【国道417号線-付け替え旧道跡】
徳山ダム建設に伴って、古い国道は付け替えられました。
ちょうどダム本体が国道を分断する場所に出来るので、付け替え国道は
ダムの西側を迂回するルートで走っています。そこにはさらに古い国道の跡が…
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 付け替え国道はダムの西側を
 迂回するルートを走っていて、
 きれいな道になってます。
 でも、谷をまたぐ橋の横には、
 工事用に造られたらしき道の姿が…
 今回はそんな道のひとつ、
 付け替え国道の旧道とも言える
 廃道を見て来ました。
 まずは地図で位置を確認→■周辺図■

 国道の途中に建設中の
 展望台(らしき)建物の近くから、
 今回探索する廃道を、
 高い位置から撮影してみました。
 廃道は川沿いを通ってますが、
 ちょっとわかりづらいですね。
 それと、現道が大きく
 曲がってる所がありますが、
 これは斜面の崩落により
 道筋が変わったためです。
 これにより旧道にも影響が出ましたが
 それは後ほど。
 
 旧徳山村を見に来た時に、
 偶然小さな橋を発見しました。
 でもこの橋、地図に載ってるけどね。
 まあ、気にも掛けてなかったって事?
 旧徳山村の橋を調べてたのに
 このていたらく。
 笑っちゃいますね( ̄▽ ̄)…
 とは言え、国道からは見えづらく、
 低い位置にあるので、
 知らなきゃ気づきません。
 この写真は橋を渡って国道を見たところ。
 国道からは急な坂を下って来ます。
 
 橋を渡って旧徳山村の中心地を見ると
 広い道が続いていきます。
 このダンプすら通れそうな道は、
 工事のための道でしょうか?
 この道の先には、
 資材置き場かプラントのような
 広場があります。
 そこはかつて民家が立ち並んでいた所です。
 
 今度は上の場所から橋の方を
 振り返ってみました。
 まだず〜っと道が続いてます。
 怪しいですね。こんな広い道。
 後から調べてみたら、
 この先の道が国道であった事が判明。
 (この写真では見えない位置です)

 ああ、それとこの探索は
 2回に分けて行ったため、
 晴れたり曇ったりしてますが
 レポートには影響ありません。
 当たり前か・・・
 

 もう一度橋を見てみる?
 なんとも素朴な風景。
 少し改変されてるようだけど、
 昔の徳山村の景色そのままです。
 ダム工事が始まる前までは、
 上流の田畑や山に行くための
 細い道だったみたいです。
 この同じ場所に橋が架かってましたが、
 当時のオリジナルの橋なのか
 それとも架け替えられた物なのかは
 わかりません。
 橋の上には欄干があった跡があります。

 

 小さな橋から少し行くと、
 ちょっとした滝があった。
 いや、段差か?
 
川そのものも改修されてるみたいです。
 相変わらず広い道が続いてますが、
 所々路肩が崩れて
 狭い場所があります。

 

 さらに歩くと、対岸にも道が現れます。
 これが付け替え国道の旧道。
 大きく崩れてますが、
 現道に向かって坂になってます。
 ここからいったん現道に出て、
 現道側からレポートを続けます。

 
 現道に上がって来ました。
 斜面が崩落した所が目の前にあります。
 右にゆるやかにカーブしてる道が、
 急に左に曲がってるように見えます。
 崩落した土砂をどかさずに、
 国道の道筋を川の方に迂回したので、
 こんな不自然な感じになったのです。
 その時にいっしょに
 川の流れも変えられたので、
 旧道は削られて
 半分ぐらい無くなってしまいました。
 
 では、あらためて旧道を
 歩いて行きましょう。
 草に覆われた道で、
 ここから見ると結構な急坂です。
 舗装されてなくて、
 細かい石が敷き詰められてます。
 旧道はダートだったみたいね。
 
 3枚上の写真の崩れた場所がここ。
 道が狭くなってる上に
 倒木にとおせんぼされて、
 実に歩きにくいです。
 しかも、道がえぐられるように
 崩れているので、
 路肩には近づけません。
 夏になれば藪に覆われて
 路肩が見えづらくなりそうなので、
 夏は注意が必要ですね。
 
 坂を下った先には橋…
 ではなく、これは何?
 金属製の大きなパイプが
 橋代わりに道を支えてます。
 
 パイプの周りを岩で固めてあって、
 かなり頑丈に造ってあります。
 しかもここ、結構道幅が広いです。
 2車線分は充分にあります。
 ちゃんとした橋を架けなかったのは、
 短い間しか使わないから?
 
 しかしすぐに旧道は終わりです。
 崖崩れを復旧した時に 削られたのです。
 その証拠に川岸が
 コンクリートブロックになってる。
 
 と、いう訳で旧道は辿れないので、
 現道を通って反対側に来ました。
 ヘアピンカーブの途中から
 旧道が下って行きます。
 旧道入口には雪の固まりがあって
 道がある事がわかりづらくなってます。
 
 廃道にしておくには勿体ない道が
 川沿いに続いてます。
 でも、もうすぐ水没するから
 どのみち使えないか。

 昔ここは村から離れた所にある
 渓流だったようです。
 古い空中写真には、
 緑に囲まれた谷の姿が写ってます。
 
 さらに歩いて来ると
 ここにも川をまたぐ所があります。
 よく考えたら、ここはもうすでに
 昔の姿を留めてないんだ。
 ダム湖に水没する事が前提なので、
 環境に対する配慮は
 まったくされてないのでしょうか。
 
 ここも鉄パイプの橋です。
 ここに来る前に小さなコンクリ橋の
 手前で釣り人に出会ったけど、
 こんな川でも魚がいるの?
 
 一時とは言え、
 国道だっただけあります。
 へたな酷道より広くて快適そう。
 やっぱりダンプを通すために
 広い道を造ったのでしょう。
 実はYahooの地図には、
 この旧道が最近まで国道として
 描かれていました。
 おかげでここが国道の旧道だってのが
 わかったんですけどね。
 
 雨上がりの後なので、
 どろどろの所もあったけど、
 歩きやすい道でした。
 しかし、間もなく道が無くなり終了。
 道が無くなるより先に
 パイプに道を削られて
 もう先には行けません。

[2006年4月現在]

国道の足元にこんな道があったなんて、全然気が付きませんでした。
風景に同化するかのような道で、それこそ夏なんかには、まったくわからなくなるかもしれません。
現場の状況から考えるとこの旧道は、工事のためだけの“使い捨て”の道に見えてきました。
しかしこの廃道も、間もなく現道もろとも湖底に沈んで行く運命です。
徳山村の歴史が終わるまで、あと4ヶ月あまり。
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