【可児市-茗荷トンネル&消滅隧道群】
岐阜県可児市の愛知県に近い郊外に、小さなトンネルがあります。
昭和11年の地形図に記載されている古いトンネルは、現在どんな姿になっているのでしょうか。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 古いって言うだけで、
 正直そんなに期待してた訳じゃないけど
 なかなかどーして、
 味の有るトンネルでした。
 ちなみに「みょうが」と読みます。

 別窓で開く周辺図はこちら→■周辺図■

 国道41号線を北上して、
 岐阜県に入ってから最初のインターで降り、
 県道122号線を南下して来た所に
 この小さなトンネルは有ります。
 県道から脇道に入るのですが、
 これがわかりづらくて…
 近くを行ったり来たりして
 ようやく辿り着きました。
 目印としては、県道から分かれる所に
 高さ制限の標識が立ってます。
 そこから田舎っぽい所を通り、
 見えて来たのがこのトンネル。
 

 1車線のトンネルとしてはよくある物です。
 印象的な物と言えば、手前に設置してある
 高さ制限の虎縞のバーぐらいでしょうか?
 2.6mならマイクロバスでも大丈夫そうです。
 扁額も小さくて可愛い物が付いてます♪
 「茗荷」って生姜の一種で
 食べると物忘れが激しくなるって言うあれ?
 何だか妙な名前ですね。
 冗談は置いといて、「茗荷」とはここの地名で
 けっこう古い歴史があるみたいです。
 北側には「茗荷の谷」があり、
 「東山道」と言う街道が通っていたそうです。

 
 こんな何でもなさそうな場所も、
 歴史ある所だったんですね。

 で、トンネルの中から見てみました。
 好きなんだこういう絵が。
 高さ制限のバーがトンネルの上の空間を
 削っているのがよくわかります。

 のんびりした風景が見えます。
 
 何と中は素堀り!!
 これはポイント高し。
 でもさすがに
 コンクリートが吹き付けてあります。
 それに上下ツートンになってます。
 短い距離なのに照明もあります。
 あ。左下にはデリネーターまで…
 小さな素堀りトンネルとは思えぬ
 フル装備?なトンネルです。
 

 素堀り部分との境目です。
 あちこちに赤い数字が書いてあります。
 数字の意味はわかりませんが、
 最近書かれたようです。

 後でわかった事ですが、
 この近辺の地質って
 粘土や砂礫で出来ているようです。
 大丈夫なの素堀りで?
 何か水が染み出てているけど…

 
 北側に出てきました。
 坑門の形が微妙に南側とは違います。
 ポータルは頑丈そうな造りです。
 こっちも扁額は小さ〜い。
 見落としちゃいそうな程ですね♪
 
 頭上にバーが渡してあって
 高さを制限しています。
 切り通しの向こうに茗荷の家々が見えます。
 この先には茗荷の谷があったそうですが、
 今ではゴルフ場になってます。
 昔は家も何にも無い所だったのでしょう。
 
 この角度から見ると
 トンネルの上の山がよくわかります。
 そしてこの切り通しは、
 山の斜面を掘ったんでしょうが、
 全部トンネルにしなかったのはなぜに?

[2004年11月現在]
   
【可児市-消滅隧道群】
茗荷トンネルの南にかつて存在した、大正時代の素堀り隧道群。
「古瀬」「帷子」「美の田」の名前が付いていました。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 今回は「茗荷トンネル」と同時に
 三つ連なった隧道も探しました。
 左の古い地形図には、
 はっきり描かれた隧道が見えますね。
 美濃田の文字の右隣にあります。
 現在は新興住宅地として開発されてますが、
 隧道が造られた大正14年頃は
 小さな集落が点在する様な場所でした。
 さて、今はどうなってるんでしょうか?
 
 茗荷トンネル同様、
 ここもわかりづらい所にありました。
 何とか辿り着いてみると
 案の定、隧道は影も形も有りません。
 実はここへ来る前に
 隧道はすでに無い事はわかってました。
 でも何か痕跡でも無いかと思って探してみると、
 あやしい場所が…
 この切り通しは隧道跡で間違い無いでしょう。
 写真左側の土が剥き出しになった所なんか
 素堀り隧道の内壁っぽいです。
 
 上の場所から北東方向に来ると
 もう一つあやしい場所があります。
 ここは確実に隧道跡ですね。
 狭い切り通しが何よりの証です。
 しかもこの高さ。
 でも、切り通しになったからと言っても
 たいして通りやすくなってないです。
 車同士のすれ違いは難しそう。
 ここからは見えませんが、
 切り通しの途中に馬頭観音があります。

 残念ながら、
 第三の隧道の痕跡はわかりませんでした。
[2004年12月現在]

愛知県犬山市から岐阜県可児市にかけて、大々的な宅地開発が成されていて、
3つの隧道は消滅していました。
通行量の増加に対応するためなのでしょうが、寂しいかぎりです。
さらに、消えて行ったのは隧道だけじゃありません。
この近くに善師野と言う地区があるのですが、ここは化石産地として知られた所です。
所でした、と言った方がいいかもしれません。
ここはメタセコイアを中心とした、植物化石が沢山産出した場所で、
1mを超えるような珪化木も出たと言います。
善師野付近の化石産地は保護されていたそうですが、今は四季の丘と言う住宅地になっています。
まだ敷地の全てに住宅が建った訳ではないのですが、化石産地としては完全消滅と言ったところです。
茗荷トンネルもいつまで存在できるのか?
将来交通量に対応しきれなくなれば、ここも切り通しになる可能性も否定できません。
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