【岐阜県・本巣市-水鳥の吊り橋(みどりのつりばし)
県道255号線に沿って流れる根尾川に、渡れない吊り橋があるとの情報を見付けました。
さっそく現地に行ってみたところ、そこにはとんでもない橋が・・・
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント

 
 この付近の橋について
 ちょっと調べてたら、
 今まで知らなかった吊り橋の情報が!
 し・しかも、誰もが恐れをなして
 渡れないって言うじゃない。
 これは行って、渡ってこなくちゃ。

 揖斐川町の谷汲から県道255号線を
 北上して来ました。
 川沿いの険道を堪能しながら
 根尾川の方を注意して見てたら、
 問題の吊り橋を発見!
 なるほど、遠くからでも
 やばそうな雰囲気が感じられる。
 これは…大当たりだ( ̄▽ ̄)

 
 根尾川沿いと言っても
 いまちピンときませんでしょう?
 根尾谷断層や淡墨桜の近くと言えば
 わかってもらえるかしら?
 さて、県道の橋の手前に
 吊り橋への小道があります。
 まあ、当たり前なんですが、
 ・・・なんか様子が変。
 鉄骨で造られた建物の跡がありますよ。
 
 え? 何かの廃墟??
 吊り橋の前に、こんな物があります。
 赤い箱って、コーラの販売機だよね?
 懐かしの瓶のコーラです。
 箱の前に栓抜きがついてます。
 でも自販機かと思ったけど違うみたい。
 って事は、お店の跡なのかな?
 これは、吊り橋の正体の
 ヒントになりそうだ。
 
 そんな事より吊り橋です。
 確かにこれは怖い。
 板が1列に並んでるだけだ。
 それに老巧化してて、強度落ちてそう。
 だからなのか、
 大きな“バッテン”が付いてて
 通行が阻止されてる?
 まあ、隙き間だらけですが。
 

 何かお札が下がってるけど、何?
 え〜… この吊橋定員一名
 しづかに渡って下さい
 事故が起きても責任は負いません
 やはりありました。人数制限。
 しかも、渡れるのはたったの1人。
 これは新記録だ!
 でも、左側の札には2名までとあった。
 …日々危険になってるってわけ?

 
 危険。実に危険。
 どこ歩くのこれ?
 板が1枚、載ってるだけ。
 大丈夫かな?ちょっと乗ってみようか…
 ・・・いけそう
 ミシッと不吉な音がするかと思ったけど、
 まだ大丈夫そうです。
 じゃ、もう1歩。
 無論こんな板の上は歩けないので、
 角材の上を歩きます。
 さらに、もう1歩。
 

 とは言え、めっちゃ怖え〜…
 ゆら・ゆら・ゆら〜〜り…
 もうケーブルが手放せません。
 いくら大丈夫そうでも、
 老巧化した角材なんて信用できません。
 踏み抜いても落ちないように、
 両手でメインケーブルをつかんで
 渡ります。
 いや、そのケーブルがどんどん
 低くなって来てるんですけど・・・

 
 真ん中の前後は腰より低いので、
 中腰になって歩きました。
 これが結構苦しい。
 しかも、下ばかり見てると、
 川の流れで感覚が狂いそうになる。
 なんか川の流れる方に倒れて行くみたい。
 き・気持ち悪い…
 何とか対岸に到着しました。
 ようやく普通に立って歩ける。
 でも、板の無い所が…!!
 
