【中央本線-古虎渓旧線跡…3・4号トンネル】
愛知県と岐阜県の県境を通る、中央本線の高蔵寺駅から多治見駅の間には、
中央本線開通時の旧線跡が、13ものトンネルと共に薮に埋もれています。
※現在3〜6号トンネルは「愛岐トンネル群保存再生委員会」によって立入り禁止になっており、
実質非公開状態となっています。

青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 現トンネル・愛岐トンネルの
 定光寺側の入口のそばにある
 旧・3号トンネル。
 接近すら出来ないと思われたトンネルを、
 探索してまいりました。

 まずは地図で位置を確認→■周辺図■

 中央本線の定光寺駅の北側には、
 発電所に水を送るための、玉野堰堤があります。
 その横の細い道をさらに入って行くと
 フェンスの向うに小屋があって
 そこの斜面を上がると・・・
 薮に埋もれた旧・中央本線の路盤が!
 暖冬でいつもの年より暖かいので、
 4月なのに、すでに緑でいっぱいになってます。
 この写真は定光寺駅の方を写してます。
 実は3号トンネルと4号トンネルとの間に
 出て来たのでした。
 ではまず、3号トンネルから
 探索開始です!!
3号トンネル

 途中、橋があった跡を渡ると
 すぐに3号トンネルのお姿が。
 おお、これが夢にまで見た3号だ!
 (―っていうか、大袈裟だって)
 デザインは他と同じです。
 右の山側にある鉄骨の落石避けは
 いつからあるんだろう?
 旧線廃止後に造られたようにも見えます。
 でも、そんな疑問もすぐに解決。
 土台のコンクリに製作年が記してあった。
 「1957 3」
 旧線は1966年、昭和41年廃止なので、
 旧線廃止前です。

 
 さあ、そんな事より、
 トンネルの中に入ってみましょう。
 このトンネルは短いので、
 反対側の坑口がすでに見えてます。
 ―って、土砂がたまってるよ!
 これって埋められてる?
 1mばかりの高さで、
 ず〜っと埋まってるみたいです。

 捨ててあるのですか?
 土砂捨て場なのですか?
 
 内部は蒸気機関車の煤煙で真っ黒。
 待避坑もこの有り様。
 これじゃあ、列車が来ても
 逃げられません。
 いや、もう列車は走らないけど。
 

 土砂って言っても、
 歩きやすいからいいか。
 なんてのもつかの間です。
 途中から大きな岩がごろごろ。
 それになんか、岩以外の物もある。

 分別して捨ててあるのですか?
 今日は分別ゴミの日ですか?

 いや、ゴミ捨て場じゃないけど。

 
 反対側に出ました。
 よく見るとカーブしてるのがわかります。
 この土砂は、現役の中央本線の工事に関係ある
 廃材なんでしょうか。

 左上の所に煉瓦の赤茶色が見えてますね。
 トンネルの中の壁を洗ったら、
 きれいな煉瓦色が復活するかも?
 でも、この黒い煤もトンネルの歴史なので、
 洗い落としちゃったら
 トンネルの価値が半減してしまいます。
 このままが一番って訳です。
 

 相変わらず薮が酷いです。
 トンネルの真ん前に木が生えてるのって、
 現役当時にはありえない
 信じられない景色です。
 これも廃線ならではの景色ですね。
 さすがに廃止後40年以上経ってるだけあって
 結構太い木です。
 それと、トンネルのアーチの下の部分には、
 「隅石」が使われてます。
 これは煉瓦を保護するための物です。

 
 3号トンネルを抜けて、
 さらに定光寺駅側に進むと、
 ありました、愛岐トンネルです。
 右のコンクリートがそれです。
 実際のトンネルの坑口の前に
 こんな物があるのは、
 落石対策のためでしょうか?
 いわゆるロックシェードですね。

 この先は現役の線路になってしまうので、
 ここで引き返します。
 そしていよいよ4号トンネルですよ。
 
 再び3号トンネルを通って
 戻って来ました。
 落石防護柵が続いてます。
 現役時代から線路を守っていた
 たのもしいヤツです。
 今は雑草を守ってる?
 
 ここからは問答無用の激薮ゾーン。
 進むのに苦労しそう。
 路盤の真ん中は歩けない状態なので、
 脇にある側溝の上を行きます。
 それもすぐにお終い。
 側溝も歩けなくなってしまった。
 でもなんか、道があるんです。
 踏み跡って言うか、
 とにかく“道”が出来てるんです。
 鉄道関係者?
 山菜採りの人?
 それとも同業者?
 
 今度は竹林です。
 おかげで歩きやすくなりました。
 どこの竹林でもそうですが、
 いっぱい倒れてます。
 風が吹くたび上の方で、
 Σパキィッ  Σパキィッ
 って、竹が割れる音がする。
 油断してると頭の上に
 どざーー
 って落ちて来るかも?
鉄橋跡

 目の前には煉瓦製の橋台が。
 鉄橋はすでにありません。
 でも、無いはずの橋があるよ?
 あきらかに誰かが並べた竹が4本。
 やっぱ、これって橋のつもりだろうか?
 渡れるかな・・・
 よ〜〜〜し、乗ってみよう。
 …メギィ…
  さあ、横から迂回しなきゃ。
 本当にこんな竹橋、渡りゃしませんて。
 でも、これを置いた人って、
 使ったんだろうか?
 
 橋台って言っても、こんな程度の高さ。
 例の竹橋はあんな具合に架かってます。
 低いと言っても、
 落ちたら痛そう。

 谷は浅いので簡単に下りれます。
 竹がいっぱい倒れていて、
 ちょっと歩きづらいけど…
 
 ああ、いったいいつまで
 こんな薮が続くのだろう?
 庄内川の対岸を通る県道15号線からは
 ひっきりなしに車の音が聞こえます。
 こっちも、スポーンって行けたらいいのに。
 とは言え、“道”があるので、
 なんとか歩けます。
4号トンネル

 おお。やっと…やっと4号の姿が。
 距離はたいした事ないけど、
 長く感じた。
 

 これが4号トンネルですよォ。
 でも、木がじゃまだ。
 近くから木が入らないように写した物もあるけど、
 こちらの方が雰囲気出てるので
 こっちを採用。

 
 距離は短いです。
 上の写真をみてもわかるように、
 反対側の出口が見えてます。
 50mほどしかないです。
 ここも他のトンネルと同じで、
 レールはおろか、枕木さえ残ってません。
 
 北側のポータルは、
 横に三角形をした
 「翼壁」と言う部分があります。
 これは7号トンネルにもありましたね。
 帯石も斜面に合わせて斜めに付いてます。
 
 ちょっと離れた所から
 記念に1枚。
 どうやっても木が写ってしまいますね。

 ここをさらに北上すれば、
 5号トンネルまで行けそうですが、
 いろいろ困難があって
 行けないみたいです。
 なので今回はここまで。

[2007年4月現在]

下から路盤の斜面を登らなければ行けない、3・4号トンネル。
一見どこからも行く事が出来ないように見えるので、
今までネット上でのレポートは、ほとんど見た事がありませんでした。
しかし、行ける事がわかれば、これから色々なサイトでレポートされるかもしれません。

レポート内で触れた、竹の橋の正体がわかりました。
現在このトンネル群は「NPO法人 愛岐トンネル群保存再生委員会」によって
管理・保存されています。そのメンバーが調査の為に作った橋のようです。
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