【滋賀県・県道284号線-杉本隧道】
琵琶湖の東には、山の中に隠れる様に、細長い隧道があります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 県道を走ってるといきなり現れる、
 狭くて長い隧道「杉本隧道」。
 「丹生トンネル」と言う二つ名を持つ隧道は
 一体どんな姿なんでしょう。

 こっちの地図も見てね→■周辺図■

 滋賀県の東北方面、
 国道303号線から県道284号線に入って、
 1kmぐらい行くと
 古い隧道があります。
 国道303号線といえば、
 旧道・八草峠で有名な国道です。
 断崖絶壁を通っている大変な道です。
 旧道化した今では、
 さらに大変な事になってるそうです。
 この隧道は、その八草峠の西に位置します。
 写真は県道284号線ですが、
 結構な険道ぶりを見せてくれます。
 
 あ。そう言えば
 滋賀県の中心から見て東北の方角って
 鬼門ではないですか?
 だからか。

 まあ、それはおいといて…

 国道から集落の中を通って、
 細い山道の様な県道をしばらく走れば、
 隧道に到着です。
 
 おお〜。これかぁ。
 あれ? どこかで見た事あるような…
 そうか! あれか!
 よそのサイトで紹介されてた隧道だ。
 どこにある隧道なのかと思ってたけど、
 ここにあったのね♪
 「杉本隧道」。
 地図には「丹生トンネル」って書いてあるので
 わからなかった。
 どうやらこの隧道、東側は「杉本隧道」
 西側は「丹生トンネル」って言うそうです。
 トンネルじゃなくて、「丹生隧道」だったかも?
 
 「丹生」って何て読むんだろう?
 って地形図に読み仮名が書いてあった。
 「にゅう」
 「にゅうずいどう」ですね。
 なんか「new隧道」って書いちゃいそう。
 こんなに古そうなのにnew (≧▽≦)!
 …まあ、それはいいとして。
 こちらは「杉本隧道」です。
 ここの地名が「杉本」だからです。
 コンクリかモルタルで塗り込めてある。
 のっぺりした外見なのに、
 立派な扁額がなんとも奇妙。
 

 内部は煉瓦で造られてます。
 表側の、のっぺりした感じに比べ、
 古い歴史を感じられます。
 これはポイント高しです。
 でも、長〜〜〜〜〜〜〜いっ。
 出口が遥か彼方。
 隧道を通ってる最中に、
 反対側から車でも来たらどうしよう?
 ってぐらい狭い。
 長いので余計狭く見えます。

 
 こんどは隧道の中から見てみましょう。
 差し込む光に、煉瓦の壁が浮かび上がってます。
 明治か大正時代の隧道みたいです。
 外にある高さ制限のバーが、
 パースがついて余計小さく見えて、
 圧迫感があります。
 こんなの無ければいいのに。
 でも無いと、背の高いトラックなんかが侵入して
 天井をガリガリと削って行ってしまうから?
 柔らかい地質の隧道ならいいけど、
 ここでやられちゃ、煉瓦が壊れますね。
 …やっぱり必要です。
 
 煉瓦なのはつかの間。
 なんだか変な具合になってきた。
 これは鉄骨のような物が埋め込んであるみたい。
 補強なんでしょうか?

■後日情報をいただきました。
 それによると、これは煉瓦の壁の断面だそうです。
 改修工事の時に、煉瓦を取り除いた所と
 残った所があり、その境い目がこんな具合に
 奇妙な突起として残っているのだそうです。
【情報提供「レオの兄貴」様】
 
 今度は鉄骨をU字に曲げた物があります。
 これは間違い無く補強でしょう。
 間にはコンクリートが詰め込まれてます。
 いや確かこういうのって、
 吹き付けてるんでしたね。ポンプで。
 U字の鉄骨を繋げる棒は、
 何故だか、たがい違いになってる。
 いったい何のために?
 強度的に問題ありそうに見えるけど、
 きっと深い訳があるのでしょう。

 よく考えたら“U”じゃなくて“n”かな?
 
 さらに波状のトタンで、
 上半分が覆われてる所もあります。
 なんだか、補修工事の見本市みたい。
 坑門付近の煉瓦積みに比べて、
 新しそうで不自然な感じです。
 ここって昔は素堀りだったんでしょうか?

 それにしても、この景色は鉄道の隧道みたい。
 思うに、長い隧道を造るために、
 鉄道建設の技術を使ったんでしょう。
 そんな事を想像しちゃいます。
 
 長い長い隧道を抜けて、
 西の余呉町側に来ました。
 で、これなに?
 “U”の次は“T”ですか?
 太いパイプのようですが…
 あ。下から水が流れてる。
 水抜きのためのパイプみたいです。

 これって、皮膚の下を這いずる芋虫みたい…
 うわっ(″Д″)
 想像したらキモチワルイ…
 
 こちらも似たような景色ですねぇ。
 路面に水たまりが出来てるし。
 壁の芋虫…じゃなくてパイプが
 奇妙な雰囲気を作ってる。
 
 余呉町側の景色ですが、
 木之本町側と大した違いはありません。
 トンネルを抜けたら○×だった、
 なんて事は無いです。
 それで、ここの地名は「下丹生」と言うので、
 隧道名も「丹生隧道」になります。
 よくわからない?
 周辺図を開いて確認してみて下さい。
 
 坑門の脇には銘版が。
 竣功年が記されてます。
 昭和36年3月30日ですか…

 え? そんなに新しいの?
 だって煉瓦の隧道ですよ?
 でもまあ…そうなのかなぁ…

 あ! カエルが居る。
 右上の所にちょこんと乗ってます。
 現地じゃ気が付かなかったわ。
 
 こちら側にも扁額があるそうだけど、
 枝に邪魔されてよく見えません。
 それにしても狭い。
 知らないでここに来て、
 あの長さを目の当たりにしたら、
 大抵の人はびびりそうです。
 
 隧道の近くの森の中に記念碑が立ってました。
 どうやらこの隧道を記念して
 作られた物のようです。
 工事費を寄付してくれた人の名前とか、
 発起人の名前とか彫ってあります。
 竣工年もありました。
 えーと、大正7年6月・・・・
 大正!? 上の銘版より44年前?
 なるほど。これで謎はすべて解けた。
 大正時代に造られた煉瓦の隧道を、
 昭和になってから補修工事をした。
 って事ですね( ̄ω ̄)≡3
[2005年7月現在]
 
 後日、ポータルの扁額の裏側が
 見れると教えられたので、
 また行ってきました。
 隧道の横の斜面を上がって行くと
 成る程、裏側が見えます。
 これが本来の煉瓦の部分ですね。
 改修される前は、
 煉瓦の上品な姿だったのでしょう。

[2005年10月現在]

滋賀の山奥には、まだまだこんな隧道がありそうです。
道ネタ「隧道」TOPへ…