【愛知県・豊橋鉄道田口線跡-大草トンネル群】廃トンネル編
愛知県鳳来町から設楽町田口まで繋いだ、豊橋鉄道田口線。
三河大草駅周辺には、沢山のトンネルが残っています。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 田口線の三河大草駅と鳳来寺駅の間には
 七つのトンネルが連続する所があります。
 通れるトンネル、
 閉鎖されたトンネル。
 そして、消えたトンネル。
 今回は通れるけれど廃れたトンネルです。
 地図はまだ開いてない?→■周辺図■

 「峰第2トンネル」から
 真っ直ぐ進んで来るとここに出ます。
 今は集落から上がって来る道に
 築堤は分断されてしまい、
 ここから見てもよくわかりません。
 左側の藪になった斜面が全部築堤で、
 ブロックの法面の所が、
 削られた築堤の断面になります。
 築堤に上がるための道があるので、
 簡単に行く事が出来ます。
 
 簡単と言っても、
 「峰第2トンネル」からは
 直接行けないので、
 いったん県道に戻ってから
 改めて軌道跡に行きましょう。

 築堤の上から集落を眺めてみました。
 けっこうな高さです。
 まさに当時の車窓からの眺め。
 バーチャル体験ですね。
【峰第3トンネル】

 さて、話をトンネルに戻しましょう。
 軌道跡は思いの外きれいな状態。
 どうも車が通っている様子です。
 奥の方にトンネルが見えます。
 その前には…
 

 もの凄い高さの切り通しが。
 どの位の高さがあるでしょう?
 10m以上ありそうです。
 じゃあ何でトンネルにしなかったの?
 素朴な疑問ですね。
 固い岩盤を掘ったからなのか、
 垂直に近い角度で、しかも
 コンクリートで固めてもありません。
 固い火成岩だからいいのかな?

 でも、ちょっっと怖いね…

 やはり車が通るのか、
 大きな落石はありません。
 片付けられてるようです。
 しかし、岩は落ちてなくても、
 路面はぐちゃぐちゃ。
 真ん中は歩きづらいので、
 崖沿いを歩きます。
 
それって余計あぶない?

 

 ここもポータルの無い構造です。
 でもって中は素堀り。 固い岩盤だし、
 入口付近も素堀りでいいんじゃない?
 って思うけど、 坑口のアーチ部分には
 “角”が出来るので、
 崩れやすいからでしょうか?

 
 すごいゴツゴツした景色。
 山のお腹の中って感じ?
 どこの素堀りトンネルも
 独特な雰囲気があります。
 

 トンネルを抜けても、
 また切り通しがあります。
 のんきに眺めてますが、
 鉄道が走っていた時代は、
 常に崖崩れの危険性があった、
 あぶない路線だった訳ですよね。
 事実、崖崩れによって田口線は
 息の根を止められてますし。

 
 トンネルを抜けて振り返って見ると、
 こっちもポータルが無い。
 コンクリートで固める必要が無い程、
 固い岩盤なんでしょうか?
 
 もう少し離れた所から見ると、
 なかなかいい景色です。
 切り通しの斜めになってる所なんか、
 画面に変化がついてGoodですね。
 ここら辺はよさげな景色が多そうなので
 撮影ポイントには事欠かないかも。
 
 ではあらためて、
 廃トンネル探索に戻りましょう。
 ここに来て車の通ってる理由がわかった。
 途中から林道が分かれてます。
 しかも舗装されていて、
 廃線の軌道跡より立派です。
 でもそこを過ぎると、
 一気に道は荒れて行きます。
 前の方には次のトンネルが見えます。
 それに倒木の姿も…
【峰第4トンネル】

 さっきとは一変して、
 倒木と落石です。
 事前情報として、
 藪が酷いらしいと言うのは知ってたけど
 どうやらここの事のようです。
 そんなに酷いように見えないけど…
 いやいや、普通の人から見たら
 充分に酷いのでしょう。
 私はもう普通じゃないって?
 
 ここはポータルがあります。
 しかも岩盤に挟まるような格好です。

 こういうのって
 設計とかめんどくさそうで
 造るのは大変だったんだろうか?
 
 むろんここも素堀り。
 あ。なんか動いた。
 トンネルの向こうに動くものが…
 動物?
 どうやら4本足の獣がいます。
 まさかイノシシ?
 いや、よく見たら足が長いです。
 あれは…カモシカのメスのようです。
 な〜んだ、びっくりした。
 

 ではどんどん先に進みましょう。
 中は壁が崩れた所もあったけど、
 そんなに荒れてなくて、
 危険な事はありませんでした。
 反対側もコンクリートです。
 おかげで狭くなってるし、
 
形が少し変。

 
 外から見たらこんな感じです。
 なんだか道路隧道みたいに、
 下の方が広がってます。
 昔の“鞍”の“山形”と言う所みたい。
 鞍とは馬に乗る時使うアレで、
 山形とは人の乗る部分の前後に付いてる
 半円形をした板の事です。
 それがちょうどこんな形をしてます。
 かなり頑丈そうだけど、
 上の岩が落ちないように
 支えてるのでしょうか?
 
 もう少し離れてみましょう。
 軌道跡は落ち葉で埋まってます。
 でも、廃線後40年以上経ってる割には、
 生えてる木が少ないです。
 鉄道の線路があった所は、
 地面が固く締まってるので、
 木や雑草が生えにくいんでしょうか?
 今でも廃線跡を辿れるのは、
 ありがたいですが。

 それでもトンネルから先は、
 林状態になってます。
 このすぐ先には橋がありましたが、
 今は橋台を残して、
 
撤去されています。
 ここは下を通る県道のすぐ近くなので、
 車の音が聞こえて来ます。
 取り敢えず三河大草駅周辺の
 トンネル群の探索は終了。
 と、言う事で引き返します。

 
 峰第2トンネル北側の
 集落から上がって来る道に
 戻って来ました。
 実はもうひとつトンネルが…
 築堤の下に人間用と思われる
 小さなトンネルがあります。
 翼壁も付いた本格的な物です。
 
 三河大草駅南側にあった物と違い、
 向こうが見えます。
 どうやらこれは、
 築堤をくぐって行き来するための
 トンネルのようです。
 田口線の築堤が出来た時に、
 谷を通る道が潰されたので、
 それの代わりに造ったようです。
 ああ、それならこれは
 トンネルじゃなくて橋です。
 架道橋と言われる物ですね。
 
 築堤がすごく大きいので、
 これを橋と言うのは変な感じです。
 中を見てもトンネルだよね。
 でも、鉄道用のトンネルに比べて、
 構造が違います。
 下半分が石積みだけど、
 これはさしずめ“橋台”でしょうか。
 上がアーチになってるので、
 “アーチ橋”ですね。
 アーチには何かのパイプが付いてる。
 水でも流してた?
 
 帰りに反対側も見て来ました。
 こちらは民家の向こうにあって、
 石垣の横からちょろっと見えます。
 ここなんかわかりやすいけど、
 三河大草駅の南側の物は、
 一方の出口が不明だった。
 一体どこに繋がってたのだろう?
 もう一度調べた方がいいかも?

[2006年3月現在]

これで三河大草駅周辺のトンネル群は、消えたトンネル以外全て探索完了です。
後日もう一度、気になる所を見て来ました。
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