【岐阜県・県道63号線旧道-宝仙坊隧道】
岐阜県の美濃加茂市と郡上市を結ぶ県道上にある隧道。
しかし、新トンネル開通により旧隧道は繋がるべき道を失いつつあります。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 宝仙坊隧道の廃隧道化工事、
 ただ今進行中です。
 このまま旧隧道は潰されてしまうのか?
 それとも、何らかの形で
 生き残るのか?

 その現場はここ→■周辺図■
 なおこのレポートは、
 2004年8月と12月の写真を交えて作成してます。

 県道63号線を北上してきて、
 MAGロードの高架を過ぎると
 宝仙坊トンネルはすぐです。
 しかし今回見るべき物はこれではありません。
 目の前のトンネルの右側に向かって
 旧道が延びています。
 え?わからないって?
 それもそのはず、旧道はトンネル工事の際に
 切断されてしまいました。
 よく見ると旧道にある看板がまだ立ってます。
 
 これが旧道の現役時代の様子です。
 通り掛かった時に写しておいた物が
 役に立ちました。
 見ての通り車が頻繁に通ります。
 なので写真撮影もヒヤヒヤもんです。
 道は狭いのに車はけっこうなスピードで
 走っているので、一時も油断できません。
 これじゃあ広いトンネルが出来るのも納得。

 新しい宝仙坊トンネルは只今工事中です。
 2004年8月現在の様子。
 
 上の写真と似たようなアングルで撮った
 12月の様子。
 旧道のアスファルトはすっぱり
 剥ぎ取られてます。
 すでに車は入れません。
 古い宝仙坊隧道への道は只今工事中です。
 この分では旧道の線形は、
 無くなってしまうかもしれません。
 新道のために造られた法面は
 元は旧道があった場所であり、
 「蜂屋累層」と呼ばれる
 火山活動によって出来た地層です。
 この「蜂屋累層」は、
 珪化木などの化石を含んでいる場所もあります。
 
 せっかくなので、トンネルと反対側を
 振り返って見た景色もどうぞ。

 これは旧道の現役時代のもの。
 よく見ると、手前のカーブの所に
 右に真直ぐ延びている車線が残ってますね。
 こちらが本来の県道の道筋でした。
 トンネル工事のために道が付け変わってます。

 2004年8月現在の様子。
 

 12月には旧道部分はすっかり無くなってます。
 それに何だか景色自体が広々として見えます。
 上の写真が山の中みたいな感じなのに、
 左の写真は街外れの丘のイメージです。
 道筋が変わっただけなのに
 けっこう印象は変わるもんです。

 ちなみに奥に見える高架橋は、
 東海環状自動車道の物です。

 
 さて、あらためて旧道を見てみましょう。
 トンネルの横あたりから路面が復活してます。
 工事されているのは新トンネルに
 関係している場所だけらしいです。

 旧道を進んでいって、
 カーブを1つ過ぎると…
 
 間もなくして現れるのが旧トンネル
 「宝仙坊隧道」
 「宝」の文字は旧字体で書いてあります。
 現道時代と変わらぬ姿で佇んでます。
 それもそうだ、
 つい最近まで使われてましたからね。
 でも、あれ?照明がついてますね。
 工事関係者が通るために
 照明が生きているんでしょうか。
 旧隧道は手付かずになってます。
 はたしてこの隧道はどうなってしまうのか?
 
 隧道の中から外を見た所です。
 現役時代にはとてもこんな所から
 撮影なんて出来ませんでした。
 狭い上に車通りまくりで、
 危ない事この上無しって状態でしたので。
 今は、降り積もった落ち葉が
 かき乱される事はありません。
 
 旧隧道内部は金属プレートによって
 補強がなされてます。
 と言っても中途半端な感じです。
 いや、それとも剥がされたのか?
 すみません〜
 現役時代に通った時、
 よく見て来ませんでした( ̄▽ ̄;)
 でも何だか強引に剥がされたっぽいですね。
 それにコンクリートはきれいで、
 補強が要るようには思えませんが。
 
 こちらの出口は北側になります。
 別に変わった所は無いように見えますが、
 このまま進むと…
 
 アスファルトが無くなってます。
 さらに道は途切れていて、
 現道に行く事は出来ません。
 旧道は正面の建物に向かって
 真直ぐ延びている様に見えますが、
 以前は建物の手前で左にカーブしていました。
 
 振り返って隧道を眺めれば
 路面が途切れているのがわかります。
 きれいに切られてます。
 まさに、ぷっつりって感じ。
 両側の入り口への道は途切れていて
 隔離された様なもんですね。
 一体お役所はこの隧道を
 どうしたいのでしょう?
 
 現道と接する部分は、
 完全に旧道の線形は無くなってます。
 旧隧道は歩行者用に残されるかとも思いましたが
 新トンネルには見ての通り
 立派な歩道があります。
 これじゃあますます
 旧隧道の存在意義が危ぶまれます。
 あと考えられるのは、
 電線が通っているために
 隧道の前後の道が残っている。とか?
 ここから旧隧道が見えてます。
 こっちも旧道が切断されていて、
 法面になってるけど、
 高さがあるので登って行けません。
 
 かつては県道がこのように通ってました。
 なにげない風景ですが、
 もう見る事の出来ない景色です。
 旧道は地形に逆らわずに
 山を廻り込んでいますが、
 新道は山などおかまいなく
 どーんと突っ切っていっちゃいます。
 新しいトンネルは確かに快適ですが、
 ささやかな、それでいて何か大切なモノを
 失っているって思うのは考えすぎ?
 でも、旧道は狭い上に車がスピード出すので
 広くなって安全に通行できるようになり
 これはこれでよかったと言えます。
 [2004年12月現在]

まさに新旧交代がなされている最中です。
わずか数カ月でここまで変わってしまうなんて、感慨深いものがあります。
工事が終わった頃にまた見に行きたいと思います。

さらに4ヶ月後の2005年4月に、もう一度行って来ました。
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