【国道361号線-土倉線形改良廃道】
木曽街道沿いの廃道には、小ネタレベルの物もあります。廃隧道との関連でレポートします。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 廃物件としては紹介するまでも無い物ですが、
 廃隧道、じゃなくて廃トンネルと
 抱合せでレポートします。
 なんか、売れ残り品の処分みたいだけど
 気にしないでね♪

 ダム湖沿いを軽快に走って来ると
 カーブの向こうにまた道が…
 典型的な線形改良された道です。
 現道は橋を使って、谷をひと跨ぎしてます。
 橋の名前は「土倉橋」です。
 現道の先にトンネルが見えてるけど、
 これがこれから行く
 「上ヶ洞5号トンネル」です。

 目の前の山が大きく削り取られてますね。
 かつての国道も、地形を大きく
 改変していたって事なんだ。
 
 廃道から現道を見たところ。
 境にガードレールが置いてあるだけの
 簡単なバリケードです。
 完全に封鎖しないのはなぜ?
 って、さっしのいい人なら
 最初の写真でわかったでしょう?
 山側に電柱が立ってます。
 電線や電話回線のために管理され続けている。
 いざとなったら車が入れるぐらいの…
 …入れないよね、これ。
 道いっぱいに土砂が積もってるし、
 石ばかりでなく小枝も散乱してる。
 谷から流れて来た物です。
 
 こんな短い廃道なのに、
 現道との間に微妙に高低差が付いてる。
 中間あたりが少し高くなってます。
 それに、まだこんな標識が残っていて、
 かすかに国道らしさがあります。

 でも、これって酷道な感じ。
 廃道の景色をここだけ切り取ると、
 現役時代の雰囲気が味わえますね。

 あっと言う間に廃道は終わり。
 間髪入れずに廃隧道を探索とまいりましょう。
 廃トンネルだったけ?
 手が勝手に「隧道」って入力しちゃいます。
 あ。じゃあ、「○○ロード」って名前の
 道路が廃道になったら、
 やっぱり「廃ロード」なんですか?
 何だかへたなしゃれみたいです。
 冗談はさて置き、現道はトンネルの前を
 橋を架けて素道りして行きます。
 しかも山の斜面を大きく削って。
 法面は「梁構造」っていう工法で、 
 コンクリ吹き付けより、頑丈になってます。
[2005年6月現在]
【国道361号線廃隧道-上ヶ洞5号トンネル】
「高嶺大橋」架け替えにより、廃止されたトンネルです。
このレポートは上のものより、10ヶ月前に見て来た時のものです。
 先程の廃道を進むと、再び道はふた手に分かれ
 一方は高嶺大橋へ行き、もう一方は
 廃トンネル「上ヶ洞5号トンネル」へ行きます。
 相変わらず細い道幅が続いてる。

 これがトンネルの坑門のアップです。
 左右の壁が垂直なのが特徴ですが…
 こ、これは… デジャヴ?
 見た事あるような景色。
 って、これって
 「日和田1・2号トンネル」 と同じです。
 同じ地域、同じ時期に造られた物なので、
 同じデザインみたいです。
 もう何年も使われてないので、
 薮に埋もれつつあります。
 
 中に入るとでこぼこな壁です。
 坑門付近は滑らかなコンクリートでしたが、
 途中から素堀りにモルタルになってます。
 国道沿いにある他のトンネルは、
 コンクリートでかっちり造ってあったのに
 (断言は出来ないけれど…)
 なぜかここだけ素堀り。
 固い岩盤に掘られたトンネルなので、
 これでも充分なのでしょう。
 照明も付いてますが電灯は外されてます。
 
 コンクリートが剥がれて
 中から木材が顔を覗かせてます。
 これは補強のための物ですか?
 残念ながら私にはよくわかりません。
 こんなに見事に割れているのって、
 コンクリと木材の収縮率の違いが原因ですか?
 少しづつダメージが蓄積していって、
 ある日突然割れたって感じです。
 で、路面に落ちてたコンクリートのかけらを
 うっかり踏んじゃったら
 バッッコ〜〜ン!!
 って、でっかい音を立てて割れた。
 いや、すごくビックリしたんだけど( ̄□ ̄)
 
 反対側に出ました。
 こちらは日陰になっていて
 ちょっと薄暗いです。
 ここを出ると県道39号線と交わります。
 現道時代は、向って右側に
 高嶺大橋が架かっていました。
 今は撤去されていて橋台しかありませんが、
 かつては急カーブや直角コーナーの連続する
 危険な道だったみたいです。
 周辺図を見てもらえば良くわかります。
 坑門の斜め上に小さな青い物があるけど、
 「トンネル壁面突起物注意」って書いてある。
 言うほどの突起物は無いみたいだけど…

 とりあえず扁額はあります。
 でも安っぽい。
 やっぱり、ダム工事とセットで造られた
 物だからでしょうか?
 「地元の悲願だった隧道建設」っていうのとは
 違って、なんだか無味乾燥な雰囲気。
 
 まだまだ現役のトンネルも見てみましょう。
 土倉線形改良廃道より西にある
 「高根第一ダム」に向って進みます。
 これは「上ヶ洞4号トンネル」。
 やっぱり同じデザインです。
 トンネル番号はダム側から順番に、
 1・2・3・4と付いてます。
 
 さらに西に行くと「上ヶ洞2号トンネル」です。
 都合上「3号」は割愛します。
 っていうか、ぶっちゃけ見てないです。
 さすがに狭い酷道なので
 危なくて停まってらんないですよ。
 でもここは大丈夫。
 トンネル手前に広い駐車場があります。
 「高根第一ダム」の施設です。
 その駐車場からダムまで歩いて行けます。
 まるで「旧道」の様な感じに
 トンネルの外を通っていて、
  「上ヶ洞1号トンネル」まで
 行く事が出来ます。
 
 1号と2号トンネルは、
 こんな具合に繋がってます。
 なんと、2号トンネルを出ると
 すぐに直角コーナーで、
 1号トンネルに突入します。
 ここがこの酷道の最危険ポイントですよ。
 ちなみに、右側が2号、左側が1号です。
 2号トンネルは狭いので
 スピードが出せないけど、
 1号トンネルは充分な広さがあって、
 ついスピードが出てしまいます。
 そんな状態でいきなりカーブって
 すっごい危険ですよね。

 最後に扁額っていうか
 トンネル名を見て下さい。
 さっきとどう違うのかって?
 ここはなぜか四角くへこんでます。
 本格的な扁額を掲げる予定があったのかも?
 その様はまるで、
 ヨーロッパ車に取り付けられた、
 日本のナンバープレートの様でもあります。
 ほら、ヨーロッパの物は横長だし。
 よくわからないって人は、
 街中を走ってる輸入車でも見てね。
[2004年8月現在]

廃トンネルも現役トンネルも大差ない、古いトンネルが連続する国道でした。
続々と大きなトンネルが造られているので、何年後か先には、すべて廃物件となってしまうのでしょう。
すでに上ヶ洞5号トンネルと日和田1〜3号トンネルが廃止されています。
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