【国道153号線-伊勢神峠旧道の橋】
愛知県の伊勢神峠と言えば、明治に造られた伊勢神隧道が有名ですが、現道の脇に謎の橋が…
現在国道の改修工事が行なわれているようで、森の一部が無くなった所に橋が現れました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 まさかそんな!
 って所に見付けた、謎の橋です。
 これは国道の旧道の橋なの?
 なんなの〜〜〜??

 その答えはここで見てネ→■周辺図■


 ある日ネットのライブカメラで、
 天気の様子を見てた時、
 偶然国道の脇に見付けたのがこれ。
 カメラの画像では橋っぽく見えたので、
 確認のため、さっそく行って来ました。
 場所は、伊勢神トンネルの西側の
 ヘアピンカーブの下の方です。
 今まで木や雑草がはえてたのが
 刈り払われて、地面があらわに…
 そこにあるのはまさに・・・
 

 まさに・・・橋!
 なんか、すごく簡単な構造だけど、
 まぎれも無く、橋!
 その証拠に高欄があります。
 それに、けっこう幅が広いです。
 3m以上はありそうです。
 国道… やはり国道の旧道なのか?
 現道にぶつかる所で途切れてます。

 
 橋と言えば“あれ”があるはず。
 あった、ありました、親柱。
 すごく小さいけど、親柱です。
 が、土に埋もれて文字確認出来ず。
 

 反対側はどうだろう?
 なんか、銘板があったような窪みが…
 いや、字が書いてありそうな…
 なさそうな…
 橋の名前はわからねど、
 凝った作りの親柱なのはわかります。
 小さいながらいい仕事してる?

 
 これって本当に旧道なの?
 と思って色々調べてみると、
 どうやら国道の旧道だったみたいです。
 写真は切り開かれた林の跡から
 伊勢神峠の方を写してます。
 現道の上に斜めのラインが見えますが、
 これが旧道のあった場所ですね。
 このまま工事が進めば、あの橋も
 無くなってしまうかもしれません…

 [2010年8月現在]

この橋は、はたして旧道の橋か否か? 国道の橋にしては、あまりにも安っぽい作りです。
しかし、現道の滑らかなカーブを考えると、現道は新しく造り替えられたと思われます。
ならば古い道筋が、旧道として残っている可能性は、きわめて高いはずです。
さっそく古い地形図で確認してみました。するとそこには、想像した通りのルートが…
これはもう国道153号線の旧道の橋と確定してもいいと思います。
伊勢神峠の旧道と言えば、旧・伊勢神隧道に繋がる旧道ばかりに目が行って、
他にも旧道が存在しているなんて、考えもしませんでした。
国道の改修工事のおかげで、今まで隠されていた旧道が発見されたのですが、
このまま工事によって失われてしまうかもしれません。今が最後のチャンスかも?
 翌月にも行ってみました。
 するとこんな姿に・・・
 橋の上の土砂と雑草がありません。
 しかも国道との間の斜面が
 コンクリで固められてます。
 う〜〜ん… 何がしたい?
 でもそのおかげで橋の全容が明らかに。
 親柱はこちら側にしかないみたい。
 やっぱ名前はわかりませんね。残念。
 いや、何かある。
 
 これは・・・「講和記念」???
 何と言うことでしょ!
 こんな所に、橋の出来た年のわかる
 手掛かりがありましたよ!
 え〜〜と… 講和記念てナニ?
 それは最後の解説で。↓

 [2010年9月現在]

講和とは「日本国との平和条約」の事です。サンフランシスコ講和条約とも言われます。
この条約の締結により、日本と連合国との戦争状態の終結、
日本国民の主権の回復がはかられたりしました。
1951年、サン・フランシスコ市にて署名。1952(昭和27)年4月28日に発効。
それを記念して、日本各地で色々な物が作られたり、植えられたりしました。
多摩川の土手に植えられた桜は、「講和桜」と呼ばれているそうです。
愛知県でも講和記念に橋が造られ、三河地方に幾つも見られます。
その橋の竣工年が昭和29年や30年なので、ここも昭和28〜30年ぐらいでしょうか?
しかし、伊勢神トンネルが1960年の開通なので、
この橋は、現役時代が数年しかなかったことになります。
それを見越した上で、こんな簡素なデザインにしたのでしょうか?
道ネタ「橋梁」TOPへ…