 板の無い所は、ひと跨ぎでクリア。
 対岸に近づくにつれて、
 メインケーブルがつかめなくなるけど、
 そこは、無駄に増やされた
 ハンガーケーブルをつかんで行きます。
 島?に上陸しました。
 島と言うより中州かな?
 こちらの主塔には街灯が付いてます。
 夜にも渡ること前提なの?
 それにしても簡素な造りですね。
 

 ケーブルの先はどうなってる?
 アンカレージは向こう側みたいです。
 ケーブルを平行に保つために
 つっかえ棒がしてある。
 それにしてもこの吊り橋、
 変なとこが、変に複雑に造ってある。
 県道側のケーブルも
 屋根の鉄骨の下を通ってたし。

 
 橋を渡れば下に下る道があった。
 すんごい山道だけど、
 石垣があったりして、
 ちゃんと整備されていたみたい。
 今は放置されているっぽいですが…
 
 短い山道を下りると、
 そこは河原でした。
 山ではなく、完全に中州です。
 吊り橋は県道と中州に架けられてるのです。
 これじゃどこにも行けなさそう。
 でも大丈夫。
 こっちの川は浅くて、簡単に渡れます。
 渡った先にはキャンプ場があります。
 八ヶ滝キャンプ場と言います。
 もしかしてキャンプ場関係の橋?
 
 さ〜て、戻るとしましょうか。
 またあの橋を通って…
 ここを渡らずに戻るには、
 1.5km以上も離れた
 橋まで行かなくてはなりません。
 それとも、川を泳ぐ?
 

 さっきから気付いてると思いますが、
 ハンガーケーブルがやたらと多いです。
 どうやらこれ、補強のために
 後から付けたみたいです。
 それにこのハンガーケーブルって、
 下に通ってるケーブルを吊ってます。
 しかも角材は、この下のケーブルに
 針金で固定してあるだけだし…
 なにこの日曜大工的な仕事

 
 真下を見ると・・・
 丸見え。
 高くないのが、せめてもの救い。
 角材の間隔が不揃いなのも
 とってもファジー。
 ファンタスティックですらあるね。
 
 でも、川の上に出ると
 そんな事も言ってらんない。
 今度は川の流れが右から左なので、
 左に傾いて行きそう…
 いや、実際左に傾いてますが。
 これ、左側に体重を掛けたら、
 ぐるんと回転しそうだね。
 いやいや冗談じゃない。ヤメテ。
 

 撮影する時は立ち止まって
 片手でカメラを持ってるんだけど、
 ゆらゆら揺れて、ブレちゃいます。
 それも波打つように揺れるので
 怖さ倍増。2割増し 。

 そんな事を言ってる場合じゃない。
 早く渡っちゃおう。

 
 やっと戻って来ました。
 あ〜〜〜…怖かった。
 最後に橋の周りを見てみましょう。
 ちょっとした石段があって、
 橋の下まで来られます。
 やっぱり何かの観光施設があったのかも。
 瓦礫が沢山落ちてます。
 この写真の先は広場になってて、
 建物の跡があります。
 
 相当古そうな感じですね。
 でも、左に見えてる赤いベンチは、
 新しそうだ。
 船着き場でもあったんだろうか?
 今は情報が無いので、何もわかりません。
 かつての観光地の成れの果て…
 そんな感じの雰囲気ですね。
 
[2010年7月現在]

ネット上では、現在の渡れない状態の吊り橋の情報ばかりでした。
その中でも一番古い情報は、1999年に訪れたサイクリストのサイトのものですが、
当時はまだ床板も全部揃っていて、普通に渡れたみたいです。
さらに古い資料は手持ちの地形図の中にありました。
なんと、昭和11年の地形図にすでに描かれております。
赤丸のところに、ちょこんと描かれた橋のマークが、今回の吊り橋です。



地形図が発行された頃は、現在の国道157号線はまだなく、県道しかありませんでした。
橋は今と変わらず川の中州に架かっており、その先の道は描かれていません。
現状を見る限りでは、観光地化されていたようですが、
日本でキャンプが一般的になったのが、戦後の1950年代以降の事なので、
もともと違う目的の為に架けられた橋だと思われます。
八ヶ滝キャンプ場の北側に、耕作地の跡らしい土地があるので、
水鳥の集落から、対岸の耕作地に行く為の橋だったのかもしれません。
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