【岐阜県・揖斐川町-小宮神の吊り橋】
揖斐川町の中心地に向かい、西より流れる「粕川」に架かる吊り橋です。
青字…ラピスのコメント ■黒字…作者のコメント
 
 岐阜県道32号線を走っていて
 平行する粕川に
 吊り橋を見付けました。
 いえ、吊り橋っぽく見える。
 近くに行って確かめなくちゃ!
 でも… 道がない?
 吊り橋っぽいのはここ→■周辺図■

 通りすがりに何気に下を見てたら
 細い橋桁が見えた。
 ケーブルっぽいのも見えるし
 吊り橋に間違い無し。
 どこからか下に降りる道があるかと
 探してみたけど分からなかった。
 これは歩いて行くしかないようだ。
 斜面を横切るパイプは水圧鉄管、
 この下に発電所があるからですね。
 1908年に出来た、小宮神発電所です。
 水圧鉄管の向こうに道がありました。
 
 集落へは、斜面の細い道を行きます。
 画面中央に例の橋が見えますが、
 まだまだ先です。
 しかし、何と言う密集した集落でしょう。
 車道が全然見えません。
 置いてある車があるので、
 車道が通じているのでしょうが、
 県道から入る場所が見付かりませんでした。
 っていうか、ちゃんと通じてる道かどうか
 分からなかったんですがね。
 
 これはじつにイイ景色です。
 こんな風に斜面を横切って
 集落内に入って行く歩道なんて、
 今まで見た事ないです。
 静岡の佐久間周辺や長野の遠山郷なんかの
 急斜面に張り付く様な集落とは
 テイストが違いますしね。
 そう言えば、県道にバス停があったので、
 バス停に行くための道なんでしょう。
 

 100mほど歩くと分かれ道が…
 どっちだろう?
 橋はまだ先にあるので、
 取り敢えず右の道を行きました。
 で、その右の道で正解なのですが、
 もしあなたが行くなら
 左の道を下って行く方がいいでしょう。

 
 さて、右の道を進むと
 左に曲がって、民家の間を通ります。
 単純に家と家の間を通ってると思いきや
 人の家の庭に出ましたよ。
 あれ?これって公道じゃなかったの?
 さいわい誰も居なかったので、
 こそっと車道に出ました。
 そうなのよ、さっきの分岐で左に行けば
 人の家の庭に出る事も無く
 普通に車道まで行けます。
 

 ちょっと気まずい思いをしたけど、
 何とか橋のそばまで来ました。
 こんな1車線の細い車道が通ってます。
 しかし、だ〜〜れも居ないね。
 あ。あった、やっぱり吊り橋です。

 
 橋桁が途中で曲がってる。
 これはちょっと珍しいかも?
 いや、それ以上に珍しいのは
 主塔が変すぎると言う事ですよ…!
 コンクリの柱が2本立ってるけど、
 左右の柱が繋がってない。
 今までいろんな吊り橋を見て来ましたが
 どんなに簡単な作りの橋でも、
 主塔の左右の柱は繋がれてました。
 

 この角度からの方が
 曲がった橋桁がよく分かりますね。
 対岸の橋台との高さを
 合わせてるんでしょうね。
 で、変な主塔をよく観察すると
 もういっこ変なトコロが…
 向こう側の柱に、鉄骨がくっついてます。
 ナニコレ?って思ったけど、
 どうやらパイプを吊ってるケーブルを
 支える為のものらしいです。

 
 まあ、主塔の話は置いといて、
 肝心の橋を渡ってみましょう。
 床板だけじゃなく、欄干も曲がってます。
 橋桁全体が斜めになってる橋は
 他にもあるけど、
 これはこれで面白いよね?
 床はエキスパンドメタルと言う
 金属製のネットです。
 見た目より頑丈なモノですが、
 ここは大丈夫だろうか?
 
 特徴的な“坂”を上がると
 あとは普通の吊り橋の景色ですね。
 金属製のネットは、
 ちょっとギシギシしてる。
 あんまり丈夫そうじゃない?
 粕川の河原は石だらけで
 穏やかな流れです。
 
 ここで振り返って
 県道方向を見てみましょう。
 ケーブルはずっと後ろの
 道路のコンクリの擁壁に繋がってます。
 まるでメインケーブルが
 小屋を避けてるみたいに見えるけど、
 もしかして、主塔だと思ってたのって
 道路の上の高さを稼ぐ為に
 メインケーブルを持ち上げてる物?
 ケーブルを持ち上げたから
 橋桁も上がって曲がったとか?
 
 本当の事を知りたくても、
 だ〜〜れも居ないので
 理由は知りようがありませんが…
 取り敢えず足下に気を付けながら
 対岸まで来ました。
 こちらは左側に山道が続いてるだけです。
 主塔はありません。
 これも「片タワー型」と言う物なの?
 でも、さっきの“あれ”は
 主塔と言っていいものなのかは疑問ですが…
 
 対岸の道は整備されていて、
 ちゃんと使われてるようです。
 橋桁は道の上に乗ってるだけです。
 橋の下に行こうと思ったけど、
 こちら側からじゃ無理みたい。
 
 ならせめて、橋を横から見ようと、
 橋を渡った先の道を
 撮影ポイントを探して歩いてたら
 こんな小さな滝があった。
 「たろべの滝」だそうです。
 名所には程遠い規模の滝ですね。
 なぜか木材が立てかけてあった。
 倒木かと思ったが
 枝も無くきれいなので
 誰かが置いたみたいだ。
 
 再び集落側に戻って来ました。
 こちらは、橋の下に行けます。
 河原に転がる石の上を渡ったけど
 少しやっかいだった。
 これは曲がった部分ですね。
 ここから見ると、最初から
 この形に造ったようにも思えて来た。
 曲げられたのか、曲げて造ったのか
 真実はどっち?
 
 最後に橋桁全体も貼っておきましょう。
 オール金属製の新しそうな橋桁です。
 橋の先が山に突っ込んでるようで
 どこに道が繋がってるのか分からず、
 なんだか不思議な感じ。
 

 無論、吊り橋の先には目的地があります。
 あのまま山道を進むと
 この写真の正面にある茶畑に辿り着きます。
 「春日茶」を栽培してるそうです。
 つまりあの吊り橋は、
 茶畑に行く為に架けられた訳ですね。
 だから緑色なのか〜〜。

[2012年6月現在]


岐阜県の揖斐川町は揖斐茶を栽培していますが、
粕川沿いの春日(かすが)の小宮神でも、古くから茶の栽培をしていました。
700年もの歴史のある、貴重な在来品種が多く栽培されています。
農薬を使わない、無農薬・有機栽培だそうで、
だからなのか、畝が整然と並んだ一般的な茶畑と違い、茶畑っぽくありません。
パズルのように区画が分かれているので、モザイク茶園とも呼ばれるそうな。
ここでは、茶摘み体験が出来るそうです。

レポート中では1行しか説明できませんでしたが、
小宮神発電所は、1908年(明治41年)12月に運用が開始されました。
100年以上の歴史のある発電所で、現在は中部電力が所有しています。

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