【愛知県・大口町-裁断橋】
愛知県大口町の公園に架かる、再建された和風木造橋。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント

 
 長野県の奈良井宿の木曽の大橋と
 同じような木造アーチ橋が
 愛知県にもありました。
 なんでも再建された橋だと言いますが
 どんな橋なんでしょ?

 橋のありかは、大口町を流れる
 五条川沿いの堀尾跡公園にあります。
 五条川といえば、
 桜の名所として有名な川です。
 春に来ればさぞ奇麗な事でしょう。
 さて、裁断橋はこれです。
 大変に立派な橋です。
 そんなに大きな橋ではないんですが、
 画像だと大きく見えますね。
 
 有名な錦帯橋と似た姿ですが、
 橋桁の横のスカートの様な物は、
 錦帯橋には無い物です。
 これは「桁隠し」と言う
 雨よけみたいです。
 橋台はコンクリ製ですが、
 オリジナルでは
 ここも木造だったことでしょう。
 
 親柱は石造で「裁断橋」
 「橋」は変わった字体です。
 昔の石碑とかのイメージなのか、
 深く彫り込まれた文字です。
 
 隣は「五条川」
 オリジナルは名古屋の熱田に
 あったそうなので
 五条川じゃなかったはず。
 いやいや、昔の橋の親柱には
 川の名前を書いていたのかな?
 
 橋桁の床板は、
 コーティングがはがれて
 イイ感じになってますね。
 こういう昔の橋は
 アーチが橋桁の角度そのものですが
 ここは緩くて歩きやすいです。
 
 渡った先には
 お堂のような門があります。
 復元された「姥堂」だそうです。
 
 擬宝珠は古そうですが、
 これはレプリカですね。
 本物は名古屋市博物館にあります。
 書かれているのは橋の由来で、
 女性三名文の一つに数えられてる
 ものだそうです。
 
 対岸の親柱には
 「さいだんばし」とあります。
 達筆というより
 なんか古い文字っぽい。
 これだけ見せられても
 全然読めないよ。
 
 こちらは竣工年
 「平成八年参月
  熱田裁断橋架替 大口町」
 
 裏側も見て来ました。
 思いのほかあっさりしてますね。
 錦帯橋などは細かいパーツが
 たくさん使われていたのに
 ここはやけに近代的。
 集積材というのを
 使ってるからでしょうか?
 
 春になれば
 ピンクの花びらに彩られた
 華やかな景色になる事でしょう。

[2019年2月現在]

裁断橋」は、かつて名古屋市熱田区の伝馬にありました。
今は存在しない精進川に架かっていた橋で、橋詰めに姥堂が建っていました。
「裁断」の名は、磔になったり、追放された者が居たからという説があります。
天正18年、堀尾金助という若者が、裁断橋で母に見送られて小田原に向かいましたが、
18歳で亡くなってしまいました。
嘆き悲しんだ母は、息子の菩提を弔う為、古くなった裁断橋を修繕しました。
その事を知った人達は、賞賛したといいます。
月日が経ち、金助の事は忘れられてしまいました。
母は淋しさから、今度は金助の名で改修し、擬宝珠に由来を記した。
その時の銘文が、「女性三名文」の一つに数えられています。
しかし、金助の母は、橋の完成を待たずに亡くなってしましました。
現在は、堀尾氏の屋敷跡の近くに、姥堂と共に再現されています。
地下鉄伝馬駅の南側、セゾン姥堂の前には、裁断橋のモニュメントがあります。

4月の桜の季節に再訪してきました。→
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