はありません。
 現道まで続いてます。
 廃道が現役時代は、この辺りから斜めに
 橋が架かってました。
 トンネルの横に繋がってる道は
 トンネル工事の時に付け替えられたのでしょうか?
 現在のこの接続のしかたは、
 使い勝手悪そうです。

 それでこちら側は、ガードレールでしっかり閉鎖。
 固定されてない様なので、
 いざという時にどかして車が通るのでしょう。
 今度こそ本当に終了。
 10年後が楽しみな道です。

 さて、ここから西側にも廃道と廃隧道があります。
 そっちも見て来ましょう。

 そうそう、結局雨はすぐにやみました。
[2005年6月現在]

きれいな道なのに、車が通行していないのが何とも奇妙な感じです。
次はすぐ西にある線形改良廃道と廃隧道です。
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