【国道303号線旧道-档鳥坂隧道】
滋賀県の3桁国道の旧道にある旧隧道です。現道はその下を「档鳥坂トンネル」で越えて行きます。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 滋賀県の有名な酷道303号線の旧道には、
 昭和初期に造られた古い隧道があります。
 「あっとりざか」って読みます。
 この道が旧道になって、
 そんなに時間が経っていないだけあり、
 荒れている心配はないでしょう。

 隧道周辺図はこちら→■周辺図■

 琵琶湖の東側にある木之本町から、
 旧道を辿って来ました。
 あ。でもちょっと待って。
 地図とか見るとこの道、
 まだ国道表記されてます。
 それに「おにぎり」もありました。
 現道なのかな?
 タイトルに旧道って書いちゃったけど、
 どうせその内旧道落ちするので
 まあいいか( ̄▽ ̄)♭
 いや、もしかしてすでに旧道か?
 地図って案外、情報古いからね。
 
 下には(現道の)国道303号線が通ってます。
 けっこうな高低差があります。
 これは振り返った写真。
 しかし、この景色を見てると、
 右の古い道がまだ国道だなんて信じられません。
 なので、このレポートでは旧道って事に。
 まあ、隧道のレポートなので大目に見てね♪

 そう言えばふと思ったけど、
 長いトンネル程低い所を通っていますね。
 逆に短い隧道しかない旧道は、
 高い所まで上がっていかなきゃ
 峠を越えられないって事ですね。
 
 少し山深くなってくると隧道に到着。
 いかにも「旧」な雰囲気です。
 道幅も狭まってどんづまりって所で
 隧道が口を開けています。
 切り通しの両側は、地肌剥き出し状態です。
 この山自体、
 黒っぽい岩で出来ているみたいですが、
 あんまし丈夫そうじゃないです。
 坑門のデザインはいたって普通です。
 
 隧道手前の斜面に小さなお堂があります。
 よく見ると中々凝った造りをしてますね。
 丸石をコンクリートで固めて、
 ブロックを階段状にしつらえてあります。
 中に祀られているのは「身代大師」様です。
 身代大師とは、信仰すれば一切の罪は消え
 病気も治り、財産が増えるという
 なんとも景気の良い仏様です。
 むろん大師とは弘法大師の事ですね。
 
 隧道内部はすっかり補修されて、
 きれいなもんです。
 金属製のプレートで囲われて、
 明るい雰囲気になっています。
 隧道が出来た当時はどんな造りだったのか、
 今となっては知るよしもありませんが、
 きっと石造りなんでしょう。
 こんなに手を掛けてもらっているのは
 まだまだ利用者がいるってこと?
 でも、他に車とか見なかったけど…
 
 東側に抜けて来た所で坑門を撮影。
 いきなりカーブになってます。
 油断なりません。
 こちら側の坑門は薄汚れていて、
 古い隧道の雰囲気満点です。
 それだけに中の補修が残念ですね。
 
 扁額には大きく「档鳥坂隧道」の文字が。
 昭和7年11月竣功とあります。
 なるほど昭和初期の作ですね。
 着工自体は大正の終わり頃だったかもしれません。
 隧道のあっさりなデザインは、
 当時の最新スタイルなんでしょう。

 それにしても「档鳥」ってどういう意味?
 この近くにはアットリと言う地名がありますが、
 アットリの地名はアトリと言う
 渡り鳥から付けられたらしいです。
 ちなみに「档」の字は、木篇に「當」です。
 
 森を抜け明るい所に出ました。
 斜面から生えた木が、
 この道の歴史の長さを教えてくれます。
 3桁国道の旧道にしては、
 いい状態の道です。

 それと、この隧道の上には、
 昔の街道の名残りの
 切り通しが残っているそうです。
 
 遠くに岐阜の山々が見えます。
 地図で確認してみると、
 一番奥の高い山は「金糞岳」らしいです。
 「かなくそだけ」って読むけど、
 鉱山でもあったのかしらね?
 ここは登山道があって
 けっこう人気のある山みたいです。
 登ってみます?

 さて、このまま行くと間もなく現道に合流です。
 アスファルトはきれいで新しめな感じ。
 
 減速帯が見えたら旧道はお終いです。
 目の前には2車線の国道303号線が走ってます。
 合流地点は現道の襠鳥坂トンネルから
 少し離れているので、
 最初は気付かずに通り過ぎてしまいました。
 しかし琵琶湖側からの道もわかりづらいので、
 むしろここからの方がいいかもです。
[2004年10月現在]

■このレポートは発表後に一部修正しています。
その際に「旧道倶楽部」のレポートを参考にさせてもらいました。

隧道内部の補修さえ無ければ、旧道の雰囲気満点の場所なのですが、
隧道自体の存続を考えたら仕方が無い事なのでしょう。でもちょっと残念。
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