【国道8号線旧道-賤ヶ嶽隧道】
滋賀県の琵琶湖の北岸の山間部に、煉瓦造りの隧道があります。
隧道の西側の坑門からは琵琶湖を見下ろす事が出来ます。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 滋賀県には、
 まだまだ素晴らしい隧道があります。
 ここも保存状態のいい
 きれいな隧道です。

 隧道周辺図はこちら→■周辺図■

 湖岸を走る国道8号線から旧道に入り、
 どんどん高度を上げて来ました。
 ゆるやかなカーブを曲がり
 目の前に現れたのがこの隧道。
 なんとも素敵なお姿。
 その名も賤ヶ嶽(しずがだけ)隧道。
 現道の方は「賤ヶ岳隧道」で、
 「だけ」の字が違うだけ。
 

 扁額には変わった書体の文字が…
 読めません(´Д`)
 隧道名ではないようです。
 扁額の下には帯石が見えています。

 最近トンネル用語を知ったので
 使ってみました。
 頭良さそうに見えます?
 頭良ければ扁額の文字も読めるって?
 ごもっとも。

 
 隧道横にはバケツが置いてあって
 わき水がそそがれています。
 あれ?よく見るとこれはゴミ箱じゃあ…
 何かすごい生活感が出てます。
 こんな所は車が通らない…って思ったけど
 こうやって撮影してる間も
 車やカブが通過して行きました。
 地元の生活を支える道なのでしょう。
 
 じゃあ中に入ってみましょう。
 何か白い壁が…
 コンクリートで補強してあるの?
 な〜んと!
 せっかくの煉瓦巻の内部が台無しですね。
 でもまあ、安全のためには
 必要な処置なんでしょう。
 

 隧道の途中に銘板がはめ込んでありました。
 これはブロンズ製なの?
 何とも古めかしい雰囲気ですが、
 それもそのはず。
 隧道の完成は昭和2年の8月です。
 起工は大正13年2月なので、
 大正時代から昭和にかけての建設です。
 延長1260尺。…尺?
 工賃27万9645円。
 何だ、これなら私でも出せそうな金額ね。
 って時代が違いますね。
 今なら億の値段ですか。

 

 東側に出て来ました。
 こちらの方が隧道の姿がよくわかります。
 左右に壁柱のある堂々たる隧道です。
 追石と要石は石で造られています。
 あれ?よく見るとこの隧道
 以前レポートした
 「横山隧道」に似ているような…
 見比べてみたら同じデザインでした。
 建設時期が近いので、
 デザインを流用したんでしょうか。
 どうせなら「湖北隧道」みたいな
 個性的なデザインにしてほしかった。

 
 こちらは「賤ヶ嶽隧道」とあります。
 右から読みますが、
 こういう右から書いてあるのって
 実は縦書きの文字を
 一文字づつ改行してあるのだそうです。
 だから読むのは縦書きの時と同じく、
 右からになるのです。
 それに扁額というのは元々
 神社仏閣の名前を書いた額のことです。
 隧道の坑門の姿を
 山門に見立てたからでしょうか。
 昔の古い隧道を見れば、
 荘厳な姿がお寺とかの雰囲気に似ています。
 
 隧道を出た所に赤い物がありました。
 よく見ると赤く塗られた金属の板です。
 箱状になっていて、
 何かが入っていたようです。
 赤いって言う事は、
 ひょっとして消防関係ですか?
 消火器でも入ってたのでしょう。
 側面に「建設省 滋賀工事事務所」の文字。
 でもすでに死んでいます。
 
 東側は穏やかな雰囲気です。
 でも左に墓地があるけど…
 ここからは下りに転じます。
 この先旧道は
 ダイレクトに現道に接続していないので、
 途中から線形が
 改変されているかもしれません。
 旧道自体は走りやすいいい道でした。

[2004年10月現在]

隧道がある所は開放的な場所ゆえ、いかにも古い物があるという雰囲気は薄いです。
旧道は峠越えをして行きますが、現道は低い位置にあるトンネルで山を越えて行きます。
道ネタ「隧道」TOPへ…