【岐阜県・瑞浪市-白倉トンネル】
集落と集落の間の小さな山を越える、小さなトンネル。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 

 この近辺には以前、化石隧道として紹介した
 「正馬様トンネル」がありますが、
 他にも隧道がないか、
 地図上で探してみました。
 …ありませんでした。
 それなのに、ある日もらったメールに
 歩行者用の隧道があるとの情報が・・・
 ■周辺図■


 ええ、もちろん行って来ましたよ。
 県道から外れて細い道を走ると
 「増福寺」というお寺に着きます。
 例の隧道はその手前にあります。
 写真はお寺の前から隧道方面を見たもの。
 なぜか七福神が並んでます。
 “ナニコレ”な景色ですね。
 では、例の隧道
 「白倉トンネル」に行きましょう。
 
 これですね。
 民家と田畑の間にある小道が
 今回のトンネルへの道です。
 さっき地元の人に聞いたのですが、
 白倉トンネルは旧道とかじゃなくて、
 子供の通学のために
 戦後に掘られた物だそうです。
 調べたところ昭和28年です。
 
 道は何もためらう事無く
 真っすぐトンネルに向かってます。
 通学路なだけに、
 余計な道草はさせない、ってか?
 まあ、九十九折りを造るような
 余分なスペースが無いんだろうけど…
 ちょっと普通の山道とは雰囲気が違います。
 横の畑では農家の人が作業中です。
 
 狭い狭〜い道を上がって来ると
 草むらに何か黄色いモノが・・・
 あら?
 警戒標識?
 「落石のおそれあり」
 歩道なのにご丁寧に標識があります。
 っていうか、石落ちて来るの??
 

 通学路隧道とは思えぬ
 この廃な雰囲気はどうよ?
 まるで古代遺跡への入口のようだ。
 実はこのトンネルの事を知った時は、
 大戦中に造られた
 地下工場の跡かと思ってました。
 地元の人に教えてもらわなかったら、
 今でも地下工場跡だなんて
 思い込んでいた事でしょう…

 
 ロックシェードがまるで門のように
 坑口前に建ってます。
 これってこの上の斜面が
 崩れやすいからってコトですか?
 まさに「落石のおそれあり」だ。
 

 中は荒々しい素堀り。
 しかも天井が低い。
 子供達の通学のために造ったという事は
 “国”や“県”じゃなくて
 “村”で造ったんでしょうか?
 ちょっと大雑把に造ってあるよこれ。
 でも、その方が萌えるんですがね( ̄▽ ̄)
 子供用、という訳じゃないんだろうけど、
 天井がすごく低いです。

 
 古くて狭いトンネルなれど、
 所々に照明があって、
 ライトなしでも歩けます。
 まあ、だいたいこんな明るさです。
 蛍光灯なのが何とも素朴。
 
 ちょっとローアングルで撮ってみた。
 これだと普通サイズに見える。
 それと、この辺りは瑞浪層群と言う
 地層の中にあって、
 ここは泥岩の山だそうです。
 瑞浪層群と言えば、
 化石が広範囲に出る地層なので、
 トンネル内も探してみたけど
 何もなかった。
 
 50mほどなのでもう出口です。
 いやぁ、短いながら
 堪能出来るいいトンネルですね。
 
 こっちにもロックシェードあります。
 崩れてくるような岩とか無いけど、
 用心のためでしょうか?
 
 さて、これで目的のトンネルも見れたし
 引き返そうかな?
 いやしかし、この先も期待できそう。
 単なる歩道とは思えない
 味のある道です。
 このまま帰るのはもったいないので、
 この先の、県道に出る所まで
 行ってみます。
 
 振り返ってみると・・・
 まるで山奥に潜む旧道の隧道のようだ。
 警戒標識がさらに車道っぽく見せてるし。
 と、ここで気になるモノを発見。
 山の斜面に水平にへこんだ部分が・・・
 自然の地形にしてはちょっと不自然。
 そう、あれは“片洞門”だ。
 古い山道の跡だろうか?
 いや、そもそも片洞門かどうかも
 怪しいのですが・・・
 
 森から抜けると、遊歩道のような雰囲気。
 左側は県道352号線と集落が見え、
 右側は薮しかありませんが、
 バナナの木みたいなのが生えてるので、
 昔は畑とかがあったようです。
 ここで犬の散歩中のおじいさんに会った。
 今回は珍しく人に出会います。
 っていうか、この道は今でも
 村人に利用されてるわけですね。
 
 小さな橋を渡れば、
 あと少しで県道に出ます。
 何で橋があるのかと思ったら、
 山の方にため池があるからです。
 下の水路のための橋でしょう。
 
 取り敢えず今回のレポートはここまで。
 左から斜めに横切ってるのが県道352号線。
 あの「五月橋」や深沢峡に行けます。

 周りの田んぼは稲刈りが済んでて、
 ちょっと寂しい感じですが、
 住んでみたくなる良い村でした。

[2009年11月現在]

寂しい山の中を通る、寂れたトンネルを想像して行ったのですが、
良い意味で裏切られましたね。
お寺の前で会った人の話によると、子供が学校に通うのに
県道を使うと遠回りになるので、戦後になってトンネルを掘ったそうです。
ここより北側にある、日吉中学校に登校する生徒のためだったのかもしれません。
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