【福井県・旧北陸本線-小刀根トンネル】
かつて北陸本線が通っていたトンネル。明治14年に建設された、日本最古級の鉄道トンネルです。
今は市指定文化財として、県道の脇に保存されています。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 地形図で見付けて気になっていた
 県道と高速道路に囲まれた
 旧道の隧道らしき場所。
 これはぜひ見に行かなきゃ♪
 ―っていうんで、行って来ました。
 でもそこは旧道じゃなくて…
 旧道じゃないトンネルの
 周辺図はこちら→■周辺図■

 福井県の県道140号線に
 国道8号線から入って
 トンネルをひとつ過ぎると
 目的地に着きます。
 これは・・・
 想像してたのよりい〜い感じ♪
 まさに旧道の景色です。
 って、この時は思ってました。
 
 お〜〜すごい。煉瓦の隧道だよ〜〜
 それにポータルは石造りじゃない。
 これは大当たり♪
 ・・・でも、ここなんか見覚えがある。
 あれ?これって確か、鉄道のトンネルじゃあ…
 そばにあった敦賀市の教育委員会の立てた
 立て札の解説によると、
 ここは旧北陸本線のトンネルだそうです。
 ああ、なるほど、以前どこかのサイトで見た
 明治時代の鉄道トンネルが
 これだったんだ。
 
 明治14年に造られた古いふる〜いトンネル。
 隧道じゃなくてトンネル。
 建設当時の姿を残す、現存最古の物です。
 明治14年って言えば、その15年前は江戸時代だ。
 文明開化の賜物って訳です。
 アーチの真ん中にある要石にも
 「明治十四年」と彫ってあります。
 
 トンネル内部から県道の方を見ると
 まっすぐ先には、
 さっき通ったトンネルが見えます。
 そういえば途中に小さな橋があるけど、
 後からトンネルの事調べてたら、
 これがガーター橋だとわかった。
 しまった!! もっとよく見て来るんだった。
 …ま、いっか。
 これから行く人はよく見て来てね。
 
 さて、中に入ってみましょう。
 外側は石が整然と積まれてましたが、
 中はけっこう雑に積んである。
 でも、所々にあった退避抗は
 煉瓦でアーチが組まれていて、
 丁寧な仕事がしてあります。
 
 反対側に出ました。
 笠石とかピラスターとか、
 煉瓦トンネルに必要?な物が
 一通りそろってます。
 デザイン的には向こう側と同じです。
 
 煉瓦や石の表面がとても汚れてるけど、
 100年以上前に建設された当時のままだそうで、
 昔の人の苦労が偲ばれます。
 教育委員会の解説によると、
 日本人技師のみによる工事だそうで、
 外国の進んだ技術を我が物にしようと
 がんばって造ったんでしょうね。
 トンネルとしては小さな規模ですが、
 日本にとっては、大きな一歩だったはず。
 そう思って見ていると、
 感慨深いものがありますね。
 
 トンネルを抜けたその先は、
 細い道が続いて行きます。
 この先は行き止りだそうです。
 廃線跡はこの写真の奥のあたりまでで、
 その先は県道に向って行ってるそうです。
 今回はトンネルだけを見て来たので、
 線路跡までは確認してません。

[2005年10月現在]

江戸時代が終わり明治となり、日本の近代化や統一国家形成のため、
明治新政府は鉄道建設を進めて行きました。
明治5年には新橋〜横浜間開業。明治13年には敦賀〜長浜間が着工されました。
日本人技術者のみによる工事では、明治13年に開通した京都〜大津間についで2番目のものです。
時代は下り、輸送量増加に対応するために、急勾配の続く木之本〜敦賀区間は改良されました。
福井県と滋賀県の県境に造られた長大トンネル、深坂トンネルに北陸本線のルートが移動し、
小刀根トンネルのある区間は、柳ヶ瀬線として分離されました。
しかしその柳ヶ瀬線も、昭和39年には赤字のため廃線となりました。
この柳ヶ瀬線跡には小刀根トンネルの他に、刀根・曽々木・柳ヶ瀬トンネルがあります。
現在曽々木トンネルは消滅、刀根・柳ヶ瀬トンネルは車道として利用するために改修され、
小刀根トンネルのみが建設当時の姿を留めています。
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