【国道21号線-土岐市廃道・旧道】廃道編
陶磁器の産地・岐阜県土岐市に薪やわらを運ぶために使われていた道。
北に中山道、南に下街道が通ります。
かつては荷物を載せた馬が通っていた国道。そんな道にある旧道を見て来ました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 現在は高速道路のインターもあり、
 土岐市と美濃加茂市を結ぶ
 重要な路線になってます。
 でも昔はローカルな道だったそうな。
 そんなローカル国道の過去の道筋を
 たどって来ました。

 まずは地図で位置を確認→■周辺図■

 現・国道21号線は登坂車線もある
 幅広な3車線の快適国道です。
 通行量も多く、みんなスピードを出してます。
 でも昔は、細い道が山の中を通るだけの
 酷な道でした。
 空中写真にもはっきり写ってる旧道が、
 今回の探索目標です。
 ここらへんがアヤシイ、って所から
 さっそく探索開始です。
 
 大きな看板の横からちょこっと、
 アスファルトが敷いてある所があって、
 いかにも旧道が分かれてるように見えます。
 下り坂になってて、
 道らしきスペースが続いています。
 この写真は現道側を写した物です。
 
 さすがに何十年も前に
 廃道になってるだけあって、
 すっかり薮になってます。
 いえ、薮と言うより森だよこれは…
 もうちょっと行けるかな?
 もうちょっとどころか、
 どこが道だか森だか…

 完全に時期を間違えましたね。
 なんと言っても今は6月です。
 今回は探索失敗と言う事で終了。
 続きは冬になってから。
 
 冬になりました。
 ただ今、2006年の1月です。
 さむいです。
 木々や雑草が枯れていて、
 いいぐあいに歩きやすくなってます。
 ではさっそく廃道探索にGO!
 

 さすがに道のあった場所がよく見えます。
 これなら最後まで行けるかも?
 ここより旧道の道筋は、
 尾根沿いに進みます。

 ※実はここらで右に下ってく
 道があるのだけど、そちらが旧道みたいです。
 国道からここまでは、
 いわば取付け道路って訳です。

 
 足元を見てたらこんな物が…
 「国調多角」ってあります。
 それに国土調査のピンクのリボンもあります。
 こんな完全に森にかえった廃道なのに、
 仕事熱心な事です。
 土地の境界の調査ですね。

 でもこれが、後々役に立つ事になります。
 

 やっぱり森だ。
 前来た時に比べて、
 ずいぶんマシになってるけど、
 なんだか迷いそう…( ̄▽ ̄;)
 うっすらと道の雰囲気が残ってるので、
 取り敢えず進めますが、
 この先どうなるか・・・
 あ。青いテープがぶらさがってる。
 右の木にくっついてますね。
 ひょっとして旧道沿いに付いてる?

 
 そのとおり。
 例の青いテープは旧道に沿って
 木にくくり付けてありました。
 地面には「国調多角」の杭も刺さってます。
 これなら迷う心配はなさそう♪

 こんな所に石垣がありました。
 間違い無くここに国道通っていた証拠ね。
 もっと先まで行ってみよう。
 そろそろヘアピンカーブがあるはず。
 
 目の前に現れたのは、
 地肌むき出しの崖。
 ここかな?
 カーブのあるトコロ。
 え〜っと、ここから右に曲がって
 再び現道に向って行くはずです。

 しかし右側は急坂になってて、
 国道が通ってたような痕跡はありません。
 ・・・じゃあ、左側?
 
 あ。こんな所に石仏があった。
 やっぱりこちらが旧道の道筋…
 ちょっと待って、よく見たらこれ、
 石が2つ重なってただけだった。
 石仏じゃなかった。
 でも、前には国土調査の赤いテープが
 刺してあります。
 どっちにしてもこちらが旧道でいいみたい。

 それにしても、石仏に見えるね、これ。
 
 旧道はこちら側になります。
 どうやら自分が思ってたのとは
 違う場所を歩いて来たみたい。
 だいたい450mぐらい来ました。

 でも本当にここ?
 
 地面には「国調多角」の杭があって、
 道らしきスペースもあるので、
 ましく国道のあった場所です。
 すこしは旧道らしさがあります。
 でも、本当に森に帰ってるね。
 かつては車が走ってたなんてウソみたいです。
 
 いや大丈夫です。
 石垣がありました。
 空積みと言う手法で造られたようです。
 こんな場所にこんな物があるなんて、
 旧道だって事を知らない人が見たら、
 なんだって思うだろう?
 
 道の状態はあい変わらずです。
 進めど進めど、まだ現道に着きません。
 いいかげん飽きてきます。
 ひょっとして迷ってる?
 ぜんぜん違う方向に歩いてる?
 …まあ最悪、もと来た道を
 引き返せばいいのですが…
 
 あ。道が無い。
 無い訳じゃなくて、半分ぐらい崩れてます。
 崩れた所をよけて行こうにも
 木の枝が邪魔をします。
 なんとか強引に突破。
 ここに来て周りが明るくなって来た。
 どうやら現道に出たようです。
 もう少しです。
 
 左下の方を見れば、
 さっき通って来た道が見えます。
 これだけの高度をかせいだんだ。
 それに現道まで本当にもう少し。
 
 現道に出ました。

 ・・・って、あれ?
 道が無い。
 いや、道はあります。
 でも行けない。高すぎます。
 どうやら現道が旧道が通っていた丘を
 削っていったようです。
 目の前の切り通しの上を、
 旧道が通っていたみたいです。
 ためしに下を覗いてみたら、
 コンクリートの法面だった。
 あたりまえだけど。
 
 もうこれ以上進めないので、
 引き返します。
 …でも400m以上もまた歩くなんて
 いやだなぁ・・・
 しかもすぐ下にスタート地点が見えてるし。
 これはショートカットしかないでしょう。
 林の中を突っ切って行きます。
 枝が大量に落ちていて、
 思ったより歩きずらかったです。
 写真はスタート地点から旧道を見上げたところ。
 これにて探索終了。

[2006年1月現在]

「国調多角」の杭や国土調査のリボンだけが、ここが道であった事を教えてくれます。
かつては土岐の産業を支えた国道21号線旧道。
現在は生まれ変わった国道が、その任を引き継いでいます。
旧道は森の中で静かに眠っています。
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