【岐阜県・美濃市-小倉隧道】
岐阜県美濃市の小倉公園には、大正時代に造られた、小さな隧道があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 


 こんな所にもあった、
 大正隧道。
 90年以上前の隧道は、今どんな姿なのか?
 楽しみですね♪

 隧道周辺図はこちら→■周辺図■


 長良川沿いにある小さな隧道。
 古い地形図にもちゃんと載っていました。
 まあ、当たり前ですが…
 写真を見ると昔の街道といった雰囲気だけど、
 ここいら辺を通っている郡上街道は、
 ここより東側にあるみたいです。
 そういえばその街道沿いには、
 「うだつの上がる町並」と言うのがあったっけ。
 「うだつ」とは「うだつの上がらない」で
 お馴染みの、あの「うだつ」です。
 うだつとは防火壁の一種で、
 お金持ちしか持てなかった事から、
 成功者の証しでもあります。
 
 上の写真は、隧道を背にして撮ってみました。
 いかにも公園の中を通っているって感じです。
 この公園も古い歴史がありそうです。
 さあ。大正時代の隧道は、
 どんな大層なお姿なのでしょうか?
 っていうか、あっさりしてる!

 ああ、そうそう。
 うだつが上がらないと言えば、
 我がサイトもそうですね。
 
 大正4年に建設された、
 全長39m、幅3.6m、高さ4mの隧道です。
 それにしても、何て味気ない姿。
 滋賀県の隧道のデザインが
 素晴らしいのに比べて、
 ここを設計した人は、コンクリートの扱いに
 慣れて無いのでしょうか?
 こういうのが当時の最新トレンドなのかも。
 それに坑門の形も、何だか微妙に歪んでますよ。
 右側に書いてある文字には、
 「トンネル内落石注意」ってある。
 まさか隧道の中で落石なんて…
 
 あるかもです。
 中は素堀りでした。
 固そうな岩盤だけど、
 これは「チャート」らしいです。
 隧道内一面に褶曲の模様が出ていて、
 何だか異様な雰囲気でもあります。
 しかも大きな割れ目が…
 まさか断層?
 バックリいってます。
 
 もうちょっと引きで見てみましょう。
 曲がりくねった地層の、細かい凸凹が
 何とも言えない景色です。
 褶曲しているといっても、
 そんなにハッキリしていません。

 ちなみに褶曲(しゅうきょく)とは、
 地層が大きな圧力で曲がった物の事です。
 岐阜県の美濃地方では、
 広い範囲にチャートの岩盤があって、
 この褶曲模様が崖や道路の法面でよく見れます。
 さて、上を見れば照明の所に何か…
 
 ズームインして撮影。
 これはシダ植物みたいです。
 古い隧道や洞門の中に苔が生えているのは
 よくあるけど、
 シダがわさわさ生えてます。
 ちょっと気持ち悪いかも?
 でも逆に、それがこの隧道の
 個性になっている気が…
 
 反対側に出ました。
 そういえば、シダが生えているのは、
 ライトの廻りだけみたいです。
 植物にとっては、ライトも太陽って訳ですね。

 あ〜それにしても、
 大正時代に造られた隧道だっていうから
 すごい期待してたのに、ちょっと残念です。
 古い隧道はやっぱり、
 レンガか石積みでしょう。
 固い岩盤なら素堀りのままってのも
 また古い隧道の作法。
 
 反対側の坑門です。
 こんな隧道だけど、
 けっこう車が通ります。
 危ないです。
 写真なんか撮っている場合じゃありません。
 
 こちらは美濃市の市街地になります。
 この道を行くと、国道156号線に出ます。
 昔は、行楽シーズンになれば、
 この界隈も賑わった事でしょう。
 今では市民の散歩コースって雰囲気ですね。
 あ。でも、小倉公園は桜やつつじの
 名所だそうです。
 来るのが少し早かったのか、
 桜は見れませんでした。

[2005年4月現在]

「大正時代の隧道」と言う言葉に大きな期待をしましたが、思いの他さっぱりとした姿に
やや拍子抜けしたと言うのが、偽らざる心境です。
明治時代の隧道のデザインが、西洋風建築の模倣であった事に比べ、
大正時代には、隧道独自のスタイルが出来つつあったという事でしょうか。
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