【岐阜県八百津町-のぞみ橋】
岐阜県八百津町の蘇水峡に、昭和31年完成の丸山ダムがあります。
その丸山ダムの能力的限界のため、新たなダム、「新丸山ダム」が建設される事になりました。
ダム建設には専用の橋が必要になり、造られたのがこの「のぞみ橋」です。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 丸山ダムの前には、
 古い吊り橋「小和澤橋」があります。
 車が通れる頑丈な橋だけど、
 さすがにダンプの通行は無理でしょう。
 で、工事用に新たに橋が造られました。
 一見、工事用には見えない、
 きれいで華奢な橋です。
 でも、ダム完成後には撤去されちゃうって。

 国道418号線から横道に入って、
 あれやこれやで丸山ダムまで来ました。
 新丸山ダムの工事のために、
 国道を始め、道筋がいっぱい変わってるので、
 ちゃんと説明できません( ̄ω ̄)
 と、言う訳で周辺図を見てね。
 ダムの前には駐車場も備えた
 ちょっとした広場があって、
 そこに2つの橋が並んで架かってます。
 新旧共演って感じです。
 これが「のぞみ橋」です。
 なんて変わった姿なんでしょう。
 
 いったいどうやって橋桁を支えてるんだろう?
 トラス橋のようにも見えるし、
 アーチ橋のようにも見えます。
 ・・・そうか!
 この垂れ下がった部分に橋桁が乗ってるんだ
 つまり逆吊り橋って事ですか?
 ケーブルに吊るんじゃなくて、
 ケーブルに乗せてるんです。
 上の写真をよく見れば、
 下にケーブルがちらっと見えてる。
 この写真は橋台部分のアップです。
 けっこう複雑な構造してます。
 
 のぞみ橋の真ん中あたり。
 バックは蘇水峡で、
 右はじに発電所が写ってます。
 この変な逆吊り橋って、
 何て言う形式なんだろうって調べたら、
 「端部分離型上路式PC吊床版橋」だって。
 簡単に言えば「吊床版橋」ですね。
 全長は91.63mもある長い橋です。
 ちなみにこの橋、
 土木学会田中賞ってのを受賞したそうな。
 現地にパネルがあった。
 
 小和澤橋とのツーショット。
 古いとは言え昭和27年だけあって
 6トンでも大丈夫。
 でも、さすがにこんな吊り橋じゃ
 ダンプは無理ですね。
 ああ、そう言えば大正時代の発電所建設では
 こんな吊り橋を使ってましたね。
 ええと、話を戻して…
 新しいのぞみ橋の方が高い位置にあるけど、
 小和澤橋の手前側が上り坂になってるためです。
 のぞみ橋はあらかじめ
 坂の上に繋がってるので
 こんな段差ができてるのです。
 
 こんな感じですね。
 道と橋が無理な繋がり方をしてるのが
 わかりますか?
 橋を渡って来ると、この坂のおかげで
 前がよく見えなくて危険です。
 のぞみ橋を通る事が出来れば
 それも解消されるでしょうが、
 工事用で一般車は通行出来ないようです。
 しかも、新ダム工事が終われば、
 用済みになり、撤去されてしまいます。
 もったいないですね。
 だから「新小和澤橋」って名前じゃないんだ。
 
 今度は下から見てみましょう。
 この位置からだと、
 橋台が険しい場所にあるのがよくわかります。
 「吊床版橋」ってのは、
 こんな所に架けるのに向いた形式だそうです。
 普通の吊り橋と違って、
 大きな主塔も、ケーブルを固定する
 アンカレイジもいらないからでしょう。
 左下には丸山ダムが見えてますね。
 
 蘇水峡とのぞみ橋です。
 この写真は別窓で大きな画像が見れます。
 写真じゃわかりにくいけど、
 峡谷なだけあって、
 迫力のある場所です。
 水がにごってるのがアレですが…
 今いる場所は、水面から高い位置ですが、
 後ろには大量の流木があります。
 それにコンクリの擁壁が壊れていて、
 土砂が流れ出て斜面がえぐり取られてます。
 どうやら大雨の時なんかに
 ここまで水が来るみたいです。
 この角度から見ると、
 橋の下のケーブルがよくわかりますね。
[2007年4月現在]

 そう言えば工事用の橋なのに、
 今は普通の車も走れます。
 かわりに小和澤橋が車通行止めになってる。

平成15年11月16日に完成した、工事用の橋梁「のぞみ橋」。
端部分離型上路式吊床版橋と言う形式の橋で、工事終了後には撤去されてしまいます。
そのため、解体性やリサイクル性も考慮されて設計されています。
新ダム完成後に、下流の安全を“望む”という願いを込めるのと、
ダム工事がはやく進むように、新幹線のぞみ号をイメージして「のぞみ橋」と名付けられました。
橋の規模は橋長91.63m、吊支間90.0mの国内最大支間の上路式吊床版橋です。
ちなみに“吊床版橋”は“つりしょうばんきょう”と読みます。

最後に林間公園から見たのぞみ橋と丸山ダムです。[2007年5月撮影]
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