【国道418号線-旅足橋】
岐阜県を代表する酷道418号線の、丸山蘇水湖に架かる「旅足(たびそこ)橋」。
シュタイマン博士により開発された新型吊り橋で、世界で5つある内の1つだそうです。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 何でも珍しい橋で、
 日本では唯一の形式の吊り橋だそうな。
 しかも、あと何年かで
 無くなってしまうかも?

 関連する周辺図はこちら→■周辺図■

 丸山ダムから国道418号線を東に来ると、
 赤い吊り橋「旅足橋」があります。
 ここから見る限りじゃ、
 何の変哲も無い、普通の吊り橋です。
 道幅も1.5車線ぐらいの狭い道で、
 さすがに3ケタ酷道です。
 ここはまだ普通に通れる道ですが、
 この先には歩いて通るのも困難な、
 不通国道になってます。
 橋桁を支えるアンカレイジは、
 ちょっとこじんまりしてる。
 
 全体はこんな感じです。
 この橋の何が珍しいかと言うと、
 補鋼トラスをケーブルで
 直接吊ってるところです。
 なかなかに優美な姿ですが、
 ここにしかないそうです。
 オンリーワンですね。
 この画像は大きいサイズで見れるよ。
 ちなみに1954年(昭和29年)8月竣工で、
 全長114m 幅4.5mです。
 
 では、渡ってみましょう。
 アスファルトじゃなくてコンクリート?
 これは「鉄筋コンクリート単純桁」
 と言うものだそうです。

 ここから見るとケーブルとトラスが
 なんともリズミカル。
 主ケーブルから橋桁を吊ってるのは
 ケーブルじゃなくて
 細い金属の棒です。
 
 補鋼トラスが主ケーブルに
 直接ぶらさがってるトコロ。
 “トラス構造”って三角形が集まって
 強度を保つ構造だけど、
 こんな風に一部が欠けた状態でも
 大丈夫なものなの?
 それとも、応力なんたらとかの
 難しい計算にもとづいて設計されてるから
 これで大丈夫なのかも。
 
 ここで真ん中あたりです。
 有名な酷道なので、
 車なんて通りそうも無い感じだけど、
 時々車が通ります。
 でも、全然揺れません。
 いや、少しは揺れるかな?

 そういえば、遠くから見ると
 優美な姿に思えたけど、
 近くで見るとけっこう武骨な雰囲気。
 
 橋の北側の旅足川と木曽川の合流地点まで
 丸山蘇水湖が入り込んでます。
 ちなみに「丸山蘇水湖」は正式名称じゃなくて、
 自然発生的なものだそうです。
 水が緑色なのは、雨が降った後だから。
 でも、いつ来てもこんな色なような…
 それと、ここ旅足川には
 元々小さな橋が架かってました。
 今ではダム湖の底でしょうね。
 
 反対側まで来ました。
 さすがに他では見れない
 個性的なデザインですね。
 まあ、こんな橋のデザインなんて
 注意して見てる人なんて
 そんなに居ないでしょうけど…
 でも、新丸山ダムが完成すると、
 この橋も水没してしまうそうです。
 橋が水没すれば、もちろん国道も水没します。
 現在国道の付け替え工事が進んでいて、
 新旅足橋も工事中です。
 新しい橋は、今流行りの箱桁橋になるそうです。
 
 箱桁橋って言えば、
 徳山ダムの付け替えられた国道に
 いっぱいあるけど、
 自己主張が無くて、ちょっと面白くないよ。
 安く出来るからなの?

 いえ、そんな事よりこの橋ですが、
 古い地形図を調べてたら
 旅足川の上流に発電所のマークがあった。
 こんな所にも発電所が?
 今は林道のような道しか通ってません。
 2枚目の写真はその道から撮ったものだけど、
 この先に発電所があったなんて信じられません。
 ダム湖に沈んでるのかも?
 
 こちらのアンカレイジもこじんまりしてる。
 小さなコンクリのブロックが
 ちょこっと顔を出してるけど、
 地中にはもっと大きなブロックが
 埋まってるのでしょう。
 まさに“氷山の一角”?
 橋の手前には、対向車を待つために
 道幅が広くなった所があります。
 それと物騒な「お願い」看板が…
 不審者を見たら通報してって書いてある。
 怪しい奴はどこのどいつだい? あたしだよ!
 通りかかったオジサンに変な目で見られたよ。
 通報しないでクダサイ(´Д`)
[2007年4月現在]

旅足ヨリ水路橋ヲ望ム〔ハイキングコース〕※土木デジタルアーカイブスより転載

土木デジタルアーカイブス」でこんな絵葉書を見付けました。
戦前の、まだ丸山ダムが無い時代の、黒瀬街道に架かる旧・旅足橋の様子です。
中央に見える小さな方杖ラーメン橋が、古い旅足橋と思われますが、
もうひとつ注目すべきなのは、その上にある水路橋です。
これはかつて、八百津発電所に送水していた水路を、渓谷に通すための水路橋でした。
木曽川の支流のひとつ、名場居川と合流地点の近くから取水した水を、沢山のトンネルを使って
八百津の発電所まで送っていました。
現在、この水路橋はダム湖に水没していますが、現存しているのかは不明です。
それと旅足川には、小さな発電所跡も水没しています。
レポート中にもあった発電所マークが、八百津発電所の工事用に造られた「旅足川発電所」です。
不要となってからは八百津町に買収され、八百津町一帯に電力を供給していました。
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