【愛知県・豊橋鉄道田口線跡-麹坂トンネル】
愛知県鳳来町から設楽町田口まで繋いだ、豊橋鉄道田口線。
その途中にある、地形図の上に痕跡を残すトンネルを探索して来ました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 田口線跡って言っても、
 場所がよくわからないので、
 地形図の上で探してみました。
 そうしたら怪しい場所を発見!
 細い道が県道の下をくぐって行き
 その先は何かが通っていた痕跡が…
 まずは地図で位置を確認→■周辺図■

 とは言え、よくわからないのでは
 レポートにならないので、
 田口線の路線の事を調べてみました。
 この場所は玖老勢(くろせ)駅と
 鳳来寺駅の真ん中あたりになります。
 地図で見ると鳳来寺小学校の
 東側になります。
 正面から延びている道が田口線跡です。
 今は遊歩道になってます。
 なので車は通れません。
 遊歩道は左に曲がって行ってしまいますが、
 線路跡はずっと真直ぐに延びて行きます。
 
 上の写真の場所から後ろを向くと
 こんな感じ。
 今回のレポートはここからスタートです。
 さっきと違い、線路跡は未舗装の
 林道みたいになってしまいました。
 この先は山の中に入って行くので、
 ひどい薮になってるかもです。
 ネット上で調べても
 接近すら容易で無いみたいに書かれてます。
 大丈夫だろうか?
 
 たちまち山の中。
 まるで廃道のような景色です。
 轍があるので車が通っているみたいだけど、
 路面はドロドロで
 落ち葉だらけで
 倒木も落ちていて
 もっと荒れそうな予感。
 だ・大丈夫だろうか?
 
 地形図通りに廃線跡は
 県道をくぐって行きます。
 手前は歩道の橋で、その向こうが県道。
 あれ?2車線しか無いのに
 なんだか長いトンネルですよ?
 ああそうか、斜めだからだね。
 こういうのってボックスカルバート
 って言う物ですね。
 ・・・そうだ、よく考えたら
 これはトンネルじゃなくて橋です。
 架道橋ってやつです。
 

 県道を過ぎるとさらに荒れていきます。
 でもなんだか歩けない程じゃ無いよね?
 廃道なら並のレベルです。
 どうやら3月に行ったのがよかったみたい。
 夏に行ったら激薮になりそうな雰囲気です。
 それにしても不思議な景色。
 線路の跡っていうより道路みたい。
 道路みたいなのにガードレールが無いのが
 なんとも奇妙です。

 
 少し行くと切り通しがあります。
 これも地形図の通り。
 ここはすごくいい雰囲気です。
 写真じゃ全然伝わりませんが、
 深山幽谷っていう感じですね。
 いや本当に。
 こんな所にコンクリートの…何だろう?
 橋台みたいに見えるけど、
 こんな所に橋?
 片方にしか無いので崖の補強なのかも。
 正体不明ですね。
 

 崖が崩れている所があったので
 何気なく見てみました。
 おや?落ちてる岩に縞模様がある。
 手に取ってみると岩ではありません。
 これは粘土?
 粒が荒いのでシルトという物みたい。
 縞模様なのは海の中で出来たからでしょう。
 この辺りは「設楽層群」と呼ばれる
 地層が広がっていて、
 この付近では化石も採れるそうですが、
 ここでは見付かりませんでした。

 
 さて、そうこうするうちに
 目的のトンネルに到着です。
 鉄道のトンネルなので、
 扁額も銘板もありません。
 でもネットで調べてみたら
 あった、ありました。
 「麹坂トンネル」と言うそうです。
 「こうじざか」と読むのかな?
 
 予想通りと言うか、
 想像以上と言うか…
 この景色は
 “廃隧道”って漢字で表現したくなります。
 実際は“トンネル”なんですけどね。
 さすがにひと山越えてるだけあって
 長いトンネルです。
 向こう側が見えません。
 いったい何百メートルあるの?
 
 坑門の横には碍子が残ってます。
 昭和時代に出来たものなので、
 飾り気の無い実用本位なデザインです。
 とまあ、ここまでなら他所のサイトでも
 レポートされてました。
 しかし肝心なのはこの先です。
 ライトを準備して
 トンネル内に侵入します。
 
 トンネル内部から切り通 しの方を撮影。
 路面には砂が溜まってます。
 鉄道なので、路面じゃなくて路盤でしたね。
 歩きにくいかな?
 水が溜まってる所もあるけど、
 大丈夫なようです。

 これより闇の中に入って行きます。
 
 コンクリートなのは最初のうちだけ。
 中は素堀りです。
 あれ? そう言えば
 さっき外で見た時、もろい地質だったのに
 崩れてこないの?
 でもよく見たら硬い岩になってる。
 真っ暗でよくわからないけど、
 そんなにゴツゴツはしてないです。
 
 後から調べてみると、
 設楽層群には海で堆積した層と、
 陸で出来た火山岩の層があるそうです。
 これは火山から出来た凝灰岩です。
 おかげで崩れている所は無いけど、
 小規模ながら崩落してる所があった。
 しかしトンネルとしては今でも十分に
 使える状態じゃないでしょうか。
 
 なかなか反対側の出口が見えないです。
 どうやらトンネルはカーブしてるみたい。
 出口に近付くにつれて
 光が見えて来ました。
 それに壁がコンクリートになってきました。
 あ。こんな所に待避抗があった。
 どう言う訳か石が詰めてあります。
 それにこれはビールケース?
 その横の「10」という数字は何だろう?
 こういうのってコンクリートの
 厚さの数字が書いてあるらしいけど、
 厚さ10cmってこと?
 
 反対側の出口に到着しました。
 結構長く感じたけど、
 トンネルの長さは441.35mあるそうです。
 県道として利用されてる、
 稲目トンネルに次いで2番目の長さです。
 左下にはパイプが見えてますが、
 どうやらこのパイプを通すために
 このトンネルは生かされてるようですね。
 さて、外に出ましょう・・・
 あれ?出れない?
 塞がれてるよ!!
 外を見ても何だか雑然としてます。
 
 塞がれてる。
 まさかの展開にどうしよう?
 って思ったけど、
 どうにか出られました。
 こちらの方が廃トンネルらしいです。
 でもなんで塞がれてるかと思ったら
 こちら側には「青少年旅行村」と言う
 キャンプ場があるので、
 キャンパーが間違って入らないように、
 塞いであるのかもです。
 
 トンネルを過ぎても線路跡は
 まだ続いて行きます。
 ここは青少年旅行村の敷地内なんだろうか?
 物置き小屋が並んでます。
 ここをさらに進んで行くと
 もうひとつ短いトンネルがあります。
 そちらは現役で使われてます。
 現役って言っても鉄道は走ってませんよ。

[2006年3月現在]

ここより前に見て来た、町道143号線のトンネル群に比べて、
はるかに廃線跡として味のある場所です。
トンネルの中にはレールや枕木などは無く、道路に転用したかの様な状態でした。

トンネル内部の写真があまりにヘボいので、再度訪問して撮影してきました。
豊橋鉄道田口線跡TOPへ… 続編へ…