【静岡県-佐久間水窪・嶋橋】
静岡県浜松市天竜の佐久間湖の東側を流れる水窪川には、多くの吊り橋が架かっています。
今回の物件は、相月地区にある廃吊り橋、嶋橋です。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント

 
 飯田線相月駅の北側の
 国道の旧道に入ると辿り着きます。
 まあ、旧道からは見えないんですがね…
 地図を見ていて見付けた
 怪しい橋のマーク。
 そこは、“やっぱり”の廃物件でした。

 旧道と対岸にある集落を結ぶ唯一の橋。
 しかし、今は車も通れる橋が
 少し離れた所に架かってます。
 そういうシチュエーションでは、
 古い橋は廃止されてるものです。
 はい。思った通り廃物件ですね。
 木が邪魔ですが、むしろいい味出してる?

 
 主塔が鉄骨のトラス構造ですが、
 この辺りの吊り橋は、
 みんなこんな感じだった。
 トラス主塔は珍しいみたいだけど、
 けっこう見掛けるよ?
 で、吊り橋ですが、封鎖されてます。
 丸太とツタが効果的に塞いでますね。
 左の丸い看板は、山にはよくある、
 リスの山火事注意看板です。
 

 それで丸太はどこに載ってるかと言えば
 親柱に載ってます。
 う〜〜ん、なんとも質素な柱です。
 金属製プレートで「嶋橋」。
 反対側は「昭和三十一年四月改修」。
 改修って、床板を張替えたのかな?
 木造ですしね。

 
 …さっきから気になってたけど、
 なに?これ。額縁?
 よく見ると細かな字が沢山書いてある。
 「嶋橋改修…なんたら…
  金拾伍萬円也 村□補助金
  金拾参萬円也 嶋橋基本金」
 後はずっと個人名が続いてます。
 これは珍しい! これこそ珍しい!
 こんなの初めて見たよ!
 嶋橋の改修費用を出した人の名前を
 こんな所に掲げてるのですよ!
 

 さ〜〜て、橋を渡れ・・・ませんね。
 床板が無いです。
 鉄骨剥き出しになってます。
 手前側だけ無くなってるので、
 渡れないように外してあるみたいです。
 これ、渡れなくはないけど、
 近くに民家があるので、
 まあ、やめた方が無難かも?

 

 板の無い場所を下から見てみた。
 これは対岸側を向いて写してます。
 残った板も抜け落ちて、
 なんとも廃な状態になってる。
 見てる分には萌える光景だけど、
 渡るとなったら怖そうだ。

 
 ぐるっと向きを変えて、
 今度は主塔側を見てます。
 何と!橋台の下から木が生えちゃってます。
 橋桁が枝と枝の間を通ってるよ。
 これは嶋橋が出来てから生えた木なの?
 橋が出来てから50年以上経ってそうだから
 これぐらい成長してても不思議じゃないか。
 でも、何で切らなかったんだろう?
 ちなみに左側に見えてる建物は、
 民家の駐車場です。
 軽トラが置いてありました。
 
 対岸の様子はといえば、
 木に覆われてよくわかりません。
 向こう側には道が無いように見えるけど、
 集落に行く為の小道があります。
 それとネットで見た地図には、
 橋の右側の影になってる所に
 小さな橋が描かれていました。
 写真を拡大して見たけど、
 ちょっとわからなかった。
 耐風索はだらんと垂れ下がってます。
 
 全体像を見ると、結構長い橋です。
 それに高い。
 近くで見るより高く感じます。
 橋から落ちたら「痛い」じゃ済まなそう。
 こんな立派な吊り橋がボロボロなんて
 勿体ないコトです。
 また改修しないのかな?

[2010年12月現在]

航空写真を見ると、嶋橋を渡った対岸には、5世帯の家が確認できます。
山の中腹に住宅と耕作地が点在し、そこを九十九折れの道で結んで集落を形成しています。
この地域には、川沿いにそんな集落が幾つもあり、
集落からバス停や鉄道の駅に行く為の橋が架かっています。嶋橋もそのひとつでした。
嶋橋の近くに出来た新しい橋の為に、嶋橋は廃止されたのでしょう。
取り壊されずに今も残っているのは、地元の人達の並々ならぬ想いがあるからでしょうか?
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