【静岡県・天竜水窪-山住の吊り橋】
静岡の天竜水窪には沢山の吊り橋があります。それより東側には無いのだろうか?
地図でそれらしい橋を探して行って来ましたが、そこには思わぬモノが・・・
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 細くてぐねぐねの
 県道389号線を延々と走って
 やって来ました。
 山の中の小さな小さな集落。
 その向こうにあった、吊り橋には・・・

 本当に周辺しか描いてない→■周辺図■

 水窪の町の東にある山住峠を越えて、
 ちょっと大きな集落を過ぎるとすぐです。
 なんだか私有地に入るような道を行くと、
 竹林の中に橋の主塔がありました。
 おぉ。これは良い景色だ。
 古くて味のある吊り橋なんだろうか?
 地図で見ると橋の先に道が描いてなくて、
 廃物件の予感♪
 
 主塔はコンクリートで
 あっさりなデザインです。
 そんなに古くない?
 名前がわかる物は無いですね。
 橋の前にいろんな物が置いてあります。
 捨ててあるんじゃなくて、
 物置き代わりになってるみたい。
 こんな所にも生活感を感じますね。
 
 う〜〜ん、新しい物ですね。
 橋桁の床板は金属製のネットで、
 エキスパンドメタルと言う物です。
 看板はなんて書いてあるんだろう?
 吊り橋の手掛かりでも書いてあるかも。
 …これは、橋を架けるための
 川の使用許可の期間を書いた物です。
 お馴染みの「電源開発」の名があります。
 で、橋の名前は… 無いですね。
 後ろの注意看板には、川の水が多い時は
 渡らないでって書いてある。
 
 今日は少ないので渡れますよ。
 まったくもって近代的な姿です。
 橋桁だけ後から造り直されたのかな?
 それにすごく弾みます。
 歩くたびにバウンバウンと揺れます。
 こういうのが吊り橋の醍醐味ですね。
 
 地図で見た通り、道は無いようです。
 あれ? 主塔も無い??
 メインケーブルが
 対岸の斜面に直接繋がってますよ。
 これって、主塔が片方にしかない
 「片タワー型」と言うタイプですね。
 それと、渡ってから気付いたけど、
 細い道が右側に続いてました。
 この斜面の上に道があるらしいので、
 そこに繋がってるのでしょう。
 
 対岸の細い山道から橋の方を見てみた。
 目の前には謎の建物があります。
 まあ、後から正体はわかるんだけど…
 斜面の上に道があるはずですが、
 どうやら廃道になってるらしく、
 ここから確認できません。
 取り敢えずこの吊り橋はここまで。
 実は、このレポートの真の主役は
 これじゃなく・・・
 
 これです。
 先程の吊り橋の隣に架かる謎の吊り橋。
 橋桁が川岸に繋がってないばかりか、
 滑車で吊られてます。
 ・・・ナニコレ???
 こんなん渡れるの?
 なんかハシゴが付いてるし、
 それで上がれってか?
 いや、そもそもこれって吊り橋なの?
 
 なんとか近くで見てみましょう。
 すっかり竹林に埋もれてます。
 主塔は鉄骨で造られた簡単なもの。
 コンクリ製の土台には
 道があったような跡はありませんねぇ。
 さらに近づいてみよう。
 
 で、さらにわけわかんない物が…!
 ここにも滑車???
 しかも主塔の土台に繋がってる。
 滑車と言えば、
 物を上げ下げするのに使うけど、
 橋桁を上げたり下げたりするの???
 何のために?
 
 滑車もすっかり錆びてて
 使い物にならなさそう。
 もう何年も使われてないのでしょう。
 
 川岸から見ると、
 なんだか橋桁が空中に浮いてるみたい。
 あ。こちらも「片タワー型」ですね。
 今までこんな謎多き橋は
 見た事ありません。
 迷宮入りしそうです。
  どこかに名探偵はいませんか?
   しか〜し、謎はすぐに解決。
 それは最後の解説で。
[2010年12月現在]

どう見ても渡る事が出来ない吊り橋です。
何の目的で架かっているのか、いくら考えても、皆目見当がつきません。
しかし、正体は意外な物でした。
橋の近くの家の前に居た老夫婦に、挨拶がてら例の吊り橋の事を聞いてみたところ、
あれは、川の水位を測る為に使われていた物だそうです。
つまり、川が増水した時などに、水面近くまで橋桁を下し、その上から測っていたのです。
橋桁というよりは、プラットホームといったところでしょうか?
主塔の土台に付けられたウィンチで、上げ下げするようです。
新しい吊り橋の先にあった謎の建物も、ここの気田川の水位を測る施設だそうです。
しかし現在では、上流にあるダムによって、水位がコントロールされているので、
水かさが危険な程増える事も無く、両方の施設も今ではお役御免だそうです。
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