【三重県・いなべ市-千才橋】
三重県いなべ市を流れる員弁川に架かる、途中の抜けた橋。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 おや?こんな所に橋があんの?
 で、航空写真で見たら
 何と、橋桁が途中で無くなってた。
 これは廃物件なのかな?
 さっそく現地に行ってみました。

 場所は三岐鉄道東藤原駅の東側。
 と言っても、ここから
 駅は見えないのですが。
 画面の外の右の方には
 石材を加工する工場があります。
 遠くに見える煙突は
 セメント工場の物です。
 さて、問題の橋はコンクリ製で
 立派な物が架かってますね。
 

 ここは員弁川の左岸になります。
 橋は車が通るには細い橋桁です。
 A型バリケードで塞がれていて
 「この先、落橋のため通行止」
 と書かれた看板がぶら下がってます。
 ストリートビューで確認すると
 2014年からこの状態になってます。
 ちょっと調べたら2004年から
 こんな状態だったようですよ。

 

 員弁川の河原の幅は広くて
 100m以上ありそうです。
 なので橋も細長くなってます。
 路面はアスファルトじゃなくて
 コンクリのままみたいです。
 車が通った跡が無いので、
 歩行者用の橋だったようです。

 
 ここが橋桁が無くなってる所です。
 川の流れてる所だけ無くなってるので
 川の氾濫で流されたのでしょう。
 対岸はかなり遠くに見えますが、
 だいたい40mぐらいです。
 

 河原を下りて下から見てみます。
 橋の真下には薮が酷くて行けないので
 中州を歩いて来ました。
 どういうわけか橋桁の途中で色が違う。
 しかも傾いてますよ。
 高欄もガードレールから
 柵に変わってますし、
 橋脚の形も違います。

 

 対岸の橋桁には近づけました。
 東側の橋桁に比べて
 ここの橋桁の方が古いようです。
 橋脚も柱2本で、
 古いスタイルですね。 

 新しい方の橋桁は造り直した?

 

 4枚目の写真にも写ってましたが、
 河原に橋桁の残骸があります。
 こんな所まで転がって来たなんて
 自然の力恐るべしです。

 
 水中のこれも橋桁ですかね?
 橋脚かもしれません。
 無くなった部分は
 3径間ぐらいなので
 あと1径間分たりません。
 
 対岸にもこんな物があった。
 これは橋桁と橋脚なのかな?
 目の前の川を渡れば近づけるけど、
 思いのほか深くて
 ちょっと無理。

 では次は対岸…右岸の側から
 橋に行ってみましょう。
 
 北側の前川橋を渡り
 東藤原駅の前から民家の間を通り、
 橋への入口に来ました。
 実はこの道は東海自然歩道のルートで、
 三重県コースの一部です。
 しかし、例の橋が通れないので
 迂回路が案内されてます。
 ここは通れない道なので
 塞がれてますよ。
 

 もう16年以上は
 人が通らないからか、
 落ち葉で埋もれてます。
 まあ、そもそも歩行者用の道なので
 元からこんな感じなのかも
 しれませんがね。

 
 ここから員弁川までは
 30mぐらいの高さにあります。
 けっこうな崖っぷちですが、
 柵とか無くてちょっと危険だ。
 少し先でヘアピンカーブで
 道は向きを180度変えます。
 
 カーブの先には
 水路が合流してきて
 並んで下って行きます。
 水路がやけに白いので
 この景色の中では浮いてます。
 この辺では石灰岩の鉱山があるので
 流れて来た石灰分が、
 沈殿してるのでしょうか?
 
 先ほどのヘアピンから
 道が荒れだし
 倒木もありました。
 でも、まだ大丈夫ですね。
 危険な所はありません。
 さて、もうそろそろ橋です。
 河原が見えて来ました。
 
 橋は道の先に
 右斜めに向いて架かってました。
 すっかり植物だらけ。
 
 おっ!こっちには親柱があった。
 「千才橋」とあります。
 「千才」とは、
 ここらの地名のようです。
 赤く塗られてるけど、
 高欄も赤かったんだろうか?
 親柱はこれだけなので
 竣工年などは分からなかった。
 
 橋の路面も緑のジュータン。
 長年放置されていた証拠ですね。
 もう復活されないのでしょう。
 では、橋を渡って
 先っぽまで行ってみましょう。
 
 落橋している先端に来ました。
 この下の橋脚は細くて
 頼りないので、ちょっと心配です。
 橋脚の根元がむき出しになっていて
 危うい感じです。
 遠くを眺めてみれば
 養老山地が見えます。
[2020年1月現在]

現在は不通ながら、東海自然歩道のルートの一部だった「千才橋」。
大正13年の地形図には、今よりは短い橋が、すでに描いてありました。
阿下喜村と東藤原村を結ぶ道は2本あり、その内の南側の道の橋でした。
北側の橋は、2車線幅の「前川橋」です。
昭和39年の地形図に描かれた千才橋は、現在と同じ長さに描かれています。
千才橋はいつ落ちたのか?
2004年撮影の空中写真には、落橋の姿が写っているので
その頃には落ちていたというわけです。
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