【滋賀県・県道244号線横山隧道】
滋賀県は琵琶湖の東岸に位置する、長浜市と山東町の境に県道の旧道部分があります。
そこには長い間使われて来た、煉瓦造りの隧道がひっそりと存在しています。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 今回レポートした所以外にも
 旧道部分がありますが、
 なんと言っても見所は
 煉瓦造りの隧道でしょう。
 まさしく「ずいどう」って言葉がぴったりの
 雰囲気満点の物件です。
 いっしょに地図も見てね
 ■周辺図■

 街と町の間に横たわる、
 小さな山を越えるために
 ここには古くから隧道がありました。
 しかし時代の流れには勝てず
 今は広くて快適な、
 国道と見まがう程のトンネルが出来ました。

 山東町側からは、
 旧道化した県道がさらに登って行きます。
 ここら辺は近代的な風景ですが、
 間もなく目の前にあらわれるのは…
 
 煉瓦のトンネル
 横山隧道です。
 大正時代にタイムスリップした様です。
 先程までの現代的な景色がうそみたいです。

 なんか路面に枝や葉っぱが落ちていて、
 まるで廃道の雰囲気ですが、
 これは、この前上陸した台風6号のためでしょう。
(それとも、落ち葉が積もるくらい
  車が通らないからなのかしら?)
 

 見て下さい。この「時代」が付いた姿を。
 扁額には隧道名じゃなく、
 何だか変わった書体で、
 漢文らしき文字が彫り込んであります。
 達筆すぎて読めませんね。

 石を積んで、柱の様に見せているデザインは
 まるで、洋風建築みたいです。

 

 隧道横の排水施設のアップです。
 ここだけ見ると、遺跡の様でもあります。
 いやむしろ廃虚?
 「自然」に飲み込まれる人工物。
 ここにはある種の美しさがあります。
 人はそれを「廃虚美」と言います。

 
 隧道の内壁です。
 きっちり積まれていて、
 いささかの歪みもありません。
 所々開いている穴は
 水抜きのためなんでしょうか?
 
 隧道の東、山東町側の入り口を
 隧道の中から見てみました。
 今日は6月の最終日曜日、梅雨真只中です。
 この日も雨模様で、小雨が降る中での探索です。
 隧道の中にも雨水がしみ出してきて
 しっとりと濡れています。
 そんな天気が、さらに雰囲気を盛り上げます。
 
 隧道内部は、
 コンクリートなどで補修されたりせず、
 昔の姿を偲ばせます。
 しかし、照明が安っぽい蛍光灯なのは
 どうよ?って感じですが…
 明るく見えるけど
 実際はもう少し暗いです。

 それにこの隧道の道幅とかは
 今のレベルで見れば、
 少し狭いようですが、
 開通当時は、さぞ広くて近代的だったのでしょう。
 
 長浜市側に出ました。
 って言ってもほんの数百メートルぐらいの
 距離しかありませんけど。
 でも、これだけの距離と言っても
 大量の煉瓦を使っているのよね。
 一つ一つ積んでいくのって
 大変そうです。
 現代じゃシールドマシーンで穴を掘って、
 パネルをはめ込んでいくだけなので
 手間いらずですね。
 機械まかせだし。
(それは地下鉄のトンネルでしょ☆⊂(´Д`)
 
 こちらは山東町側とは違って
 きれいな姿です。
 なぜかしら?
 それはよく県境の道路のアスファルトの色が
 違ってたりするのと同じで、
 管理する町が違えば
 管理の程度に差が出るのでしょうか。
 こちらの長浜市の方が
 古い隧道を大事にしているのかも?
 
 入り口のデザインは、
 反対側と同じようです。
 こちらの扁額にも、書体は違えど
 読めない文字が書いてあります。

 それにしても、
 赤い煉瓦と石の部分が
 絶妙にいいバランスです。
 
 今日は雨降りですが、
 むしろそれが幸いして
 風景全体が深みを増しています。
 残念ながら、写真じゃ再現しきれてませんが…
 
 隧道を抜けると石碑があります。
 大正十二年に建てられた物です。
 横山隧道の建設も
 大体そのあたりの年代でしょう。

 この石碑には沢山の名前が刻まれてますが
 工事にたずさわった人の名前だそうです。

 森の中に佇む姿は何だか
 モノリスみたいです。
 (2001年は過ぎたけど)
 
 旧道は左に曲がって、
 現道の新横山トンネルの上を越えて行きます。
 やっぱり、この荒れ様は台風のせい?
 なんだか廃道のようですが、
 ガードレールやその他の設備は
 問題ないようです。
 
 右に見える円いコンクリートが
 新横山トンネルの部分です。
 ポータルって言う所でしょうか?

 それにしても、
 路面いっぱいに土が溜まっています。
 崖から流れ出したみたいです。
 
 上の写真の所より旧道は
 ため池を周り込んで来て、
 現・県道244号線に合流します。
 旧道は現道に繋がる所で途切れていますが、
 以前は、正面の
 コンクリートの壁の所までありました。
 よく考えたら、
 現道って神社の境内を突っ切っていますよね。
 それってけっこう強引かも…
 新しい物のために失われていく物もありますが、
 あの隧道だけは無くさないで下さいね。

今や貴重な存在になりつつある煉瓦隧道です。
もはや遺跡のような風格すら漂っていますが、末永く保存していって貰いたいものです。
[2004年6月27日現在]
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