【静岡県・浜松市天竜-出兵橋】
静岡県浜松市天竜区を通る、国道362号線の横に架かる廃吊り橋がありました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 以前この国道を通った事があったけど、
 この橋には気が付かなかった。
 かの「山いが」で紹介されて
 初めて知ったのでした。
 ああ…情けない…
 気を取り直して見に行ってみよう。

 国道を北上して来ると、
 道端におかしな物が・・・
 黄色い人?
 すごい目立ってますが、
 反対側から来ると
 まったく分かりません。
 奥には赤い吊り橋が・・・

 
 吊り橋を渡りに行く前に
 この黄色い人をいじって行こう。

 その左手に持ってるものはナニ?
 ボーリングの玉か?
 お腹にくり抜かれた「川上小」の文字は
 この橋を渡った先にかつてあった
 小学校の名前だそうです。
 それにしても、この像の意味はなに?
 目がコワイんですけど。
 
 では本題。橋を渡ろう。
 主塔は鉄製で華奢な印象ですが、
 重量制限が2トンもある。
 主塔の幅も広いし、
 車も渡れる橋なのかな?
 木々に埋もれる姿が
 廃物件らしくてナイス!
 
 問答無用な「通行止」
 ガッツリ塞がれてます。
 まあ、渡るんですがね。
 そう言えば、天竜区で見掛けた、
 黄色い「強風時、通行注意!」
 看板が無いね。
 
 名前は(すでに知ってますが)
 「出兵橋」ですね。
 ちゃんと銘板が残ってます。
 

 反対側は「昭和四十三年十二月完成」
 思いのほか新しいです。
 “出兵”なんて名前だと
 戦争に関係してそうな感じですね。
 川上小学校が戦前の昭和11年に
 移転したそうなので、
 この橋は2代目なんだろうか?

 
 橋桁は車も通れる程の広さです。
 床板が木製なのは大丈夫なもんなの?
 板は薄いし、所々穴が開いてるよ。
 2トンがOKの橋なので
 揺れはしませんね。
 

 高欄はトラス構造なので、
 トラス補剛吊橋です。
 こういうのって、
 車のような重量物が載った時に、
 変形するのを防ぐ為でしょう。
 車が移動すると、
 波打つ様に変形しそうだし。

 
 すぐに対岸に到着します。
 ここも塞がれてる。
 この先には小学校跡しかないのに、
 こっちを塞いで意味があるもんなの?
 
 「しっぺいはし」
 “しゅっぺい”じゃなくて、
 “しっぺい”でした。
 (だからすでに知ってるって)
 
 橋の先には、
 小学校に行く為の道があります。
 この先の様子は
 「山いが」のレポートを
 見てもらうとしましょう。
 
 この川では鮎とかが釣れるのか、
 釣り人がいました。
 ならば河原に行ける道があるはず。
 で、その道を下って河原に来ました。
 いい雰囲気の渓流です。
 この川は気田川の支流で、
 「杉川」と言います。
 
 上の場所から西側の様子。
 魚がいっぱいいそう。
 
 ここらは、中央構造線の
 「三波川帯」と言う地質です。
 対岸の崖には、
 薄い板を積み重ねた様な地層があります。
 河原には、岩の中に石が埋め込まれた
 “メランジュ”と言う物もあった。
 
 最後に真下から見てみましょう。
 木材が4本縦に並べてあり
 その上に床板が敷いてあります。
 上からじゃ分からないけど、
 さすが2トンOKなだけあって、
 頑丈そうです。

[2015年8月現在]

浜松市の天竜から、茶処・川根を結ぶ国道362号線の脇に、
こんなにも味のある廃吊り橋がありました。
国道側から、川上小学校に行き来するための橋です。
「しっぺい」と言えば、静岡県には「悉平太郎伝説」があります。
怪物を倒した勇敢な犬にあやかり、 子供達の使う橋に「しっぺい橋」と名付けたのでしょう。
“出兵”の字を当てたのは、戦時色の強まる当時の世相を反映したものかもしれません。
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